自分のこととして考える授業づくり 《 3学年の実践(算数科)実践者 高橋 雄二・柴田 弥生・渡邊 孝子 》 Ⅰ Ⅱ 単元名 わり算を考えよう ~あまりのあるわり算~ 学年の取り組み □手立て1…「課題のあり方」を考えること, □手立て2…「学習のタイプ別の違いを明確にすること(本当の課題を考えるタイミングも含め て) 」を考えること, □手立て3…自分の考えを分かりやすく伝えさせる指導の工夫をすること, これらを手立てとして, 「自分のこととして考えることができる子ども」をめざした。 Ⅲ 本実践の展開 あ ま り の 意 味 を 考 え る 。 1 物を分けるときに,ぴったりに分けられないときがあることを知り,このような計算に ついて課題をもつ。 【手立て3】 2 包含除,等分除で,わり算の式を立式し,答えを求め,あまりの意味を考えたり,答え のたしかめを知ったりする。 【手立て3】 3 あまりを切り上げたり,切り捨てたりして処理する問題について考える。 【手立て1】 【手立て2】【手立て3】 【手立て1】について 授業の工夫 児童の生活の中から課題を設定し,場面の様子について具体的なイメージをもたせ,自 分なりの目的をもって,学習活動に向かうようにさせる。 具体的な手立て (1) 理科の学習で経験した畝作りやキャベツの栽培の場面を,課題(学習の問題文)にする。 (2) あまりのキャベツも含めて,全部植えなければならないという必要感をもたせる。 授業の実際 T A児 T B児 A児 C児 全部は大事ですか? 全部植えるのは無理です。 全部植えるにはどうしたらいい? Aくんが全部植えるのは無理って言ってた。 畝が5つだと,キャベツが3個あまるし,畝が6つあるとキャベツが1個足りない。 全部植えるには,どうすればいいんだろう? 成果と課題 (1)より生活場面に近づける課題にするには,B問題を意識する。 (2)経験したことが問題になっているため,切実感を強めながら,学習が進められた。 20 【手立て2】について 授業の工夫 児童の思考する過程を丁寧にたどらせる。 課題から出てくる本当の課題を,全員のものにする。 具体的な手立て (1)①問題を理解する活動(問題の把握) ②問題場面を図式化する。 ③式を書く。 ④あまりの処理について考える。 (子どもの疑問を拾い上げる等) 課題提示から,自力解決の場面までの過程を全員で丁寧にたどらせる。 (2)異なる考えを視覚的に捉えられるようにし,ポイントが分かる話し合いをすることで子ども 同士が説得し合える。 成果と課題 問題文を読む方法が身に付いた。 友だちの考えと比べながら,興味を持ち続けて話し合うことができてきた。 【手立て3】について 授業の工夫 図や式,言葉を使ってノートに書く学習を継続することで,自分の考えを分 かりやすく伝えさせる。 具体的な手立て (1)ノートに図や式などで考えを表す活動を取り入れる。 見やすい図や言葉,分かりやすい式,矢印や記号,色を変えるなど,具体的な方法を指導 する。 (2)発表や相談の場面などで,互いのノートを見合ったり,教師が板書で書き方を提示したり して,書き方を学び合わせる。分かりやすく伝え合う活動につなげる。 (3)課題に対して,また話し合いでの自分の考えや立場を明確にするため,ネームカードを使 用する場を設ける。 成果と課題 図の中のどの部分が問題になっているのかなど,視覚的に捉えられることで「ポイ ントを意識した練り上げ」という議論ができるようになってきた。 分かりやすく伝えるための説明の仕方,聞き方,説明を受けた後に自分の考えをど う表明すればいいかなどの話し方の工夫は,まだ課題がある。 21
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