骨粗鬆症に気を付け転倒による骨折を防ぎましょう! 公益財団法人 郡山市健康振興財団 健康センター所長 野﨑 洋文 近年は「健康長寿を目指しましょう」とよく言われております。健康長寿と は日常的に介護を必要とせず、自立した生活が送れる事を言います。 現在、寝たきりの原因は脳血管障害(18.5%)が最も多く、次いで認知症 (15.8%)、高齢による衰弱(13.4%)、4 番目に転倒・骨折(11.8%)と続きま す。高齢になると骨折が多くなるのは、加齢とともに骨粗鬆症(骨がスカスカ になり、骨折しやすくなる病気)を持つ方が増えてくるからです。 骨粗鬆症は女性に多く見られ、閉経後は特に増加してきます。郡山市健康振 興財団で橈骨にて骨密度測定した女性 709 名の結果によりますと、50 歳までは ほとんどの方が正常値で、55 歳では 30%の方が低下しており、このうち 10%の 方は治療が必要でした。60 歳になると約 80%の方で骨密度の低下が見られ、う ち 38%の方は精密検査・治療が必要でした。70 歳になると 85%の人で骨密度が 低下し、うち 50%の人は治療が必要な値でした。 この結果からみても、加齢とともに転倒やベッドからの転落などで骨折する 方が多いのは、骨密度と大いに関係があるといえるでしょう。 女性では閉経によりエストロゲンの血中濃度が低下することで、骨密度が下 がり、閉経 2~3 年後より急激に骨密度が低下してきます。男性でも加齢と共に 骨密度が低下しますので、カルシウムを多めに摂りましょう。通常、成人では 1 日 600mg の摂取が必要ですが、骨密度が低下する年齢では、1 日 700~800mg の摂取を心がけましょう。カルシウムは、蛋白質やビタミン D と同時に摂ると 吸収が良いそうです。リンやマグネシウムも吸収に必要です。 また、適度な運動は骨の新陳代謝を活発にし、カルシウムを骨に定着させま す。さらに、屋外で日光を浴びながら運動することで、活性ビタミン D が増え、 カルシウムの吸収を良くしますので、運動後にカルシウムを摂取することも効 果的です。 塩分、アルコールの摂りすぎはカルシウムの吸収を妨げます。また、喫煙も カルシウムの吸収を妨げますので禁煙も大切です。 気候の良い時期にウォーキングを始め、運動の後に乳製品を摂ると、骨も下肢 も丈夫になり、転倒・骨折が防げる体になると思います。
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