看護学生の実習におけるコミュニケーション困難

【一般口頭発表】
14:50~15:00
【一般口頭発表】
(第 2 会場・小ホール)
人材育成・人材確保
看護部門
看護学生の実習におけるコミュニケーション困難
15:00~15:10
(第 2 会場・小ホール)
人材育成・人材確保
看護部門
実践に向けた看護基礎教育における看護過程教育
の検討~新人看護師アンケート調査からの分析~
《演者》
戸田中央看護専門学校
《演者》
土澤 るり
横浜未来看護専門学校
北澤 伯子
1.研究目的
実習場面で学生が感じる患者とのコミュニケーション
困難について、学生が獲得するスキルを[基本的スキ
ル][対人能力][看護における専門的スキル]の観点から
把握し分析する。
1.研究目的
戸田中央医科グループ(以下 TMG と略す)内の新
人看護師に、卒業校での看護過程教育について調査
を行い、看護基礎教育での教育効果を明らかにし、当
校の看護過程教育の方向性を確立する。
2.研究方法
1)研究デザイン:文献研究、2)データ収集期間:平成
25 年 7 月~10 月、3)研究対象:17 論文より抽出した
[看護学実習におけるコミュニケーション場面での看護
学生の抱える困難]場、4)文献検索方法:医学中央雑
誌 web を用い、キーワード[看護学実習][コミュニケーシ
ョン][困難][不安]による過去 10 年間(2003~2012 年)
の国内の文献検索より 55 件抽出しうち入手可能な 17
件、5)データ収集およびデータ分析方法:文献より抽出
した看護学生が体験する臨地実習において、学生が抱
く[困難][ストレス][不安][戸惑い]の内容を表す 1 文を記
録単位とする、6)分析方法:コミュニケーション困難場面
の特徴について基本的スキル、対人スキル、看護にお
ける専門的スキルの観点からその特徴を把握した。最
後に、困難場面における教育の視点を明らかにした、
7)倫理的な配慮:文献内容の理解には、著者の意図す
る内容を読み込み、記述内容を変えないよう努める。
2.研究方法
平成 23 年 4 月に TMG へ入職した新人看護師のう
ち 23 名に、卒業校の教育課程、看護過程で使用して
いた看護理論、看護過程学習での事例展開数等につ
いて自記筆質問紙による質問紙調査実施。
3.研究結果
実習におけるコミュニケーション困難場面の総データ
数は 215 個。基本的スキルは 62 個、対人関係能力は
54 個、専門的なスキルは 78 個、問題解決スキルは 21
個であり、基本的スキルでは、多い順に[解読]32 個、
[患者尊重]29 個、[感情統制]28 個、[関係維持]28 個
である。患者とのコミュニケーション困難は、基本的スキ
ル、応用スキル、専門的スキルのすべてにおいて存在
した。
4.考察
患者と学生の持つ概念の枠組みは主観的なもので、
その時の送り手の意味内容を受け手が適切に解読する
とはかぎらない。コミュニケーション困難は 1 人の学生と
1 人の患者との関係において関係開始から関係維持、
援助場面の一連のプロセスすべてにおいて存在すると
いうよりは、ある場面における患者との関係性において
存在するものであった。
第 53 回TMG学会
3.研究結果
対象教育課程は、3 年課程 14 人、2 年課程 8 人、
大学 1 名。夫々に活用していた看護理論は、3 年課程
ゴードン 9 名、松木理論 4 名、2 年課程は、薄井理論 3
名、ゴードン 2 名、大学卒は NAND-Iであった。看護
過程での事例展開数は、平均 6.1 事例、領域別事例展
開数は、成人看護学領域 44 事例が多く、それが卒業
後「活用されなかった」12 名。「活用された」が 11 名で
あり、うち 6 名が、「病院で採用している理論と理論が違
ったので戸惑った」との回答であった。また、看護学校
で学びたかった看護過程での理論は、NANDA-Iが
23 名中 22 名であった。
4.考察
本研究で、対象から、卒業校での看護過程の展開回
数は、平均約 6.1 回、看護学校での看護過程の学び
は、卒業後に活用する理論が異なると、入職後に戸惑
いが生じ、看護学校での学びが「活用されない」という
意識をもつことが把握できた。看護学校で看護診断の
使用を 96%が望んでおり、本校でも看護診断を取り入
れ、看護過程の展開の意義や目的を大切にしなからの
教育方法が課題となった。