姫路市立増位中学校 2018 年 6月 スクールカウンセラー 松田美枝子 “イライラは見通しのなさを示す” 新 年 度 が 始 ま り 、生 徒 の み な さ ん は 少 し ず つ 新 学 級 に も 慣 れ て き て い る 頃 で し ょ う か 。 私は増位中学校へ着任して 2 年目になります。今年は、ご挨拶がてらお便りで少しテー マを決めてお話をしてみたいと思います。 お母さんの相談で、子どもに話しかけるといつもイライラしていて怒った態度で返さ れることが多いという話をよく聞きます。他には、ある特定の友人にのみイライラして しまう、思い出しただけでもあんなにイライラするのは、その友人だけだと話していた 方もいました。 河 合 隼 雄 ( 1998) は 、 イ ラ イ ラ す る と き 「 そ の わ け が わ か っ て い る よ う で 、 そ の 実 は ことの本質がわかっていないときが多い」と述べています。またイライラは「自分の何 か―多くの場合、何かの欠点にかかわること―を見出すのを防ぐために、相手に対する 攻撃として出てくることが多い」とも述べています。 先の相談で、その友人は、周囲の人に甘えてしんどいことからすぐに逃げてしまう、 面倒なことは人任せにする、と話していましたが、次第にその方は、自分自身が取り組 まなければならない課題を先延ばしにしていることに気づいていかれました。目の前の 生活、家事や仕事などの「しんどさ」から知らず知らずのうちに自分の取り組むべき課 題から「逃げてしまっていた」ことと重なっていたのです。お母さんの相談でも、子ど もに話しかける前に自分がイライラしていたこと、そのイライラはスマホばかりしてい る子どもに腹を立てていたけれど、やはり自身が取り組むべき課題から目をそらしてい たことに気づかれたのでした。 このおふたりの素晴らしいところは、イライラを直接ぶつけている間は気づかなかっ たけれど、何度も同じことを繰り返している自分にもイライラするようになり、そのイ ライラの意味は自分自身の中にあったということに気づかれたことです。今後、また何 かイライラに出くわしたとき、まずひと呼吸おいて、見通してみようとする目を自分の 内部に向けて探してみることも大切な発見があるのではないでしょうか。 最後に、河合は「だいたい心の問題は「急がば回れ」の解決法が得策のように思われ る」と締めくくっています。なるほどとうなずけるものでした。 < 文 献 > 河 合 隼 雄 ( 1998) こ こ ろ の 処 方 箋 . 新 潮 文 庫 ★スクールカウンセラーがいる日(6 月~7 月)★ 6/14・ 6/21・ 6/28( 午 後 は 増 位 小 )・ 7/5・ 7/19( 午 後 は 増 位 小 )・ 7/26 (基本的に火曜日に来ています)
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