水島協同病院 緩和ケア通信.No.67 (発行日 2014 年 12 月) 緩和ケアチーム 今回の編集:西山祐子 緩和ケアにおける食事の考え方 『食べる』といった行為は人間の基本的欲求のひとつで、『栄養を摂る』ということ以外に、希望や慰めとなったり、楽しみとなります。 しかし、食べられないときの罪悪感や、食べたら具合が悪くなるのでは…という恐怖感。また、口内炎等があり、実際に痛みを伴う ので、食べられないこともあります。 緩和ケアの栄養サポートは疾患の進行状態によって変わります。選択肢としては経口食、経口的栄養補給、経腸栄養、静脈栄養 がありますが、積極的な栄養補給よりも QOL の向上と症状の緩和に重点を置く点が特徴です。緩和ケアでは病状や治療によって 食欲不振や嘔気・嘔吐や口内炎、嚥下困難により、食事が摂りにくくなることが考えられ、その時々の症状に対応することが求めら れてきます。 <食欲不振や嘔気・嘔吐があるとき> <口内炎があるとき> 1、 献立の工夫、補助食品 そのとき食べたいものや好きなもの中心の献立。 においの強いものは避ける。のどごしのよいものを取り入 れる(麺類、アイス、ゼリーのような水分の多いものや冷た いもの)。 補助食品を利用する。(メイバランス、エネルギーゼリー、プロッ カゼリー、サポートプリン等) 2、 盛り付けの工夫 少なめの盛り付け、食器に変化をつけたり、ランチョンマ ットを敷いて、楽しく食事をする雰囲気を作ることも効果 的です。 3、 味付けの工夫 あっさりしたものを好まれる場合もあれば、逆に味覚障 害が出てきて、しっかりした味の方が食べやすい場合も あり、個人差が大きいところです。 酸味が強いものや刺激物は避けましょう。濃い味も口内炎を 刺激します。揚げ物や固い野菜も食べにくい場合があるので、 やわらかく調理するか、軟らかいもの中心の料理を選ぶと良 いでしょう。(全粥食や 5 分粥食に変更、ブイクレスの飲用も効 果的です。) ☆ 嗜好調査にて対応します。当院では昼おじや、素麺、パ ン 1/2 食、小皿で少量での提供、陶器の食器での提供 等をしています。 ☆ 対応困難な場合もありますので、家族の協力が得られ る場合には、ご本人様の好きなものを持ってきていただ いてください。 <嚥下障害があるとき> 水分が少なく、ぱさぱさしているものは飲み込みにくく、口の 中に溜まってしまいます。あんかけにしたり、ゼラチンを使っ て固めると食べやすくなります。汁物や水分の多いものは片 栗粉やとろみ剤でとろみをつけると誤嚥が防げ、飲み込みや すくなります。 ★栄養状態の悪い方や食の進まない方がおられましたら、 栄養科にご相談ください。 甘野老(あまどころ) :百合科の植物。花言葉: 「元気を出して」 、 「心の痛みのわかる人」
© Copyright 2024 ExpyDoc