5011・5012 現代日本社会事情 担当教員名 藤岡 達磨 授業概要 この授業では現代社会に固有のトピックを用いて、社会学の基本的な考え方をみなさんに紹介して いきます。 現在私たちが当たり前だと思っていることは、意外と最近できたものだったりすることがある。例 えばある研究によれば、1780 年のパリでは 1 年間に生まれた 2 万 1 千人の子供のうち母親に育てら れたのは、1000 人以下であった。1000 人は住み込みの乳母に、残りの 1 万 9 千人は里子に出された。 この事例は私たちが今当たり前だと思っている親子関係のあり方が、ここ 200 年ほどの間に出現した 比較的新しいものであることを示している。つまり、私たちの家族は昔からずっとこの形ではなかっ たし、今このような形態である必然性もないことになる。 このような社会学の相対化する視点を通じて、現代社会とはどんな場所か、日本社会にはどんな特 性があるのかについて取り上げていく。また、現代社会の特性を捉える軸として、マクドナルド化、 感情労働、ロマンティックラブイデオロギー、親密圏などの社会学における代表的な考え方を用いる。 「社会学がどんな学問であるか」という感触をみなさんに届けたいと思います。 到達目標 「社会」という感覚と「社会学」という見方を身につける。 具体的には、社会とは何か? 社会学とはどのように思考するのか? 現代とはどんな時代か? 以上の点についてなんらかの自分なりの観点を身につけることを目標とする。 授業方法(展開) 授業の 3 回目までに期末の論述試験の問題内容を配付します。授業では直接その問題を扱うことは ありませんが、授業中に学んだ概念を用いれば論述が書けるようになっています。常に論述で問われ ていることを念頭において授業を聞くようにしてください。 授業はパワーポイントを用いますが、スライド内容の板書を強く推奨します。 準備学習(予習・復習)の内容と分量 参考書に挙げた文献を予め読んでおくと、より実りある授業になると思われる。 関連科目・知識・スキル 特になし 成績評価 期末テスト 80%(論述・持ち込み不可)、及び授業中に配布する小レポート 20%(テストの点に加点) 教科書・参考書など G.リッツァ『マクドナルド化する社会』 、A.ギデンズ『親密性の変容』 、 A.R.ホックシールド『管理される心-感情が商品になるとき』 、E.デュルケム『自殺論』 履修上の注意事項 特になし 授業の柱(単元)と授業スケジュール 第1回 授業ガイダンス 第2-3回 社会のとらえかた―社会学の視点と方法 ・社会学に何ができるか ・代表的社会理論の紹介と分析実演 第4-7回 人間関係から見る現代日本社会-結婚・家族・友人- ・もっとも身近な社会―家族 ・近代家族とロマンティックラブイデオロギー ・近代家族と親密圏 ・キャラ化する友人関係 第8-11回 消費から見る現代日本社会-マクドナルド化と記号消費 ・マクドナルド化する社会 ・近代社会と合理化 ・記号価値と使用価値―コミュニケーションとしての消費 第12-15回 仕事からみる現代日本社会-会社主義・就活の現在・感情労働 ・日本社会と就活の現在 ・日本社会と会社主義 ・新たな労働の現れ―感情労働 学生への一言 社会学的な物の見方を身につけた時、世の中を普段とは違った角度から見ることができるようになりま す。この授業を通じてみなさんも社会学的に思考する方法を学んで下さい。
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