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全日教連
要望結果報告
(発行
平成 25 年 10 月 31 日)
第8次中央要請行動
文教予算等に関する要望
文部科学省
要望日時 平成 25 年 10 月 28 日(月) 13:30~14:00
回答者 【大臣官房】
大臣官房審議官 初等中等教育局担当
【初等中等教育局】
教育課程課 教育課程企画室 係長
教育課程課 課長補佐
財務課 定数企画係 係長
国際教育課 外国語教育推進室 企画調整係
参事官付 企画学校評価係
【生涯学習政策局】
情報教育課 ICT環境整備係 係長
要望者 【全日本教職員連盟】
委 員 長
河野
副委員長
栗原
西川
事務局長
岩野
事務局次長
木下
達信
隆史
達也
伸哉
貴道
義本 博司 氏
伊藤
淳
美濃
亮
北川 雅崇
荒川 裕美
濵 健志朗
氏
氏
氏
氏
氏
川瀬 成彦 氏
香田 勝頼
地下 浩文
村田 考洋
佐藤 義和
早野 和彦
要望(全日教連)
1
教職員が一人一人の子供たちと正面から向き合い、きめ細かい指導を推進していくため、少人数学
級の推進等、教育環境の改善を図ること
(1) 様々な教育諸課題に対応し安定的・計画的に教職員を配置するため、義務標準法の改正を伴う教
職員定数改善計画の策定を早期に行うこと
(2) 小学校における専科指導の更なる充実を図ること
(3) いじめ問題への対応として、児童・生徒指導専任教員の配置を確実に行うこと
2
義務教育における地域間の格差が生じないよう予算措置を講ずること
(1) 地方交付税交付金に含まれている教材費・図書費が地方自治体において適切に措置されるよう、
実効性のある施策を講ずること
(2) 地方自治体において教材費・図書費の財源が適切に措置されているか調査し公表すること
3
一人一人の教育的ニーズに応じた特別支援教育の充実を図ること
(1) 校内の支援体制の構築や外部との連携を円滑かつ効果的に行うために、特別支援教育コーディネ
ーターを専任配置すること
(2) 特別な支援を必要とする児童生徒にとって効果的な教材・教具が、それらを必要とする全ての児
童生徒に等しく行き渡るための支援を行うこと
4
学校給食における食物アレルギー対策においては、子供たちの生命を守るという観点から国として
の再発防止策を早急に示すこと
5
道徳教育の充実においては、要となる道徳の時間の充実がどの地域においても確実に図れるように
施策を講じること
6
土曜日の教育活動の推進においては、学校現場に混乱を来さないような制度設計を図ること
7
日本人としてのアイデンティティーを身に付けたグローバル人材の育成を図ること
(1) 日本の歴史や伝統文化を学ぶことや正しい日本語をしっかりと身に付けることに重点を置いた
取組の推進を図ること
(2) 留学の促進においては、対象を義務教育段階まで拡充するとともに、能力と意欲のある児童生徒
が経済的な制約を受けることなく留学の機会が均等に与えられるよう支援すること
8
小学校における外国語活動の充実を図ること
(1) 中学校英語教員の小学校への配置も視野に入れた専科教員の配置や ALT の増員を行うこと
(2) 小学校における英語の教科化を図るのであれば、小学校から高等学校までの発達段階に応じた指
導内容や到達度目標の明確化、時数の確保等の課題を丁寧に検討すること
9
ICT を活用した校務支援システムの導入については、教職員の負担を軽減し児童生徒と向き合う時
間を確保するためという視点に立ち、整備の遅れている自治体に対しその促進を強く働きかけること
10
学校施設におけるあらゆる自然災害に関わる対策について、財政的支援の更なる充実を図ること
(1) 非構造部材や地盤の強化を含めた学校施設の完全な耐震化を早期に実現させるための財政的支
援を継続するとともに、地方自治体に対する指導を行うこと
(2) 竜巻や突風等による災害から児童生徒の安全を守るために、窓に飛散防止フィルムを貼る等の具
体的対策を講じるための財政的支援の充実を図ること
(3) 学校における安全担当教職員の専任配置及び防災教育の更なる充実を図ること
11
全国学力・学習状況調査を、全ての児童生徒の課題の解決に生かせるような実効性のある制度設計
となるよう、更なる改善を図ること
(1) 調査結果の公表については、学校の序列化や過度な競争につながらないよう、地方自治体に対し
て指導を徹底すること
(2) 調査結果を有効に活用し学習指導の改善につなげられるよう、できる限り速やかに結果を学校現
場に伝えること
(3) 実施学年・実施教科の見直しを図ること
12
教育専門職に相応しい給与・勤務条件を確立すること
(1) 現在国家公務員に準じて実施されている給与の削減について、来年度以降は実施しないよう関係
省庁に働きかけること
(2) 副校長・主幹教諭・指導教諭の配置を更に促進し、その職務内容に応じた給与体系とすること
回答(文科省)
要望1について
平成 26 年度予算の概算要求では、少人数学級を含めた少人数教育の推進を、今後7年間での学力・
教師力向上戦略の一環として要求している。少人数学級、ティーム・ティーチング、習熟度別指導を、
各学校の実態に応じて選択できる形を考えている。それは、子供たちの差が生じにくい小学校段階に
おいてはティーム・ティーチングが、ある程度差が生じてくる中学校においては習熟度別指導が有効
であるという結果が全国学力・学習状況調査の結果で見られることや、少人数学級が子供たちの心の
落ち着きや学習意欲に関わるからである。平成 26 年度においては 2,100 人要求しているので、その
確保に努力していきたい。
小学校における専科指導の充実については、理科だけでなく、英語や道徳についても考える。また、
いじめ問題への対応に関する専任教員の配置等、個別課題への対応として 2,500 人の定数改善を要求
している。
財務省との折衝では教員の定数や人件費等厳しいものが予想されるが、文部科学省としては教育再
生の基盤である指導体制の整備にしっかり取り組んでいきたい。
要望5について
教育再生実行会議の第一次提言において、いじめ問題への対応の一環として道徳教育の充実が示さ
れている。現在、
「心のノート」の編集において郷土の偉人や優れた日本人の取組み、その輝かしい
生き方に直接触れることができるような新しい教材にすべく抜本的充実を図っている。来年4月には
名前を一新した新しい資料として配布予定である。
道徳の教科化については、
「道徳教育の充実に関する懇談会」を設け、現在教科化に伴う課題につ
いて整理しているところである。評価の在り方、指導体制や教員の養成、目標や内容の設定、教材や
教科書の問題等、様々な論点がある。いずれにせよ、道徳教育を抜本的に充実させ、子供たちの道徳
性をしっかり養成していくような体制作りをしていきたい。懇談会では年内に方向性を出していただ
き、来年度以降、中教審等で議論すべく進めている。新しい「心のノート」については指導の手引の
作成等、より現場で有効に活用できるような予算も確保したい。
要望6について
「土曜日の教育活動」と「土曜授業」は異なる。
「土曜日の教育活動」は、教育課程内で実施する
ものや、学校施設を使って教育課程外で実施するもの、あるいは教育委員会や NPO 団体等が主催して
実施するものも含めた全体的なものを指している。これは、学校週5日制の趣旨を踏まえ、家庭・地
域・学校が連携して子供たちの土曜日の教育環境をいかに充実させていくかという視点から始まって
いるものである。その一環として、地域の実情に応じて学校の設置者の判断によって教育課程内で実
施するケースも考えられるので、その位置付けを明確にして、土曜日に取り組めるような省令改正を
行う。趣旨としては土曜日の教育活動全体の充実を図っていくことであり、予算においても約9割は
地域を中心として行う教育活動に関するものである。
省令改正については 11 月以降となるが、施行通知を出し、丁寧にその趣旨や内容を示し、学校現
場に混乱を来さないようにしていきたい。
要望8について
小学校での外国語活動の充実については、初等中等教育全体の外国語教育をどう充実させていくの
かという観点から考えていかなければならない。小学校での英語の教科化については、1年や2年で
できる問題ではない。教育課程と指導体制は、車の両輪で考えていかなければならない。仮に教科化
されれば、専任教員が中心的役割を果たさなければならない場面が出てくる。小学校で熱心に外国語
活動に取り組んでいる教員のレベルアップを図り対応するケースや、中学校英語教員を活用して対応
するケースが考えられる。また、ALT の増員も必要である。交付税措置されているのは JET プログラ
ムで配置された ALT のみなので、JET プログラム以外にも交付税措置を考えていかなければならない。
関係省庁と協議し、しっかりと増やしていきたい。さらに、各地域でリーダーとなる教員を養成して、
その教員を中心として地域での研修会を開く。これは民間と連携しながら国がしっかりと主導したい
と考えている。
また、
小学校から高等学校までの発達段階に応じた指導内容や到達度目標を明確にしなければなら
ない。
現在モデル的に実施されている取組をしっかり位置付け、指導要領の改訂に生かしていきたい。
時数についてもまだ議論のあるところだが、増やした場合にどう対応するのかという課題がある。他
の教科の時数を減らすといった対応も考えられるが、モジュール学習を取り入れる等の工夫も含め、
議論をしていく。教員の負担と、教育効果を踏まえて、どのような制度設計にするかを丁寧に議論し
ていきたい。
要望9について
ICT を活用した校務支援システムの整備については、地域による格差が大きい。また、機器の導入
だけではなく、活用に当たっての技能的な面やソフト面について、バランス良く考えていかなければ
ならない。校務の情報化の観点からすれば、情報をしっかり共有し負担を軽減していく必要がある。
指導要録等の電子化についても考え方を示しているが、予算は交付税措置されている。平成 25 年度
においては 1,673 億円の交付税措置を講じており、平成 26 年度においても同額を要望している。し
かし、決算ベースで見ると 1,200 億円程度しか使われていない。この予算がどういったことに使える
のかを具体的に示し、自治体にとって使い勝手が良いものにしていこうと総務省と相談している。
今後、ICT 化は避けて通れない課題である。校務の負担軽減もそうだが、電子黒板やタブレット等
の導入によって授業の在り方そのものが変わってくる。ICT 化の取組をいかに加速化していくのか、
教員の研修も含めて自治体でもしっかりと考えていただきたい。
意見及び回答
● 教職員定数改善計画について
【全日教連】
これまで「7か年戦略」という言葉は概算要求では使われてこなかったと思うが、教職員定数改善
計画との関係はどのようになっているのか。
【文部科学省】
去年の財務省との折衝において、全国学力・学習状況調査の結果をどのように反映させるかととも
に、定数だけでなく人事管理も含めた総合的な取組をしていくという取り決めになっている。よって、
「7か年戦略」は定数改善だけでなく、人事管理や教員の給与も含めた総合的なパッケージとしての
取組であるため、
「戦略」としている。その中に定数改善計画も位置付けている。具体的には、7 年間
の改善総数が 33,500 人、内訳は少人数教育が 14,700 人、個別の教育課題への対応が 18,800 人とな
っている。ただ、予算要求での話なので、法律上位置付けられているかと言えばそうではない。標準
法自体が子供の数が増える前提での設計となっているので、少子化という時代に合った教員の配置を
考えていかなければならない時期に来ている。抜本的な制度の見直しも今後の課題として考えていき
たい。
【全日教連】
「7か年戦略」の中に示されているものは、基本的には加配で対応することになるのか。
【文部科学省】
この予算の中ではそうだ。平成 27 年度以降については、標準法も含めた制度的な問題を議論した
上で対応を考えていく。
【全日教連】
加配となると、財政的な面で地方ではなかなか措置できない。やはり標準法が改正されないと、人
を配置していくことができないという声も多い。養護教諭や学校事務職員の配置基準も、標準法が変
わらなければ安定的な配置は難しい。ある自治体では、加配を活用して義務教育全学年において 35
人以下学級を実施しているが、突発的な問題が起こった時に対応する人が足りず、学校現場では困っ
ている。今後の事も考えていくと、定数の中で必要なところに必要な人が配置できるようにして欲し
い。加配だけではなくて、標準法を改正する方向でも検討いただきたい。
小学校高学年での専科指導については、現在は理科が中心となっているが、外国語についても専科
という形で位置付けて欲しい。
【文部科学省】
話の趣旨はよく分かる。一方、一部分の改正だけでは対応できなくなってきていることから、抜本
的な見直しをする中で、今の意見のような内容を反映させていきたい。
● 道徳教育の充実について
【全日教連】
学習指導要領に示されている道徳的価値がきちんと教えられていない実態があることを、危惧して
いる。道徳の授業が実施されていないという現状をどのように認識しているのか。また、道徳教育の
充実に向けて教科化があるが、それに向けての課題について説明いただきたい。評価がどうなるのか
が、一番の不安である。道徳の教科化のメリットをどう考えているのかについても、教えていただき
たい。
【文部科学省】
昭和 33 年に「道徳の時間」が学習に位置付けられたが、その後道徳教育が十分教えられてこなか
った、また現場によっては未だに軽視されている現状があることは、指摘の通りである。まず、そこ
を改善しなければならない。子供たちの心を育成することは非常に大事であり、それをしっかりやる
ことが大前提である。
教科化については、単に教科化するだけでなく、現代の課題に対応した道徳教育の実践がなされる
ようにしていかなければならない。そのためには、指導方法や内容、位置付け等も考えなければなら
ない。子供たちの心に響き、実践力の育成が図れるような指導内容や指導方法、位置付け等を考えて
いきたい。また、学習指導要領の書き方が分かりにくいという意見もあるので、きちんと現場に伝わ
るように改めていこうと考えている。評価については、懇談会で議論の途中であるが、数値による評
価はなじまないため、記述を中心にして考えていこうという方向性である。
【全日教連】
外国語活動も記述で評価をしており、負担が大きい。評価については、その方法も含めて現場の負
担を考えて欲しい。
【文部科学省】
現場の教員に対し負担ばかりが増えないようにしなければならないということは、我々も考えてい
る。懇談会の提言を踏まえて、中教審等で更に専門的な見地から評価についても議論していくことに
なる。
【全日教連】
「行動の様子」として、指導要録や通知表にも記録している。それらを活用する方法も検討して欲
しい。
【全日教連】
「道徳の時間」を要とした道徳教育の充実は学習指導要領にも示されており、それができていない
地域があるのであればしっかりと働きかけていくということは、審議官の言われた通り大事である。
また、教科化に当たっては、いくつか課題も明らかになっている。子供たちの心の育成は喫緊の課題
ではあるが、拙速に教科化を行っても形骸化する恐れがある。現行の学習指導要領での「道徳の時間」
をしっかりと充実させるよう働きかけることをお願いしたい。教科化に当たっては、じっくりと現場
の声を聞いていただきたい。
【文部科学省】
道徳の実践をしっかりと育んでいる地域もある。そういう地域や教員を応援できるようにしていき
たい。
● 土曜日の教育活動の推進について
【全日教連】
報道等で「土曜授業」として取り上げられるため、現場の教職員からは「また土曜日に授業をする
ようになってしまうのか」という声が多く聞かれる。我々としては、学校週5日制の枠組の中で土曜
日の活用について検討されていると答えている。現場の教職員からすると、「土曜日の活用」=「土
曜授業」になってしまい、現在の授業への上乗せと捉えられがちである。設置者によって判断できる
ことから解釈に違いが生じる恐れもあるので、そういった部分も踏まえてしっかりと説明をしていた
だきたい。
【文部科学省】
土曜日における教育課程内の授業というのは、あくまで学校週5日制の中で豊かな教育活動を行う
ための一つの方策として考えており、設置者が判断できることになっている。そのような点も含めて、
学校教育法施行規則の改正についての施行通知等で丁寧に説明を行いたい。
【全日教連】
概算要求における「土曜日の教育活動の推進」の中で9割を占める地域における社会資源の活用に
ついては、現制度においても十分に機能していなかったという反省があると思う。土曜日の過ごし方
が十分ではない子供たちも多いので、そういう子供たちの学びの場を地域がしっかりと行えるような
施策を望む。