亀ケ崎小学校 校長通信「子どもを見つめて」26号 平成27年11月13日 <子どもから質問されました> 校長大谷智之 |なぜ、毎日漢字テスト(3.4年)・月に1回百人一首の暗唱(s1 1.6年)・新聞大魔王のプリント(4.s・6年)をやるのですか?’ '-----------------------------------------------------------j それ}ま、-人ひとりに小さな自信をもたせるためです。小さな 自信は意欲につながります。その自信や意欲は、これから出合う 困難を乗り越えるエネルギーになるからです。 中学校の先生と話をした時のことです。こんな子どもたちがいて、困っているという話を 聞きました。 「中学校で県名を覚えるテストをした時のことです。県名を覚えれば点数をとれるのに、最 初からあきらめる。覚えようとしない人がいるんです。ちょっと、難しそうなことに出合 うと、最初からあきらめてしまうんですよね。」 と話してくれました。 あきらめてしまう子どもの気持ちを想像してみると、次のようなことが想像できます。 「どうせ、覚えられない。」・「無理だし。」・「いくらやっても、覚えられない。」 しかし、小学校での指導を通して、子どもたちに「こうすれば、覚えられるんだ。」という 小さな自信を積み重ねておく必要があると思うのです。 <毎日三問テスト> 3年生や4年生の担任の先生と協力して、「毎日三問テスト」というのを2学期から始めま した。前日に漢字三問をプリントにして渡し翌日にテストをするのです。全問正解だけが合 格です。不合格の人は、放課後に校長室でもう一度書いたテストを提出します。合格するま で受けます。三問だけなので簡単だと思って練習しないと、チャレンジテストで合格してい る人でも不合格になってしまうのです。 何度も不合格になる子に校長室で漢字をおぼえる「コツ」を教えました。すると、少しず つ覚えることができるようになりました。合格できなかったその子は、1学期には学校にちょ っと遅れてくる.授業中ちょっと眠くなる子どもでしたが、この毎日三問テストや担任の様 々なサポートによって、2学期は元気に登校し元気に学校生活を過ごすようになりました。自 信は意欲につながるのです。 「合格」を積み重ねていくことは自信につながります。「チャレンジテストでは、合格できな い。でも「毎日三問テスト」なら大丈夫、合格できる。」という小さな自信をもたせたいので す。わずか三問だけれども学校に来て「合格」をとった時の成功感が自信につながります。 <百人一首> 毎日小学生新聞に、毎月1回その季節にあわせた百人一首が紹介されます。その百人一首 を5年生と6年生に暗唱してもらい、覚えたかどうか私が点検しています。 11月は「秋の田のかりほのいほのとまをあらみわがころもでは露にぬれつつ」でした。 期日まで覚えられずに、校長室に断りに来る子どもがいます。 「明日まで、覚えてきますから・・・。」 そんな時は許さず、残って覚えるように話します。そして、いっしょに覚えるのを助けて あげるのです。 「最初の『秋の田の」を覚えて下さい。」 「次は、『かりほのいほの』をいっしょに言って下さい。」 「最初から、続けて「秋の田のかりほのいぼの」まで、いっしょに言って下さい。」 このように、小さく区切りながらいっしょに言わせます。 「これは歌ですから、リズムをつけるように言わないと覚えられませんよ。」 とアドバイスします。それを繰り返すうちに覚えられるのです。暗唱し校長室を出て行く時 の子どもたちの顔は笑顔です。7月、9月、10月そして’1月とこれまで4首を5年生と6年 生の子どもたちは覚えてきました。意味も分からない31音の百人一首でも、あきらめずに繰 り返せば必ず覚えられる、それが一人ひとりの自信につながります。 月に1回、試験を受けた後「合格!」と言われると、みなうれしそうな顔をします。 この毎月の百人一首をきっかけとして、自分でいろいろな百人一首の歌を覚えることに挑 戦してる5年生がいます。図書室で百人一首の本を借りたり、自分で百人一首の本を買った りした人もいたようです。小さな「合格」は自信に、そして意欲につながるのです。 <新聞大魔王>:毎日小学生新聞の記事を読み、簡単な問題に答えるプリント 6年生のみなさんがもう6年もすれば大学を受験する時期になります。その頃の大学入試は 現在の大学入試と大きく形を変えるだろうと言われています。家庭学習で「漢字練習・計算 ドリル・音読」の他にどんなことをしていますか?大学入試について、はっきりした方向性 がまだ示されていませんが、子どもたちにつけておきたい力の一つが文章を読む力だろうと ,思っています。 すばやく内容を読み取る力をつけていくためには、様々な文章を読んでいくことが大切で すα文章を読みながら自分の考えをまとめて書けばさらに力がつきます。新聞記事には様々 な分野の文章がのっています。 先日「新聞大魔王」が配布したプリントは「吉村作治さん」の生き方について書かれたも のでした。いじめっ子から逃げるために入った図書室で様々な伝記を読み、その中の-冊の 本との出合いから考古学者を目指した「吉村作治さん」。浪人して東大をめざしたが、挫折。 早稲田に入学し苦労を重ねエジプトへ。そんな記事でした。私は、新聞大魔王のプリントを 見てはじめて知りました。 最初の頃は、廊下に置いておき自由にもらって行って取り組む形でした。最近は違います。4 年生・5年生・6年生全員に配ります。週にl~2回程度です。配布されたら全員、次の日ま で必ず提出するように「新聞大魔王」から担任の先生に連絡が入っています。これまで、取 り組んだ新聞大魔王のプリントを、きちんと半分に折ってファイルにとじてみましょう。と きどき、そのファイルを見返すと「あ_これだけやったんだな。」という自信が出てくるはず です(捨ててしまった人もいるでしょう。その人はこれから)。 「毎日三問テスト・百人一首・新聞大魔王のプリント」やらずに過ごした方が楽だと思いま す。それらは、「ちょっとの困難」です。「ちょっとの困難」を乗り越えることが子どもたち にとって、自信になります。これから様々な困難に出合った時、小学校で乗り越えた様々な 「ちょっとの困難」を思い出すのです。 「県名テスト、あきらめずに練習すればきっと大丈夫さ。漢字だって合格したし、百人一首 だって練習すれば覚えることができたからな・」 そんな気持ちになるはずです。 なぜ、毎日漢字テスト(3.4年)・月に1回百人一首の暗唱(5.6年)・新聞大魔王のプリン ト(4.5.6年)をやるのでしょうか?それは、一人ひとりに小さな自信をもたせるためです。 小さな自信は意欲につながります。その自信や意欲は、これから出合う困難を乗り越えるエ ネルギーになるからです。
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