社会福祉法人鴻沼福祉会 2015年度事業計画 戦後70年を迎える2015年度は、恒久平和と国民主権、基本的人権の尊重を謳った日本国憲法の 真価が問われる年になります。鴻沼福祉会後援会の会則前文では、 『私たちは、人間が人間として主体的 に生きていくことの意味を真摯に見つめるとともに基本的人権の尊重された自由で平等な社会を築くた めに、特に、社会福祉・社会保障の分野において努力していきます』と述べています。格差と貧困が広 がり、平和の土台が崩されようとしている今日、障害者福祉に携わる私たちが、平和と人権の問題をあ らゆる活動で貫いていくことに大きな意義と役割があります。 社会福祉法人鴻沼福祉会は、2016年度に法人化30周年、2017年度は創設35周年を迎えま す。法人化30周年を前にした2015年度は、30年余にわたって築いてきた歴史と理念を鴻沼福祉 会にかかわるすべての人と共有し、次世代に繋いでいくことに力を注いでいきます。 一方、生活保護制度や社会福祉法人制度など社会保障制度の根幹にかかわる改悪が強力にすすめられ ようとしています。社会福祉を市場原理に委ね、公的責任を後退させる動きが加速するなか、社会福祉 の権利性と非営利性を運動のなかで全国の関係者とともに守っていく必要があります。 昨年度は、虐待や職員の言動に対する苦情など利用者の尊厳を傷つける事態が起こってしまいました。 障害者権利条約の学習会で、利用者の一人が『職員も仲間になってほしい』と述べています。この言葉 のなかには、障害のある人たちが実感している不平等感が明確に表現されています。この地域で暮らす すべての障害のある人たちが、 「障害のない人との平等」を実感できるよう実践や事業を一歩前に進める 1年にしていきます。 1.利用者が生きがいと潤いのある毎日を送れるようになるために、科学性と共感の観点をもって職員 の個別支援力の向上を図っていきます。 ①利用者が、自分の願いや夢を率直に語れる場面を増やし、願いや夢を実現させることをあらゆる活 動の原動力にしていきます。 ②職員の個別支援力の向上に計画的、組織的にとりくみます。「障害のある人の総合的な理解」「ニー ズを実現するための支援」等についての理解や知識を高めていきます。 ③実践報告会での実践レポート作成をとおし、利用者がたくましく生き生きと働き、暮らしている姿 を伝えていきます。また、支援のありかたについての検証や教訓などをみんなのものにできるよう、 作成のプロセスも共有していきます。 2.就労支援事業の次なる展望をつくりだすことにより利用者の働きがいを増し、給料を引き上げます。 就労支援事業を推進させる機関として社会就労委員会の強化を図ります。 *各就労事業 ①とうふ事業は、引き売りの見直しや卸販売先の拡大などを計画的にすすめます。 「一豆ニュース」を 定期的に発行して、お客さんとのつながりを強めていきます。 ②青果加工事業では、加工点数増加に向けての課題を整理し、事業拡大の可能性を追求します。 ③弁当事業では、コンセプトの議論をすすめ、明確にしていきます。 ④パン事業では、営業活動を強化し新たな販売先を増やします。 ⑤下請け作業では、質のよい仕事の確保や法人内で共同の営業や受注にとりくみます。 *社会就労委員会 ①「デイーセントワークの実現、低工賃と低就職率からの脱却」についての問題意識を共有し、実践 の手がかりをつくります。 ②事業ごとのPDCA(計画・実践・総括・修正)を徹底し、良いとりくみの教訓を積み上げます。 3.利用者が権利の主体として活動できる環境づくりや支援の具体化を図ります。 ①「しあわせ会」は、利用者がより主体的に活動できるようにしていきます。 ②ニュースの発行などをとおして「しあわせ会」の活動を法人内にひろげます。利用者の意見を事業 所や法人の運営に生かしていきます。 ③きょうされん利用者部会等の活動に参加し、利用者同士の経験交流を深めます。 ④障害者権利条約を学び、深める機会をつくります。利用者が自らの権利を知り、行使できるよう、 適切な支援をしていきます。 ⑤「 (仮称)権利擁護委員会」の立ち上げ準備をすすめます。 4.職員確保のとりくみを通年ですすめ、必要な人員の充足を図ります。職員が安心して働ける職場環 境をつくります。 ①ホームページや職員募集パンフレットなどをとおして、鴻沼福祉会の魅力をしっかりアピールする 工夫を強めます。 ②職場説明会などを定期的に開催し、学生などに情報の発信をしていきます。 ③アンケートや希望者への面談などをとおし、職員の仕事上の悩みや希望をうけとめ、必要な支援を していきます。 5.利用者の多様なニーズに応えていくための事業展開をすすめます。 ①ホームでの生活を望む声や既存ホームでは暮らし続けることが困難になっているニーズに応え、新 たなホームの開設をすすめます。個人のニーズに合わせた暮らし方ができるよう多様な形態のホー ム開設をめざします。 ②支援センターは、基幹センターが市内2カ所に設置される状況のもとで、相談支援システムの中核 的な役割を強化します。 ③就労移行支援事業の今後のありかたについて多面的に検討し、方向性をだしていきます。 ④生活ホームがグループホームへ移行する場合の課題を整理し、方向性をだしていきます。 6.2016 年度の法人化 30 周年に向けての準備をとおして、鴻沼福祉会の歴史と理念を共有化する活動 にとりくみます。 ①法人の歴史や理念を学び、共有する機会をつくります。 ②法人化30周年記念事業の準備を具体化します。 7.社会福祉の公的責任を守り、障害のある人の生活と権利を拡充させていく運動、障害のある人が市 民の一員として安心して暮らせる地域づくりをすすめます。 ①以下の運動目標をもって、諸団体とともに運動をすすめます。 -平和と憲法を守る活動にとりくみます。 -社会福祉の公的責任を守り、格差と貧困を広げる動きに反対します。 -障害者権利条約を軸に、障害者施策を前進させる運動をすすめます。 時々の情勢に応じて、集会参加や要請行動などにみんなでとりくみます。 ②鴻沼福祉会後援会の活動方針と計画に基づき、後援会活動を強力に推進します。 -とうほく物産展や障害者理解をひろげるイベントをおこないます。 ③きょうされん埼玉支部の一員としてその方針のもとに諸活動にとりくみます。 -第 38 次、第 39 次の国会請願署名にとりくみます。 -きょうされん活動を支える基盤として、賛助会員の拡大をすすめます。 -第 37 回全国大会(神戸)や利用者学習交流会などに参加し、全国の仲間と交流していきます。 ④ノーマライゼーショ条例を生かしてさいたま市の障害者施策を前進させる運動に、障がい者施設連 絡会、障害者協議会などとともにとりくみます。 ⑤海外の障害当事者や障害者団体との交流の機会や学ぶ機会をもちます。 ⑥運動課題を推進するために組織運動委員会を月1回開催します。活動の交流や運動の到達点を確認 し、会議で確認された課題について全事業所に徹底していきます。 8.職員が視野を広げ、障害のある人を権利の主体とした支援がすすめられるよう各研修を充実させて いきます。 ①常勤職員全体会議・研修を6月・10 月・12 月に開催します。全体会議では、全体で推進している共 通課題の共有や意見交換を行います。全体研修では、利用者支援にあたる常勤職員の個別支援力の 引き上げを 2015 年度、2016 年度の2カ年にわたる課題とします。2015 年度は、 「障害のある人の 総合的な理解」について、各自の事前課題をもとにしたグループ演習や講義を行います。 ②2015 年度に採用された常勤職員の新任研修を 6 月、10 月、3 月に行います。 ③常勤、非常勤を問わず採用後の新入職員オリエンテーションを法人共通の内容としくみで具体化し ます。 ④全職員集会を 7 月に開催します。利用者や家族の生の声を聞く機会をつくり、法人の歴史や理念の 共有を図る場としていきます。 ⑤中間総括会議を 9 月に開催します。上半期事業の進捗や総括点を全職員で共有し、下半期に向けて 計画の強化や修正を図ります。 ⑥実践報告会を 2 月に開催します。企画運営やレポート作成の内容などについて、定期的にレポータ ー・運営スタッフ会議を開催し、通年で進行管理や内容の充実にとりくみます。 ⑦事業総括と方針の検討のための全体職員会議を3月に開催します。 ⑧虐待・権利擁護研修への職員の派遣やチェックリストの実施など虐待防止のための研修をすすめま す。 ⑨外部研修に各事業所単位で職員を計画的に派遣します。研修後 1 週間以内の研修報告書の提出の定 着と研修内容の共有を各事業所や法人内ですすめます。 9.非常災害対策、日常の安全対策を強化します。 ①災害対応マニュアルを活用した訓練を行い、マニュアルの改良を図ります。 ②各事業所の安全推進会議と安全推進委員会の連結を強め、事故を未然に防ぐための手だてや対策を 組織的にすすめます。 10.コミュニケーションが保障された風とおしのよい組織づくりをすすめます。 ①「しあわせ会」や会長会、家族会、職員会議などでだされた意見が事業所や法人の運営に生かされ るようにしていきます。 ②職員会議や各機関会議の議論が活発に進み、内容が充実するよう会議運営の改善を図ります。会議 の報告を速やかに作成し、みんなで共有できるようにしていきます。 11.経営財政の組織的な把握をすすめ、先を見通した経営対策を講じていきます。 ①新社会福祉法人会計への移行をスムーズにすすめ、新しい会計基準のもとでの経理実務を確立させ ます。 ②障害福祉サービスの報酬改定にともなう課題に対して対策を講じます。 ③建物の老朽化に対して修繕や建て替えのための計画を立てます。 ④経営分析会議を月 1 回開催し、各事業所の経営状況の分析と必要な対策を講じます。 12.鴻沼福祉会の活動を市民に知らせる広報活動の充実を図ります。 ①ホームページを開設し、鴻沼福祉会の活動や理念を多くの人にひろげます。 ②会報こうぬまを 12 月に発行します。
© Copyright 2024 ExpyDoc