技術資料 果樹のクワゴマダラヒトリについて;pdf

技
術
資
料
平成 27 年3月 25 日
香川県農業試験場病害虫防除所
果樹のクワゴマダラヒトリについて
(春期の対策)
クワゴマダラヒトリ産卵植物(アカメガシワ)周辺の雑草において、クワゴマダ
ラヒトリ越冬幼虫の発生量が多い地域が認められた。今後、果樹園に侵入し、新梢
の食害が急増するおそれがあるため、早急な防除対策が必要である。
[被害が予想される作物]
カンキツ、カキ、モモ、ブドウ、ナシ、ウメ、キウイフルーツなどの果樹全般
[発生生態]
成虫は年 1 回の発生で、8 月下旬から 9 月にかけて発生し、産卵はアカメガシワ等の産
卵植物の葉上に数千粒の卵塊で産み付ける。
幼虫は産卵後 10 日程度でふ化し、葉上で糸を吐いてテント状の巣網を張り、集団をつ
くる。その後、産卵植物が落葉するまで摂食を続ける。落葉したり、摂食できなくなると
樹下におりて、12 月上旬になると越冬に入る。
越冬は、主に5齢幼虫が地表で落葉をつづり合わせて数匹から数十匹の集団で行う。
越冬後は集団を作らず雑草や背の低い樹木の新芽や新梢を加害し、特に下草の生えてい
る園では裸地園に比べて発生が多い。加害は 5 月中旬まで行い、その後、蛹になる。
写真1
クワゴマダラヒトリ越冬幼虫
1
[今年の発生状況]
西讃地区を中心に発生が多くなっており、発生地点率は過去 10 年間でもっとも高くな
っている。
表1 クワゴマダラヒトリ越冬幼虫発生状況発生地点率(%)
(3月下旬~4月上旬調査)
年/地点
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
平年値
五色台
35.0
60.0
14.7
0
0
4.9
23.5
26.7
68.2
7.3
0
24.0
善通寺
16.6
0
26.5
33.3
38.1
19.1
大野原
0
3.1
6.9
0
10.8
5.1
0
0
0
10.5
95.2
3.6
平均
17.5
31.6
10.8
0
5.4
5.0
13.4
8.9
31.6
17.0
44.4
14.1
*-は調査なし
[防除対策]
1.果樹園周辺部、特に雑木林外縁部での越冬幼虫の発生状況に注意する。
2.果樹園に侵入していない場合は下草の除草を行い、園内に侵入させないようにする。
3.幼虫の発育が進むと効果が劣るので,果樹園での発生を認めたら直ちに薬剤を散布す
る。
表2 ケムシ類またはクワゴマダラヒトリに登録のある薬剤
(香川県主要農作物病害虫・雑草防除指針より抜粋)
薬
剤
名
カルホス乳剤
カンキツ
ミカン
その他
カキ
モモ
ブドウ
ナシ
〇
〇
果樹類
〇
オリオン水和剤40
〇
〇
ラービン水和剤75
〇
ダントツ水溶剤
〇
アルバリン顆粒水溶剤
〇
スタークル顆粒水溶剤
〇
サムコルフロアブル10
〇
フェニックス顆粒水和剤
〇
フェニックスフロアブル
〇
デルフィン顆粒水和剤
〇
(BT剤)
ファイブスター顆粒水和剤
〇
(BT剤)
*使用基準はラベルを確認すること。
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