パネリスト:中西 泰人 (Nakanishi, Yasuto) (電気通信大学 助手) [事前

パネリスト:中西 泰人 (Nakanishi, Yasuto)
(電気通信大学 助手)
ツが様々に提案されている,もしくは,全く普及
しないかのどちらかでは.また,Web サービスの
[email protected]
広まりとともに,位置情報を介して様々な情報コ
http://naka1.hako.is.uec.ac.jp/
ンテンツが連動し,新たなサービスが提供されて
略歴: 1970 年生.1998 年東京大学大学院工学系
いると思われる.10年,30年後といったスパ
研究科博士課程修了.同年より電気通信大学大学
ンでは,室内および屋外の様々なモノにも位置情
院情報システム学研究科助手.博士(工学).感性
報を取得して属性を配信することで,車や人など
情報処理,ヒューマンインタフェース,モバイル
移動するものと移動する/しないモノとの情報の
コミュニケーションなどの研究に従事.建築やメ
連動が起きているのではないか.』
ディアアートの分野でもコラボレーションを行う.
情報処理学会,人工知能学会,ACM 各会員.
[Q03](アートの欠如による損失と妥当性)
[A03]『地図とアートは一種のドローイングとし
[事前質問回答]
て距離が近かったと考えられるが,特定の観点か
[Q01](現在の GIS vs. 紙地図)
ら情報を捨象し位置情報を歪めることで情報の関
[A01]『GIS では自分の位置を迅速に把握できるた
係性を表現していた従来の地図は,デザイン的な
め,自分を中心とした空間を把握することは容易
要素を多分に含んでいたと言える.しかし,正確
であり,また更新頻度が高い情報にアクセスする
な位置情報だけに基づいて単に情報をマッピング
ことに利点があると思われる.一方,過去に訪れ
するようなシステムとは,やや距離が離れている
た土地や将来訪れたい土地などの情報をブラウジ
と考えられるが,目的に応じて情報を歪めてくれ
ングする際には,インタフェースとしてまだまだ
るようなインタフェースは,アートとの関連が出
紙の地図の利点もあると思われる.
てくるように思う.』
また,コンピュータを用いることによって,さ
まざまな目的に作られたデータを関連づけること
[Q04](Key Technology and Framework ?
が容易になため,複数の情報をレイヤーにし,自
- for Future Cartography)
らの目的に沿った地図を構成することが可能にな
[A04]『屋外と室内の位置情報をいかにシームレ
る.しかし,そのためにはユーザが地図を読み取
スに表現するか,異なる表記で記された位置情報
る能力や自ら情報を捨象する力を求められること
を変換するシステム,異なる情報コンテンツを統
になるため,ある特定の目的に作られその目的に
合するためのメタデータ,様々なサービスをシー
応じて情報が捨象され視覚化された紙の地図は,
ムレスに連動させるためのミドルウェア,など.』
情報の関係性の全体像を把握していない状態のユ
ーザには有効であると思われる.』
[Q05](安価で正確な位置情報が実現したら?)
[A05]『インターネットが遠隔的な非同期のコミ
[Q02] (現在の GIS vs. 未来の GIS)
ュニケーションを,携帯電話が遠隔的な同期のコ
[A02]『3 年後あたりでは,GPS が搭載された携帯
ミュニケーションを新たなものへと変えたように,
電話が広く普及していると考えられるため,歩行
位置情報は近接的な同期/非同期コミュニケーシ
者ナビや情報配信など位置に応じた情報コンテン
ョンを新たなものへと変えてゆくと思われる.
しかし位置情報が正確になったからと言って,緯
度経度で待ち合わせをしたりすることはないとは
思う.そこに人間がどのように空間を認知してい
るか,どのように空間を利用しているのかといっ
た建築や都市の領域における知識が必要になって
くると思う.』
[Q06](技術とアートの融合への道)
[A06]『技術とアートの両方に携わる人材は少し
づつではあるが出てきているように思うし,環境
を整えればより多くの人材が輩出すると思うが,
そうした人材を評価していく流れが必要であると
思う(研究者がアート作品に関わっても,いま現
在はほぼ評価の対象となっていないのが実情であ
る).協調作業を行う場合は,環境よりも本人の
コミュニケーション能力が最も重要であり,そう
した教育を行うべきであると思う.』
[Q08](空間ビジネスとアート
− 現実的なソリューションはあるのか?)
[A08]『ポストペットがコンピュータを持ってい
ない人にこれを使ってメールをやりたい,そのた
めにコンピュータが欲しいと思わせたように,そ
うした空間ビジネス(?)の魅力的なコンテンツ
を作るデザイナやアーティストのアイデアを実現
する環境,その魅力に共感する感性が必要である
と思う.』
[Q09](市民参加型のボトムアップの空間コンテ
ンツインフラへの道とアートの関係)
[A09]『ふつうの BBS の様に,位置情報に関連し
た投稿サイトの実現はさほど難しくないだろう.
市民が測量士になるかどうかは分からないが,情
報の正確性よりも,その情報が他者にとって有益
なものであること,情報を交わし合うことに楽し
みがあることのほうが重要であるように思う.』