安定志向が高まる社員の意識を改革し

事例
H社
特徴
社員の高年齢化が見込まれる中で、安定志向が高まる社員の意識を改革し、
社外への転身を含めた社員の自律的なキャリア形成を支援する企業
会社概要(業種、正社員数(単体)、正社員平均年齢)
・ 制御機器・FAシステム事業など
・ 約 4,000人
・ 約 41 歳
・ 早い時期から社員の自律を重視。経営 トップは世の中に貢献すること、社員が自分の本当にやりたいことを実現することを重
社員のキャリア形成支援 視。
・ 社員の安定志向が強まってきいることが人材面での課題。経営サイドからは、組織変更を行ったり、自立を促したりして社員の
に取り組んでいる背景
チャレンジ促進する施策を実施。キャリア形成支援もこの経営課題の解決手法と密接に関連。
・ 2000 年にニューライフチャレンジ(NLC )制度を整備し、社外に転身希望の社員は 45 歳、 50 ~55 歳に退職金に支援金を上
乗せ。キャリアアドバイス相談窓口、人財公募の制度を設置。また、節目休暇の制度も創設。
人材面での経営課題の解
・ 2010 年に、まず44 歳時点でキャリアの研修を行い、今後のプランを作成、その上でキャリアアドバイザーと面談、現場の上司
決に向 けた社員に対する
と面談(キャリア開発面談)を関連づけることで、キャリアシートの運用強化を図る。
キャリア形成支援施策
・ 44 歳時の研修は、職業後半人生をどうするかを考える機会。また、NLC制度の翌 45 歳時の利用可能性を踏まえて、今後の
チャレンジを考えもらうことも意図。 NLC利用による転身、他の部署への異動を通じた人材流化を期待。
・キャリアアドバイス相談窓口を設けて、随時希望者からの相談に対応(人事サービスの関連会社が担う)。
キャリア形成支援施策の
・相談窓口でのキャリアアドバイザーは6 人、内 5 名が有資格者で研修にも携わる。資格は CDA、産業カウンセラーなど、2 級技
実施体制とキャリアに関
能士はいない。
する専門人材の役割
・専門職の意義としては傾聴が必要なこと。その他には込み入った問題に的確なアドバイスが求められる。
・44 歳での研修を通して関係会社への転身を希望する社員も出てきた。人材の積極的活用の面からも重要な要素。
・キャリア支援による効果発現の理解や信頼を経営層から得る努力が必要。
キャリア形成支援施策の ・成熟した事業の中で成長する人材を生み出すための施策・制度を社員に提供する必要がある。
・自律した社員に向けてキャリア支援をすることは、個人と組織の強化の中での個人の強化策の基本。キャリアに対する支援が
効果
ベース。
今後の方向性・課題
・30 歳、50 歳においても研修を実施し、それにキャリアアドバイザーとの面談、上司との面談をリンクさせる計画(現在運用中の
制度変更を含む)。
・当社の人材系のグループ会社には、社内の求人と求職が集まってくる。人材のカンパニー内外への転出は、これまでもマッチン
グの機能を果たしてきており、今後も続けていくことで社員の理解に努めたい。
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