第10回北陵杯 2015/9/20 ウォーミングアップの 必要性と方法を理解しよう!! 出雲市民病院 理学療法士 妹尾翼 ストレッチの種類 • スタティックストレッチング ゆっくりと筋肉を伸ばす方法。 • ダイナミックストレッチング スポーツで使う動きを実際に取り入れながら 体を動かす方法。 スタティックストレッチングの特徴 メリット • 運動後に行うことで、緊張した筋を緩める効果が期 待できる。 • 継続して行うことで筋肉が柔らかくなり障害予防に 繋がる。 デメリット • 運動前に行うと、筋肉がリラックスするため、筋出力 やパフォーマンスが低下し怪我をしやすくなる。 ダイナミックストレッチングの特徴 近年では、パフォーマンスの向上に有効なストレッチ ングとして運動前に利用されるようになった。 その理由は・・・ • スタティックストレッチングに比べて体を十分に動か すために体温が上昇し、筋力を発揮しやすく、柔軟 性も向上する。 • 競技を想定した動作を取り入れることで、実際に運 動で利用する筋肉の活動性を高めたり、動きをスム ーズにする効果が期待できる。 ストレッチングの活用方法 ダイナミックストレッチング ①運動前にウォーミングアップとして行う。 ②1つの動作を左右10回ずつ行う。 ③最低でも20分程度、身体が温まるまで行う。 スタティックストレッチング ①運動後にクーリングダウンとして行う。 ②1つの筋肉を20~30秒かけてゆっくり伸ばす。 ③日常的に継続して行う。 ウォーミングアップとは? • Warming up⇒体を温める? • 体温が上昇すると体にどのような変化 が生じるのか? • それを理解して実践することで、はじ めて『パフォーマンス向上・障害予防』 に繋がる!! ウォーミングアップの目的 ①筋力への効果 ・筋肉が温まることで、筋肉や腱の動きが滑 らかになり、筋力が十分に発揮できる状態に なる。 ②柔軟性への効果 ・体温が38°程度になると滑液の分泌が促 進され関節の動きがスムーズになる。 ウォーミングアップの目的 ③呼吸・循環機能への効果 血液は体全体にたくさんの酸素やエネルギー源を送 っている。 運動時の筋肉はたくさんのエネルギーを必要とする ので、筋肉への血流が多くなる。 ウォーミングアップにより、予め呼吸数・脈拍・血圧を 上昇させることで、競技開始直後からより多くの酸 素やエネルギー源を筋肉に供給することができる。 ウォーミングアップの目的 ④神経機能への効果 脳による情報の受け渡しがスムーズに行われるこ とで運動は成立する。 ・ウォーミングアップにより脳が興奮し、運動時の反応 が高まる。 ・さらに、筋温が上昇することで神経の伝達速度が上 昇し、より速く強い筋収縮が可能になる。 ウォーミングアップの目的 ⑤心理面への効果 ・試合をイメージしながら行うことで集中力が高ま る。 ・チーム全員で声を出しながら行うことで気分が高 まり試合に対するモチベーションが上がる(サイキン グ・アップ)。 例えば・・・・ イチローのバッテッイングに入る前の一連の動き オールブラックスのハカなど ウォーミングアップの目的 ⑥障害予防 • 競技で使う動作を取り入れることで動作の安定 性が高まる。 • 筋温が上がることで筋の弾性が高まり肉離れの予 防になる。 • 予め競技中に生じうる危険な姿勢(足部内反、膝 外反など)を取り入れることで障害予防ができる。 • 心理的に集中するで、障害リスクが低下する。 ウォーミングアップの内容 ①ダイナミックストレッチ ・実際に使う筋肉に刺激を与え、実際に使う動作を 行うことで体を動きに適合させる。 ②アジリティ・トレーニング ・ダッシュ・ストップ動作や細かいステップ動作を行う ことで、神経系の反応を高める。 ・息を上げ体温を上げる。 ウォーミングアップメニュー ①足首ローリング×10 ②1歩前に足をだし、膝を内外に動かす×10 ③1歩前に足をだし、膝を伸ばした状態でつま先に タッチ ④片足立ちで膝上げ抱え込み➡後ろに膝曲げ抱 え込み ⑤足を広げて腰を落とす➡体幹を捻じる ⑥1歩前に足をだし、体を沈めて肘タッチ ⑦足を横に回しながら前歩き ⑧足を横に回しながら後ろ歩き ⑨後ろに足上げ➡手でタッチ ⑩前に足上げ➡手でタッチ 【アジリティ・トレーニング】 • 斜前ステップ床タッチ(10回)⇒ダッシュ • サイドステップ床タッチ(10回)⇒ダッシュ • 反復ジャンプ3回⇒ダッシュ • 仰向け⇒前後・横ダッシュ • うつ伏せ⇒前後・横ダッシュ • 1回転ジャンプ⇒前後・横ダッシュ クーリングダウンの目的 ①心拍数に戻す 運動直後は心拍数が上昇しているので、運動量を徐 々に減らしていくことで、心拍数を通常に戻すことが できる。 ②疲労物質除去の促進 運動時は筋肉内に疲労物質が溜まる。クーリングダ ウンを行うことで、疲労物質を除去することができる。 クーリングダウンの目的 ③筋肉痛の予防 ・運動後は筋肉が疲労し緊張している。 ・乳酸は筋肉痛の原因となる。 ・ストレッチにより筋肉の緊張が緩む。 ・乳酸除去により筋肉痛の予防ができる。 クーリングダウンの目的 ④心理面の緊張緩和 運動時は興奮状態となっている。 クーリングダウンにより心理面の緊張が緩和する。 クーリングダウンの内容 ①軽いジョギング 心拍数や呼吸を徐々に通常に戻すために行う。 ②スタティック・ストレッチ 心理面の緊張緩和、筋肉痛予防のために行う。 柔軟性をチェックしましょう 踵がお尻につくか? 手が床に届くか? 踵をつけたまましゃがめるか? ストレッチ方法 ①運動後にクーリングダウンと して行いましょう。 ②1つの筋肉を20~30秒かけて ゆっくり伸ばしましょう。 ③日常的に継続して行いましょ う。 殿筋① 片足あぐらをかいて、胸を張りながら身体を前に倒す。 殿筋② 片足あぐらをかいて、胸を張りながら身体を前に倒す。 ハムストリング 伸ばした方の足に胸を張りながら身体を前に倒す。 内転筋 股をしっかり開き、つま先を外に開くことを意識する。 腸腰筋 お尻が下がらないように身体をまっすぐ立てて、前足に体重をのせる。 股関節内旋 下の足の膝を90度に曲げ、上の足でしっかり膝を固定し、 お尻を床に着けるように意識する。 大腿四頭筋 お尻の下に、まっすぐ足をしいて、背中が浮かないようにする。 腰部 頭の上で手を組み、肘が膝に当たるようにわき腹を伸ばす。 腓腹筋 後ろ足のかかとを床に着けたまま、前足に体重をかけていく。 ヒラメ筋 肩関節後方 肩が浮かないように意識し、下の手を床につけるように上の手で押しつける。 腋窩 手を頭の上で組み、腰がおれないように体を横に倒す。 最後に • ウォーミングアップが「試合前の準備運動」だ とすると、クーリングダウンは「明日の練習、 または今後控えている大会の準備運動」です。 • スポーツ外傷(靭帯損傷や骨折)は突発的に起 こるものなので予防は難しいですが、スポーツ 障害(卓球肘やオスグッドシュラッター病など )は日々の積み重ねである程度予防できます。 • 今日の内容が皆さんの競技力向上に少しでも繋 がれば幸いです。
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