【研究室名】 複雑系解析学研究室 【担当教員】 教授 相原正樹、准教授

【研究室名】
複雑系解析学研究室
【担当教員】
教授 相原正樹、准教授 高橋聡、助教 稲垣剛、助教
重城貴信
【教育目的】
物質と光の相互作用に関する最先端の問題の理論的研究を通して、この分野におけ
る広範な知識を習得すると共に、柔軟な思考力と深い洞察力を有し独自の考察ができる
人材の養成を目指します。
【指導方針】
未知の問題に挑む「研究」は「勉強」とは異なる作業です。教員や先輩と共同で研究
を行うことによって、単なる知識の獲得ではなく、未解決の課題に対して自分自身の頭
で論理的に考える力を身に付け、まだ解明されていない問題を自らの力で解き明かして
いく喜びを味わうことができるように指導します。単に知識に頼るのではなく、柔軟な
思考力を身に付け多種多様な課題に対応できる能力を養うことが大切です。このような
観点から研究を遂行し、また卒業後も日進月歩の先端科学技術に対応していくには、物
理学に関する深い理解が必要となります。単なる知識の集積では真の問題解決能力は身
につかず、最先端科学技術分野における競争に勝ち抜いていくことはおろか、それにつ
いていくことさえ容易ではありません。当研究室では、本格的な研究に先立って、量子
力学を初めとする物理学の基礎について、また場の量子論を用いた物性物理学について、
ゼミナール等を通じて個々の学生の習得度に応じたきめ細かい指導を行ないます。また、
近年物質科学において、コンピューターによる大規模計算の果たす役割は極めて大きく
なっています。当研究室の研究においては、最先端の演算能力と通信機能を有する高性
能 PCクラスターを用いた大規模並列計算についても、ゼミナールや実習を通じて教育
し、さらには実際の研究に用いることにより、最先端のコンピューター技術に習熟する
ように指導します。
【ゼミナール】
研究テーマの理解に必須であり、最先端の物理学の重要テーマとなっている、多体系
の量子力学ゼミナール、電磁気学ゼミナール、固体物理学ゼミナール、および大規模数
値計算に不可欠な並列計算ゼミナールを行っています。多体系の量子力学ゼミナール、
電磁気学ゼミナール、および固体物理学ゼミナールにおいては、知識の獲得だけではな
く、論理的に考えること、自分の考えを筋道たてて説明し議論することを重視します。
並列計算ゼミナールでは、簡単なプログラム作成や、アナライザーを用いた並列計算の
効率に関する分析などの実習も行います。
【参考書】
1) A. L. Fetter and J. D. Walecha, “Quantum theory of many-particle systems”
(McGraw-Hill)
2) C. Cohen-Tannoudji, “Photons and atoms” (Wiley)
3) J. J. Sakurai, “Modern Quantum Mechanics” (Addison-Wesley)
【修士学位取得条件】
光と物質の相互作用に関する研究課題に取り組み、これをまとめあげることを通じて、
特に光ナノサイエンスの分野における問題解決能力を身に付けることが最も重要な条
件となります。博士前期課程においては、得られた結果それ自体の重要性もさることな
がら、何らかの新しい研究結果を見出すこと、及びそれに対する独自の考察を行うこと
を重視し、修士論文にもそれらが含まれていなければなりません。また、ゼミナールに
おいて積極的に議論に加わり、それを通して物理学の基礎知識と問題解決能力を身につ
けることも必要な条件です。
【博士学位取得条件】
博士前期課程で身に付けた基礎的な研究能力を更に伸ばして、自分の行った研究の
意義や位置づけを把握することにより、新たな研究課題を自ら発掘することが求められ
ます。研究テーマは教員と相談して決めますが、自分の研究テーマの関連分野に関する
深い知識を持つことにより主体的にテーマ設定に関与することが求められます。研究結
果は、国際的に定評のある学術雑誌に掲載される水準の研究論文を第一著者としてまと
められることが博士学位取得の条件となります。また、単なる個人としての研究能力だ
けでなく、後輩の指導や教員との共同研究における協調性や適応性も研究能力の重要な
要素であり、学位取得のために必要な要件とします。