「比べ読み」の効果を生かし,意欲を引き出す。 単元の導入時に言語活動

自分のこととして考える授業づくり
《
5学年の実践(国語科)実践者 東海林 一善・高崎 亜紀子・佐藤 由美
》
Ⅰ
Ⅱ
単元名
金子みすヾの詩の世界を味わおう ~みすヾさがしの旅~
学年の取り組み
見通しが持ちやすい単元構成の工夫と自分の考えが持ちやすい比べ読みさらには、交流形態の工夫
で,自分のこととして考えることができる子どもをめざした。
【手立て1】について
Ⅲ
本実践の展開
1
金
子
み
す
ヾ
の
い
ろ
い
ろ
な
詩
を
読
み
味
わ
う
授業の工夫
単元の学習内容を知り,学習の
見通しをもつ。
【手立て1】
金子みすゞのお気に入りの
詩を選び紹介し合おう。
2
教材文を読み,みすヾの詩と出
会い全作品にたどり着くまでの
筆者の行動や気持ちを読み取る。
3 みすヾの他の作品を読み,気に
入った詩の紹介文を書いて読み
合う。
(1)二つの作品を読み比べて気
がついたことを 出し合う。
【手立て2】
【手立て3】
(2)お気に入りの詩を一つ選び
紹介文に書き表す。
(3)友達の書いた紹介文をお互
いに読み合い感想を交流す
る。
【手立て3】
単元の導入時に言語活動を示し,ゴールを明確にすること
で,安心感と見通しをもたせ,自分なりの目的をもって,学
習活動に向かうようにさせる。
【*1】
具体的な手立て
(1) 「紹介文を書く」という単元を貫く言語活動を仕組むこ
とで,目的意識と興味を持続させる。
(2)
金子みすゞの作品の特徴をとらえやすくするため
に,市立図書館から,金子みすゞの本を30冊借り,
同一作家の複数の作品を読み比べることができるよ
うにする。
教師が提示した紹介文
(3) 自主学習の課題に
奨励することで,自
分の学習,自分のこ
ととして考える姿勢
育てる。
成果と課題
(1)見通しもち,自分なりの目的をもって学習活動に向かうようになった。
(2)目的意識が生まれ,「読まされている感」が少なくなった。
【手立て2】について
授業の工夫
「比べ読み」の効果を生かし,意欲を引き出す。
具体的な手立て
(1) みすゞの作品から、同じような題名の詩を2つ
選び,比べ読みをさせる。
(2) 内容面と表現の面で「似ているところを見つけ
る」ことを視点に考えさせる。
(3) 比べ読みの効果は
①「もっと読みたい」という思いを生む。
②様々な違いを発見する喜びを知り,知識や情
報を豊かにしたり,読書の範囲を広げたりす
ることにつながる。
③多くの本や詩などを読むことの意義や楽し
さを実感できる。
成果と課題
自分の課題として受け止め,もっと読みたいとい
う気持ちが向上した。
24
比べ読みの作品例 児童の感想
⑩
し
ま
う
の
に
⑨
土
は
か
く
れ
て
⑧
し
げ
っ
た
ら
、
⑦
草
が
あ
お
あ
お
⑥
育
て
ま
す
。
⑤
土
は
ひ
と
り
で
④
草
の
子
を
、
③
な
ん
千
万
の
②
草
の
子
を
、
①
か
あ
さ
ん
知
ら
ぬ
土
と
草
⑭
お
や
ど
を
す
る
よ
。
⑬
名
の
な
い
草
の
「土」の詩と「土と草」の詩は,同じみたい
で,かげで活躍するものもいるから,活躍し
ないものはないよ,ということをどちらの詩
も言いたいと思う。だからみんなも自分が私
はだめだ,全然人の役に立てないと思った時
でも,この詩を思い出して,役に立たない物
はいないと考えた方がいいと思う。
⑫
い
え
い
え
そ
れ
は
⑪
い
ら
な
い
土
か
。
⑩
ふ
ま
れ
ぬ
土
は
⑨
ぶ
た
れ
ぬ
土
は
⑧
車
を
通
す
よ
。
⑦
よ
い
み
ち
に
な
っ
て
⑥
ふ
ま
れ
る
土
は
⑤
朝
か
ら
ば
ん
ま
で
④
よ
い
麦
生
む
よ
。
③
よ
い
は
た
け
に
な
っ
て
②
ぶ
た
れ
る
土
は
①
こ
ッ
つ
ん
土
こ
ッ
つ
ん
「土」では必ず役割がある,いらないものはないと
いうことがわかりました。「土と草」では,親が子
を思う気持ちなどを考えたりして,自分の意見が変
わりました。陰で活躍している人だっているから,
これからは,そういう人にも目を向けようと思いま
した。
【手立て3】について
授業の工夫
一人読み⇒ペア・グループ学習⇒全体交流など,交流形態を変えて,
自分の考えを持たせる。
具体的な手立て
児童のノート例
(1)【一人読み】
①詩のプリントを用意し,自分が感じたことや考えたことを
作品の中にサイドラインや矢印,吹き出し,さらには,色分
けなどを効果的に使いながら,書き込みをさせる。
②できるだけ端的にキーワードでまとめように勧める。
(2)【ペア・グループ学習】
①一人一人,すべての子どもが話すことができる機会を設ける。
②全体交流に臨むための自信を持たせる場として位置づける。
(3)【全体交流】
①詩の各行に番号をつけて,学び合いをしやすくする。
②友だちの気付きや思いを自分の考えと比べながら聞くことを
大切にする。
成果と課題
交流の形態を変えながら仲間と学び会う中で,自分の考えを確かなものにしていくこ
とができた。
25