満開の桜は華やかでにぎやかだが「葉桜」もいいものだ。花が散り 5 月も中旬になると、 も え ぎ いろ 勢いよく若葉が芽吹いてきて、桜色が「萌黄色」に変わる。萌黄色は特に新鮮で希望を感 じさせる色だ。 桜の名所である角田城址(角田高校)の桜が葉桜になった頃、今度は、城址へと続く市 民センター前の街路に数十本のアメリカハナミズキが赤と白の可憐な花を咲かせる。そし て阿武隈の山々は萌黄色に輝き、風にざわめいて春の喜びに沸いている。正に「春の山、 笑うがごとし」である。 ところで、市民センターは昨年の大震災で損壊した。このため、国から災害復旧のため の財政支援を受け、本体の研修棟は耐震補強と大規模改修をし、大ホール棟は解体し、西 に場所を移して建て替えることになった。平成 27 年春には、防災・避難施設の機能を持っ た教育文化施設に生まれ変わる。事業費は 20 億円を超える見込みだが、大ホール棟は過去 に建て替え計画があっただけに一気にチャンスが到来した格好だ。 郷土資料館前にある旧健康センターも解体する。市民センター前からここに続く街路も 拡幅する。街路に沿ってハナミズキを植えてはどうかなどの声もある。このように、市民 センター一帯の街並み景観は 3 年後には大きく様変わりすることになる。 5 月 19 日は「アイリス祭り」の前夜祭「仙台フィルハーモニー野外コンサート」にご招 待をいただいた。㈱アイリスオーヤマ角田ITPは阿武隈川沿いの風光明媚な丘の上にあ る。大テントを舞台にした 70 名の楽団員の演奏を、芝生の小山で約 300 名の観客が聴き入 った。大山健太郎社長とともに最前列の席で正に「かぶりつき」で 90 分の迫力ある演奏を 楽しませていただいた。特にスメタナの『我が祖国「モルダウ」 』の演奏には、感動の余り 涙が滲んでしまったほどだ。 「この演奏を、完成した市民センターの大ホールでまた聴きた い」と思った。 緑の風に吹かれながら、災害復興と新たなまちづくりを夢見た 5 月だった。
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