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全日教連
全日教連
中央情勢報告
中央情勢報告
No.7
発行
平成27年7月9日
政治的中立を保った教育が行われるような環境整備を!
=選挙権年齢の引下げに伴う学校教育の混乱を防ぐための提言=
~自由民主党 政務調査会 文部科学部会~
7月9日、自由民主党政務調査会文部科学部会は、選挙権を「18歳以上」に引き下げる改正公職選挙
法の成立を受け、主権者としての自覚を確立するための教育の充実及び学校教育現場の混乱防止のため
に、国において取組が望まれる方策を提言として取りまとめ安倍晋三内閣総理大臣に提出した。
選挙年齢の引下げに伴う学校教育の混乱を防ぐための提言の骨子(全日教連要約・抜粋)
政治参加等に関する初等中等教育の抜本的充実
○ 全ての高校生に対して政治参加等に関する副教材の配布
・ 政治や選挙の基本的な知識等の「おさらい編」
・ 実践的な教育活動の実施方法や留意点、ワークシート等の「体験活動編」
・ 公選法等選挙に関する基本的ルールを分かりやすくまとめた「これは公選法違反だよ!編」
○ 高校新科目「公共(仮称)」の創設
・ イギリスにおける中・高段階での必修教科「シティズンシップ(citizenship)」の例
○ 小・中学校段階からの社会参加に関する教育の充実を含む学習指導要領の抜本改定の推進
・ 実社会との接点を重視し、自らの問題として考え、実践する指導法等の開発、普及
・ 政治に関する多様な情報を積極的に収集、活用する能力と態度の育成
○ 実施までの間にこれらの指導を効果的に行うための冊子の作成・活用の推進
混乱を未然に防ぐための学校における政治的中立性の徹底的な確立
○ 高校生の政治活動は基本的に抑制的であるべきとの政府としての見解の提示
・ 文部省初等中等教育局長通知「高等学校における政治的教養と政治的活動について」の見直し
○ 教員の指導や政治的活動の政治的中立性の確保の徹底
・ 教育公務員の政治的行為の制限違反に罰則を科すための教育公務員特例法等の改正
・ 教職員組合の収支報告を義務付ける「地方公務員法」の改正
・ 法の適応対象を義務教育諸学校限定から高等学校等に拡大する「義務教育諸学校における教育
の政治的中立の確保に関する臨時措置法」の改正
大学、家庭、政治やマスコミなど社会全体での取組の充実
○ 子供たちや新たに有権者となる若者の政治参加意識の向上
・大学や専門学校における選挙管理委員会におけるインターンシップ等の派遣・斡旋
・大学や専門学校における期日前投票所の設置
○ 保護者が子供を連れて投票できるような公職選挙法の改正
○ 「顔の見える対話」の推進
・ 政党や政治家の「子供向け公約集」や国会見学の活用等、政治参加等に関する教育への積極的
参画
(詳しくは、http://jimin.ncss.nifty.com/pdf/news/policy/128241_1.pdf)
学校現場においては、教育基本法第2条3に示された「主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄
与する態度を養う」ために、小学校・中学校社会においては「公民的資質の基礎を養う」ことが、また、
高等学校公民においては「公民としての資質を養う」ことが教科の目標とされ、それに基づいた教育が
実践されてきた。しかし一方で、国際比較における我が国の中高生の政治参加等に関する意識は低調で、
成人における投票率の低下も社会問題となっている。
全日教連は結成以来、基本姿勢として「議会制民主主義の尊重」及び「教育の中正と政治的中立の堅
持」を謳っている。また、「美しい日本人の心の育成」を理念に掲げ、教育の正常化運動を推進してき
た。「美しい日本人の心」の中の「国を愛する心」とは「積極的に国づくりに参加する心」である。今
後も、全日教連は各種研修会や教文研との連携を通じて、自国に誇りを持って、社会参画する実践力を
培う教育を推進するとともに、学校現場において、政治的中立がしっかりと保たれた教育が行われるよ
う要望していく。