数の基本法則 経営統計の補足資料 2015年4月20日 金沢学院大学経営情報学部 藤本祥二 具体的と抽象的 問題 細かな条件に惑わされて 普通に問題を解くのが難しい 答え 具体的な問題を抽象化して考える 問題 具 体 的 問 題 抽象化 抽 象 的 問 題 答え 抽象化とは 様々な複数の具体的問題に共通で重要な性質だけを 抽出して一般化すること 問題 具 体 的 問 題 抽象化 具体化 抽 象 的 問 題 答え あえて回り道した方が簡単で応用が効くことが多い 様々なレベルでの抽象化を行い,具体例と行き来をしながら 物事の理解を深めていく姿勢が重要 算数と数学 • 小学校算数では具体的な問題が多い – 「鶴亀算」「和差算」「仕事算」「旅人算」「○○算」・・・ 問題に応じて違う解き方(その問題に特化してるので 素早く解けるが,暗記すべきパターンが多い) • 中学校数学から抽象的な話が増えてくる – 「連立方程式」で○○算を扱う 問題から式さえ抽出すればどの問題でも同じ解き方 (式を抽出する手間はあるが暗記すべきことは少ない) • 考え方の違いを意識して納得すること – 勉強段階では答えを出すことよりも考え方の理解が重要 • 実は「数(かず,すう)」自体も抽象的な概念である – 概念(concept)とは「人間の頭の中にある思惑(認識)の 対象(形態)のこと.人の精神に存在する何か」 「数とは何か?」から始めよう 数の抽出 リンゴ2つとミカン3つ足すとどうなる? ? リンゴ2つとミカン3つ足すとどうなる? ? そのままでは足すことはできない! 大きさ,形,味,匂い等々様々な具体的な概念を取り除き 数という抽象的な概念を抜き出す ○○ + ○○○ = ○○○○○ 問題から数を抜き出せば足すことができる! 具体的な問題では、足し算・引き算は 同質同類[同じ単位]の間でしか実行できない ・個数で単位を揃える 2 個 + 3 個 = 5[個] ・交換価値で単位を揃える 2 リンゴ = 1 ミカン 2 リンゴ + 3 ミカン = 1 ミカン + 3 ミカン = 4[ミカン] ・値段で単位を揃える 1 リンゴ = 10 円 , 1 ミカン = 20 円 2 リンゴ + 3 ミカン = 20 円 + 60 円 = 80[円] ・他にも重さで単位を揃えたり体積で単位を揃えたり等々 (実は単位を揃える際,秘かに掛け算・割り算を使ってる) 抽象的な数を抜き出した後は 数の性質のみに集中できる (他の余計な概念は一旦忘れてよい) 自然数 自然数(natural number) • 集合 ℕ = {1,2,3,4,5,6, … } で表す 0を含めて自然数とする場合もあるが今回は含めない • アラビア数字(算用数字)以外にも様々な表現 – 古代エジプト,メソポタミア,ギリシャ数字,ローマ 数字,漢数字,少数民族の数字,・・・ – ローマ数字では ℕ = {Ⅰ, Ⅱ, Ⅲ, Ⅳ, Ⅴ, Ⅵ, … } – 漢数字ではℕ = {一, 二, 三, 四, 五, 六, … } • 位取りの方法でも色々な表現 – 10進法,2進法,16進法,60進法,12進法,・・・ 表現に依らない自然数の性質が重要 10進法,2進法,3進法,1進法 10進法 2進法 3進法 (0~9の10文字) (0~1の2文字) (0~2の3文字) 9の次に 桁上がり 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 ⋮ 1 10 11 同じ量の数 だが 100 表現が違う 101 111 1000 1001 1010 1011 1100 ⋮ 1 2 10 11 12 20 21 22 100 101 102 ⋮ 1進法 (|の1文字) | || ||| |||| ||||| |||||| ⋮ 1進法 (○の1文字) ○ ○○ ○○○ ○○○○ ○○○○○ ○○○○○○ ⋮ 10進法は9の次に桁上がり 2進法は1の次に桁上がり 3進法は2の次に桁上がり 1進法は桁という概念がない 10進位取り法(10進数) 345 = 3 × 100 + 4 × 10 + 5 × 1 100の位が3 100の塊が3つ =3× 2 10 100 = 102 10を2回掛けた ものが100 +4× 10の位が4 10の塊が4つ 1 10 10 = 101 10を1回掛けた ものが10 1の位が5 1の塊が5つ +5× 0 10 1 = 100 10を0回掛けた ものが1 2進位取り法(2進数) 1012 = 1 × 4 + 0 × 2 + 1 × 1 2進法の101は 4の位が1 4の塊が1つ =1× 2 2 4 = 22 2を2回掛けた ものが4 +0× 2の位が0 2の塊が0 1 2 2 = 21 2を1回掛けた ものが2 1の位が1 1の塊が1つ +1× 0 2 1 = 20 2を0回掛けた ものが1 =4+0+1=5 10進法の5と同じ 自然数の表現に依らない性質 • 最小数1の存在 • どんな自然数でも最小数を加えると次の自然数 になる 10進法(左)で表しても1進法(右)で表しても成り立つ 2 = 1 + 1, ○+○=○○ 3 = 2 + 1 = 1 + 1 + 1, ○○+○=○○○ 4 = 3 + 1 = 1 + 1 + 1 + 1, ○○○+○=○○○○ • 最大数は存在しない (無限に大きな自然数が作れる) 演算 演算とは • 演算(operation) 数(又は数の組)を元に新しい数を作り出す操作 • 四則演算(足し算,引き算,掛け算,割り算) – 足し算(加算) 数4と数3を元に数7を作り出す 4+3=7 – 掛け算(乗算) 数4と数3を元に数12を作り出す 4 × 3 = 12 • 関数も演算の一種 – 角度30°を元に正弦の値0.5を作り出す三角関数 sin 30° = 0.5 自然数の足し算(加算) 足し算について • 足し算(加算,addition) • 演算(operation)の一種 演算とは,数や数の組にある種の加工を行い別の新たな数を作る操作のこと • 以下の2種類の違った操作が考えられる どちらの操作でも演算の結果は同じ数になるので,数に対する操作としては同じことである ・併合(合わせる) ・添加(加える) 足す数 ○○ ○○○ ○○○ 2+3 足す数 ○○○○○ 5 ○○ 足される数 2+3 足される数 自然数の加算の性質 • 「文字𝑎は自然数である」ということを 𝑎 ∈ ℕ と書く 𝑎は自然数集合の要素(どれかの一員)だという意味 • 𝑎, 𝑏 ∈ ℕ の時 𝑎+𝑏 ∈ℕ 「自然数と自然数を足すと必ず自然数になる」 これを「自然数は加算で閉じている」という 自然数同志を足しても自然数の閉じた世界(集合)からは抜けられない (ちなみに引き算や割り算の結果は自然数の集合から飛び出してしまうことがある) 加算の交換則 • 𝑎, 𝑏 ∈ ℕ の時 𝑎+𝑏 =𝑏+𝑎 この式は加える数と加えられる数を逆にしても 演算結果は変わらないという意味(以下具体例) 数の表現に関係なく 2+3=3+2=5 成り立つ性質 ○○+○○○=○○○+○○=○○○○○ 注)当たり前のように見えるが引き算では 成り立たない特別な性質 2−3≠3−2 加算の結合則 括弧で括った方を先に演算する • 𝑎, 𝑏, 𝑐 ∈ ℕ の時 𝑎 + 𝑏 + 𝑐 = 𝑎 + (𝑏 + 𝑐) 足す順番の優先順位を変えても計算結果は同じ 具体例) 2+3 +4=5+4=9 2+ 3+4 =2+7=9 ○○+○○○ +○○○○=○○○○○+○○○○=○○○○○○○○○ ○○ + ○○○+○○○○ =○○+○○○○○○○=○○○○○○○○○ これも引き算では成り立たない特別な性質 2− 3−5 ≠ 2−3 −5 自然数の掛け算(乗算) 掛け算の性質 • 掛け算(乗算,multiplication) • 2を3回足すことを2の3倍と定義する – 「2を3回足す(3倍する)と6」(日本語的な語順) 2×3=2+2+2=6 – 「3 times 2 is equal to 6」(英語的な語順) 3×2=2+2+2=6 言語によって 順番は違うが 「掛ける数」と 「掛けられる数」 は意味が違う • 𝑎 ∈ ℕ, 𝑏 ∈ ℕ の時 𝑎×𝑏 ∈ℕ 「自然数は乗算で閉じている」という 𝑏を𝑎回足すことなので加算が自然数で閉じてれば乗算 も自然数で閉じてるといえる 掛け算の交換則 • 𝑎, 𝑏 ∈ ℕ の時 𝑎×𝑏 =𝑏×𝑎 掛ける数と掛けられる数を逆にしても計算結果 は変わらない 例) 2×3=3×2=6 2 ×○○○=○○○+○○○=○○+○○+○○= 3 ×○○ 注)割り算では成り立たない性質 2÷3≠3÷2 乗算の操作(2種類) • 「一次元」的な伸び(倍)の操作 3 × 2 = 3 ×○○=○○ ○○ ○○ 3倍に伸びる 線が3倍に伸びる イメージ • 「二次元」的な積(積み上げ)の操作 ○○ 2を3段に 3×2=○○ 積み上げる ○○ 面積のイメージ 縦横入れ替えれば交換則のイメージが分かりやすい 具体的な状況に応じて2種類のイメージを使い分けることが重要 単位について • 数や量の塊に名前を付けたものが単位 • 単位当たり量 – 3個を塊にして1皿に乗せるこれを3 個/皿 と書く 「1皿(1単位)当たり3個、これが2皿(2単位)では 何個?」 違う単位の掛け合わせ で単位が変わる 2 皿 × 3 個/皿 = 6 個 皿 × + = 個 = 個 皿 具体例では単位に注意 • 1皿にリンゴが2個、3皿で何個? 3 皿 × 2 個/皿 = 6 個 「1皿当たり2個」という「単位当たり量」が「3単位」で「6個」 ○ ○ 2 個/皿 3[皿] ○ ○ 2[個/皿] = 6[個] ○ ○ 2[個/皿] • 掛け算・割り算では「数の塊(単位当たり量,1当たり量)」 に「新たな名前の単位を付ける」ことで違った単 位の量の間の計算をしていることにできる (足し算・引き算は同じ単位の量の間でしかできなかった) 具体例で交換則を考える • 3皿に1個ずつリンゴを2回配ると全部で何個? 2 回 × 3 個/回 = 6 個 「1回当たり3個」という「単位当たり量」が「2単位」で「6個」 3[個 回] 3[個 回] ○ ○ 1回で (1皿に1個ずつ) = 6[個] ○ ○ 3個配る ○ ○ 2[回] • 具体度を上げて単位をつけると分かりにくいが, じっくり考えると交換則はちゃんと成り立っている 前ページと比較せよ.結果は同じだが解釈(やり方)が違う. 単位の枠 を取っ払った方が交換則は分かりやすい. 様々な乗算 • 時速 2[km 時] で 3時間歩くと何km? 掛け算の結果 2[km 時] × 3 時間 = 6[km] 単位が変わる例 「1時間当たり2km」という「単位当たり量」が「3単位」で「6km」 1[時間] 2[km 時] 1[時間] 1[時間] 2[km 時] 2[km 時] 6[km] • 2[km] の 3倍 は何km? 3 × 2 km = 6[km] 掛け算の結果 単位が変わらない例 掛け算(割り算)の結果は単位が変わる場合と変わらない場合があるので注意 「ある量を○倍する」や「ある量の○割を求める」の結果は単位が変わらない 乗算の結合則 • 𝑎, 𝑏, 𝑐 ∈ ℕの時 𝑎×𝑏 ×𝑐 =𝑎× 𝑏×𝑐 例) 2 × 3 × 4 = 6 × 4 = 24 2 × 3 × 4 = 2 × 12 = 24 2 2×3 2×3 2×3 2×3 ○○○ ○○○ ○○○ ○○○ ○○○ ○○○ ○○○ ○○○ 2 × 3が4つ 2つの3 × 4 3 3×4 3×4 4 どの順番で計算しても 体積は同じ(3次元的イメージ) 分配則(加算と乗算の架け橋) • 𝑎, 𝑏, 𝑐 ∈ ℕ の時 𝑎× 𝑏+𝑐 =𝑎×𝑏+𝑎×𝑐 𝑎+𝑏 ×𝑐 =𝑎×𝑐+𝑏×𝑐 ○○○ ○○○○ ○○○ ○○○○ 3×2+4×2 =6+8 = 14 コメント: 括弧がない時、掛け算の方 が優先順位が高い(慣例) 掛け算は足し算よりも 結びつき感が強い. 括弧()で括らなくても 演算の優先度は掛け算の 方が足し算より高い 掛け算の結果は何かの 単位を持った塊である感覚 が強いので互いの結びつき は足し算より強く感じる. 3+4 ×2 =7×2 = 14 3 2 3×2 4 4×2 面積のイメージ 乗算の定義の見直し • 𝑎 ∈ ℕ の時 1×𝑎 =𝑎 を定義すれば、分配則から掛け算の定義が出る 例) 2×3= 1+1 ×3 =1×3+1×3 =3+3 「2 × 3は3を2回足す」という定義は「1 × 3 = 3と分配則の組み合わせ」と同値 • 1 × 𝑎 = 𝑎と分配則があれば𝑎 × 𝑏は𝑏を𝑎回足すという 掛け算の定義は必要なくなる (同じことなので,どちらかの定義で十分) 自然数の加算・乗算の基本法則 𝑎, 𝑏, 𝑐 ∈ ℕ の時, 「最小数1の存在」「𝑎の次の数は𝑎 + 1」「1 × 𝑎 = 𝑎」を定儀 • 𝑎+𝑏 ∈ℕ 加算で閉じてる • 𝑎×𝑏 ∈ℕ 乗算で閉じてる • 𝑎+𝑏 =𝑏+𝑎 加算の交換則 • 𝑎×𝑏 =𝑏×𝑎 乗算の交換則 • 𝑎 + 𝑏 + 𝑐 = 𝑎 + (𝑏 + 𝑐) 加算の結合則 • 𝑎 × 𝑏 × 𝑐 = 𝑎 × (𝑏 × 𝑐) 乗算の結合則 • a+b ×𝑐 =𝑎×𝑐+𝑏×𝑐 分配則 以上の演算法則を要請すれば加算・乗算は全て実行可能 • 以上の演算法則が数字の表現形式に依らないことが重要 • 逆にこれらの性質を「数」と「加乗演算」の基本法則だと考え て「数」概念を自然数以外に拡張していくことができる 計算例 • 7 + 4 = 11 ⅦはⅤの次の次の数 Ⅶ+Ⅳ= Ⅴ+Ⅰ+Ⅰ +Ⅳ = Ⅴ + Ⅰ + Ⅰ + Ⅳ = Ⅴ + Ⅰ + Ⅴ 結合則や 交換則を使う = Ⅴ + Ⅴ + Ⅰ = Ⅹ + Ⅰ = ⅩⅠ • 12 × 3 = 36 ⅩⅡ × Ⅲ = ⅩⅡ × Ⅰ + Ⅰ + Ⅰ Ⅲを分解し,分配則 = ⅩⅡ + ⅩⅡ + ⅩⅡ = Ⅹ+Ⅱ + Ⅹ+Ⅱ + Ⅹ+Ⅱ 結合則や 交換則を使う = Ⅹ+Ⅹ+Ⅹ + Ⅱ+Ⅱ+Ⅱ = ⅩⅩⅩ + Ⅱ + Ⅱ + Ⅰ + Ⅰ = ⅩⅩⅩ + Ⅴ + Ⅰ = ⅩⅩⅩⅥ • ローマ数字は計算にはあまり向いていない数の表現であるが, 基本法則を丁寧に使えば計算することができる 5の塊や10の塊を上手く見つけると良い 「数」概念の拡張 0の発見 • 位取り記数法で空位の0を表す記録用の記号 (千二十四を124ではなく1024と書くための記号) – 紀元前2世紀バビロニア,3~9世紀マヤ文明,等々 • 0の発見(0を演算対象にした) – 7世紀のインド(0の概念を確立した最古の文献) – 紀元前1世紀頃の中国(九章算術)が最初という説も • インドの数字や計算がアラビアに伝わる – 9世紀バグダード(知恵の館で古代ギリシャやインド の数学の翻訳や研究,代数学の発展) • アラビア数字(インド数字)がヨーロッパに伝わる – 13世紀イタリアのフィボナッチ(算盤の書) 数の概念を拡張するには • 古い概念の数 新しい概念の数 数を拡張する • 古い概念の便利な法則が,新しい概念でも 可能な限り成り立てば便利 どうしても成り立たせられないときや,成り立たせると更に不便になるようなときは, その法則はあきらめる。(実際に交換則が成り立たないような数も存在する) 新しい概念{0} ({0}を含むように数概念を拡張する) 古い概念ℕ = {1,2, ⋯ } 基本法則 (交換則,結合則,・・・) こっちでも 基本法則が 成り立つように 拡張する 0の扱い • 自然数集合に0の集合を合併した集合を考える ℕ⋃ 0 = 0,1,2, … ∪は集合を合併して新しい集合を作る操作を表す集合に関する演算記号 • 0は加算の実行に於いて足される数を変えない 数として定義する 𝑎 ∈ ℕ ∪ {0} の時 𝑎 + 0 = 𝑎, (0 + 0 = 0も含んでる) • この時、0の乗算をどのように定義するか? 0倍ってどういうことにすればよいのか? 自然数の時の基本法則を変えないように決める (具体的な解釈は後で考察する) 0の乗算 • 0 を加えた集合でも自然数の時の演算法則(閉じてい る、交換則、結合則、分配則)が成り立つように0の乗 算を定義すればよい • 𝑎, 𝑏 ∈ ℕ ∪ {0} の時、 0の定義 𝑏 = 𝑏 + 0 を使うと 𝑎×𝑏 =𝑎× 𝑏+0 • 右辺に分配則を使うと 𝑎×𝑏 =𝑎×𝑏+𝑎×0 • 上の式が成り立つためには 𝑎×0=0 この2つを認めれば 閉じてること、結合則は にしなければならない 自動時に成り立つことは • 交換則が成り立つためには 簡単に確認できる 0×𝑎 =0 0倍をどう解釈するか • • • • 2の3倍 2の2倍 2の1倍 2の0倍 3 ×○○=○○ ○○ ○○= 6 2 ×○○=○○ ○○ = 4 1 ×○○=○○ =2 0 ×○○= =0 2 ず つ 増 え る 2 ず つ 減 る (○で表現した1進法では文字が1種類しかないので0は表現できない) • 2を0倍すると何も無くなっちゃう.つまり0にな ると解釈すればよい • 同様に𝑎の0倍も0になると解釈すれば良い 0を含めた加算・乗算の基本法則 𝑎, 𝑏, 𝑐 ∈ ℕ ∪ {0} の時「 𝑎 + 0 = 𝑎」 を定義して • 𝑎 + 𝑏 ∈ ℕ ∪ {0} 加算で閉じてる • 𝑎 × 𝑏 ∈ ℕ ∪ {0} 乗算で閉じてる • 𝑎+𝑏 =𝑏+𝑎 加算の交換則 • 𝑎×𝑏 =𝑏×𝑎 乗算の交換則 • 𝑎 + 𝑏 + 𝑐 = 𝑎 + (𝑏 + 𝑐) 加算の結合則 • 𝑎 × 𝑏 × 𝑐 = 𝑎 × (𝑏 × 𝑐) 乗算の結合則 • 𝑎+𝑏 ×𝑐 =𝑎×𝑐+𝑏×𝑐 分配則 が成り立つように 要請すれば他の演算ルールが決まる 数の基本法則を満たすようになったので,0が数の仲間とし て認められる(安心して基本法則を使うことができる) 基本法則を満たす為には𝑎 × 0 = 0とするしかない 課題について • 数の計算は基本法則にさえ従って実行すれば 途中計算はどのような方法でも良い • 数の基本法則に慣れることが最重要 – 数字でも文字でも自由自在に扱えるように • 同じ計算でも様々な方法があるので,あえて 色々な方法を試してみること – 慣れないうちは途中計算を丁寧に書く – たくさんのやり方をひねり出す練習が問題解決能力 を上げる – 結果よりもプロセス(過程)を重視 計算例 56 + 78 = 5 × 10 + 6 + 7 × 10 + 8 = 5 × 10 + 7 × 10 + 6 + 8 交換・結合則 = 5 + 7 × 10 + 6 + 8 分配則 = 12 × 10 + 14 = 120 + 14 筆算の原理は 56 = 134 数の基本法則 + 78 14 ← 6 + 8 + 120 ← (5 + 7) × 10 134 計算例2 56 + 78 = 34 + 22 + 78 = 34 + 22 + 78 100を作るように = 34 + 100 数字を分解して = 134 結合則を使う 56 + 78 = 56 + 44 + 34 = 56 + 44 + 34 = 100 + 34 = 134 計算例3 56 × 78 = 5 × 10 + 6 × 7 × 10 + 8 = 5 × 7 × 10 × 10 + 6 × 7 × 10 + 5 × 8 × 10 + 6 × 8 = 3500 + 420 + 400 + 48 = 4368 56 筆算の原理は × + 78 数の基本法則 48 ← 6 × 8 400 ← 5 × 8 × 10 420 ← 6 × 7 × 10 3500 ← (5 × 7) × 10 × 10 4368 計算例3(文字式) • 文字式でも,その文字が数を表しているのな ら,数の基本法則を安心して使うことができる 𝑎+𝑏 ∈ℕ∪ 0 • 𝑎, 𝑏 ∈ ℕ ∪ 0 の時 なので 𝐴 ∈ ℕ ∪ 0 を用い 𝑎 + 𝑏 𝑎 + 𝑏 = 𝐴 𝑎 + 𝑏 𝑎 + 𝑏 = 𝐴と置く 誤解がない限り 掛け算記号は 分配則を使った = 𝐴𝑎 + 𝐴𝑏 省略できる = 𝑎 + 𝑏 𝑎 + 𝑎 + 𝑏 𝑏 𝐴 = 𝑎 + 𝑏を戻す 分配則 = 𝑎𝑎 + 𝑏𝑎 + 𝑎𝑏 + 𝑏𝑏 2乗(自乗)は 2 2 指数を使って 交換則 = 𝑎 + 𝑎𝑏 + 𝑎𝑏 + 𝑏 書ける 𝑎𝑎 = 𝑎 2 = 𝑎2 + 1 + 1 𝑎𝑏 + 𝑏 2 結合則 = 𝑎2 + 2𝑎𝑏 + 𝑏 2 計算例4(文字式の利用) 𝑎𝑥 + 𝑏 = 𝐴と置く • 𝑎, 𝑏, 𝑐, 𝑑, 𝑥 ∈ ℕ ∪ 0 の時 𝑎𝑥 + 𝑏 𝑐𝑥 + 𝑑 = 𝐴 𝑐𝑥 + 𝑑 = 𝐴𝑐𝑥 + 𝐴𝑑 交換則や = 𝑎𝑥 + 𝑏 𝑐𝑥 + 𝑎𝑥 + 𝑏 𝑑 結合則や = 𝑎𝑥𝑐𝑥 + 𝑏𝑐𝑥 + 𝑎𝑥𝑑 + 𝑏𝑑 分配則を = 𝑎𝑐𝑥𝑥 + 𝑏𝑐𝑥 + 𝑎𝑑𝑥 + 𝑏𝑑 使って変形 = 𝑎𝑐𝑥 2 + 𝑏𝑐 + 𝑎𝑑 𝑥 + 𝑏𝑑 • 𝑎 = 5, 𝑏 = 6, 𝑐 = 7, 𝑑 = 8, 𝑥 = 10とすると 56 × 78 = 5 × 10 + 6 × 7 × 10 + 8 = 5 × 7 × 102 + 6 × 7 + 5 × 8 × 10 + 6 × 8 = 35 × 100 + 42 + 40 × 10 + 48 = 3500 + 820 + 24 = 4368
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