乳化重合における期間 I、期間 II、期間 III 図は典型的な疎水性モノマーであるスチレンの乳化重合系における重合率と重合 速度並びに表面張力の関係で、期間 I、II、 III に分けることができます。期間 I では、モノマーを可溶化した乳化剤ミセル(直径 5-10 nm, 1018 個/mL)中に水相で 発生した開始剤ラジカルが浸入して重合が進行し、次々にポリマー粒子が形成さ れていくので最終的に乳化剤ミセルが消失し(そのためにその前後で表面張力が 急激に上昇)、ポリマー粒子の生成が完了します。期間 II では、重合の場である ポリマー粒子の数が一定(1014 個/mL)で、その中には開始剤ラジカルが 10 秒毎 に浸入して瞬間的に停止反応が起こるためにラジカル数は0か1個で、また水相 に分散したモノマー滴(直径約3µm, 1010 個/mL)からモノマーが移動して常にモ ノマーで飽和しているので結果として重合速度は一定です。期間 III では、モノマ ー滴が消失してモノマーの補給がないために粒子中のモノマー濃度が減少し、そ れに伴って重合速度が低下していきます。
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