前回の復習 日本銀行によるハイパワード・マネーの増減には、3つの方法 ① 民間金融機関への貸し出し ② 公開市場操作による市中との債券の売買 ③ 外国為替市場への介入 1 前回の復習 ① 民間金融機関への貸し出し 手持ちの国債・債券・手形などを担保にして、中央銀行か ら資金を借りる。 ⇒ 中央銀行から“リザーブ”に資金が振り込まれる 公定歩合: 中央銀行の貸出金利 2 前回の復習 ② 公開市場操作による市中との債券の売買 ・ 買いオペレーション: 中央銀行が債券を買う (買いオペ) ⇒ ハイパワード・マネー増加 ・ 売りオペレーション: 中央銀行が債券を売る (売りオペ) ⇒ ハイパワード・マネー減少 3 前回の復習 ③ 外国為替市場への介入 中央銀行はたくさんの外貨(ドル、ユーロなど)を保有している ⇒ 「外貨準備」 中央銀行は外貨準備を用いて為替レートに影響を与える ⇒ 「為替介入」 4 前回の復習 ・ 手持ちのドルを売って、円を買う ⇒ 円高ドル安 ⇒ ハイパワード・マネー減少 ・ 市中からドルを購入して、円を放出 ⇒ 円安ドル高 ⇒ ハイパワード・マネー増加 5 前回の復習 1 M H 1 : 信用乗数 ⇒ マネーサプライは、ハイパワード・マネーの一定倍 6 4.6. 信用乗数の背後にあるメカニズム 預金の自己増殖メカニズム(信用創造メカニズム) ・ 銀行は預けられた預金をそのままにはしない! ⇒ 利益を求めて、資金として貸し出す (→利子収入を得る) ⇒ 貸し出された資金は、別の銀行の預金になる 7 4.6. 信用乗数の背後にあるメカニズム 例: 1.A銀行が a 企業に資金貸し出し(口座に“預金”として振り込まれる) 2.a 企業はこの資金を、取引相手の b 企業への支払いに利用 3.b企業は受け取ったお金を、B銀行の b 企業の口座に振り込む 4.B銀行に新たな“預金”が生まれる 5.“預金”の一部は預金準備や、b 企業の引き出し(現金化)によって減少 6.残りの“預金”は、新たな貸し出しとして、B銀行から出ていく 8 4.6. 信用乗数の背後にあるメカニズム 預金準備 A銀行の預金 預金準備 C銀行の預金 B銀行の預金 現 金 現 金 預金準備 D銀行の預金 現 金 預金準備 E 銀行の預金 現 金 預金準備 F 銀行の預金 ・・・・ 現 金 9 4.6. 信用乗数の背後にあるメカニズム “預金”は、貸し出しを通じて“預金”を生み出すという形で増殖する ⇒ 1~6を繰り返す(預金の自己増殖メカニズム) ただし、無限に増えていくわけではない! ⇒ 現金化や預金準備によって、“預金”の増分は しだいに減少する。 10 4.6. 信用乗数の背後にあるメカニズム 最終的な預金の増加分(マネーサプライの増加)は“信用乗数“の 大きさに依存 1 : 信用乗数 1.現金預金比率(α)が大きいと、乗数 ↓ 2.預金準備率(λ)が大きいと、乗数 ↓ ⇒ 人々が現金を選好するほど、また預金準備率が高いほど、 増殖メカニズムからの漏れが大きくなり、最終的なマネーサプライ の増分が小さくなる。 11 4.7.信用乗数とマネーサプライの変化 マネーサプライの量は次の式で決まる 1 M H M:マネーサプライ、 λ :預金準備率、 ① H の増加 H:ハイパワード・マネー α :現金預金比率 ⇒ 乗数倍だけ M が増加 例: 中央銀行の買いオペ 12 4.7.信用乗数とマネーサプライの変化 ② 預金準備率(λ)の低下 ⇒ H が一定でも M が増加 例: 法定準備率の低下 ③ 現金預金比率(α)の増加 ⇒ H が一定でも M が減少 例: 金融不安で、預金を引き出して、タンス預金 例: 年末や正月に現金保有性向が高まる ⇒ 中央銀行は H を増やして、M の減少を防ぐ 13 まとめ 1.貨幣量(マネーサプライ)は、“現金”と“預金”の合計 2.マネーサプライは、中央銀行が操作するハイパワード・ マネーによって調整される。 ⇒ “金融政策” 3.マネーサプライの大きさは、信用乗数の大きさに依存。 14
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