分野 人事労務 勤務成績不良社員の解雇 Q 社 員 X は 営 業 成 績 が 目 標 に 大 幅 に 達 し て お ら ず 、数 カ 月 間 こ の よ う な 状 態 が 続 い て い ま す 。就 業 規 則 で は「 営 業 成 績 が 他 の 社 員 に 比 べ て 著 し く 劣 る 場 合 は 解 雇 す る 。」 と 規 定 し て い ま す が 、 解 雇 す る こ と は 可 能 で す か 。 A 解 雇 に は 、懲 戒 処 分 と し て 行 な わ れ る「 懲 戒 解 雇 」と 懲 戒 以 外 の 理 由 に よ る 「 普 通 解 雇 」が あ り ま す 。本 件 の よ う な 能 力 不 足 に よ る も の は「 普 通 解 雇 」と な り 、多 く の 企 業 が 就 業 規 則 に お い て「 労 働 能 力 が 著 し く 低 劣 な た め 配 置 転 換 不 能 の と き は 解 雇 す る 。」 と い っ た 定 め を し て い ま す 。 普通解雇の要件として次のものが挙げられます。 ① 就業規則に解雇事由が明記されていること 普通解雇できるのは、就業規則に定めた事由に該当することが必要です。 貴社の場合は、就業規則において解雇事由を規定しています。 ② 本人に対する指導育成を実施していること 業 務 遂 行 能 力 や 適 格 性 の 欠 如 を 理 由 に 解 雇 す る 場 合 、使 用 者 は 直 ち に 解 雇 す る の で は な く 、不 十 分 な 点 を 注 意 し 成 績 向 上 の た め の 指 導 を 行 な う こ と が 求められます。それでも向上しない場合に解雇するという配慮が必要です。 ③ 解雇に客観的、合理的な根拠があること 使 用 者 が 解 雇 権 を 行 使 す る 場 合 、そ れ が 客 観 的 に み て 合 理 性 を 欠 き 、社 会 通念上相当であると認められない場合、権利の濫用として無効になります。 ④ 解雇予告を行なっていること 解 雇 す る 場 合 は 30 日 前 に 解 雇 の 予 告 を す る か 、 又 は 平 均 賃 金 の 30 日 分 以 上 の 解 雇 予 告 手 当 を 支 払 う こ と が 必 要 で す ( 労 働 基 準 法 第 20 条 )。 上 記 要 件 を 充 た す 場 合 に 解 雇 は 可 能 と な り ま す が 、判 例 で は 、営 業 成 績 が 数 ヵ 月 間不振であったことやデスクワークでの単純ミスを理由に解雇することは 合理的根拠に欠けるとして否定される傾向にあります。 本 件 で は 、解 雇 の 決 定 を す る 前 に 、営 業 目 標 を 達 成 で き な い 原 因 を 究 明 す る 必 要 が あ る で し ょ う 。訪 問 ス ケ ジ ュ ー ル に 無 駄 は な い か 、教 育 訓 練 を 実 施 し た ほ う が よ い か 等 、数 ヵ 月 間 の 行 動 を 分 析 し て 、営 業 成 績 が 上 が る よ う に 会 社 が バックアップする必要があります。それにも係らず目標達成できない場合は、 人 事 考 課 に お い て 適 正 に 評 価 し 、営 業 に 不 向 き と 判 断 し た 場 合 に は 配 置 転 換 も 検討すべきです。それでも向上の見込みが無いと最終的に判断した場合には、 退 職 勧 奨 に よ り 労 働 契 約 を 解 除 し た り 、解 雇 を 通 知 す る の も 止 む を 得 な い も の と考えられます。
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