授業概要 生活科学研究科

生活科学研究科 食物健康科学専攻 2015年度 開講授業科目
2011年度以降入学生
授 業 科 目
単位数
期間
担当教員
〔食物科学分野〕
72001-1
食物科学特論Ⅰ
2
前
村上 りつ子
72002-1
食物科学特論Ⅱ
2
後
川上 美智子
72003-1
食物科学特論Ⅲ
2
後(集中)
小林 秀行
72004-1
食物科学演習
2
前
川上 美智子
村上 りつ子
飯島 健志
72005-1
食物科学特別実習
1
前
川上 美智子
村上 りつ子
飯島 健志
72006-1
食物科学特別研究 a
8
1~2通
川上 美智子
72006-1
食物科学特別研究 c
8
1~2通
村上 りつ子
72006-1
食物科学特別研究 d
8
1~2通
川上 美智子
飯島 健志
〔人間栄養学分野〕
72007-1
人間栄養学特論Ⅰ
2
前
梶田 泰孝
72008-1
人間栄養学特論Ⅱ
2
後
桐井 恭子
72009-1
人間栄養学特論Ⅲ
2
後
鯨井 隆
72010-1
人間栄養学演習
2
前
鯨井 隆
梶田 泰孝
桐井 恭子
72011-1
人間栄養学特別実習
1
前
梶田 泰孝
桐井 恭子
中村 和照
72012-1
人間栄養学特別研究 a
8
1~2通
川上 美智子
72012-1
人間栄養学特別研究 b
8
1~2通
鯨井 隆
72012-1
人間栄養学特別研究 c
8
1~2通
梶田 泰孝
72012-1
人間栄養学特別研究 d
8
1~2通
鯨井 隆
桐井 恭子
中村 和照
〔専門関連科目〕
<専門応用科目>
72013-1
分子栄養学特論
2
前
中村 和照
72014-1
栄養生理学特論
2
前
深津 佳世子
72015-1
神経栄養学特論
2
前
鯨井 隆
72016-1
神経生理学特論
2
後
鯨井 隆
72017-1
病態臨床栄養学特論
2
集中+後
石川 祐一
鈴木 宏昌
72018-1
保健統計学特論
2
後
桐井 恭子
72019-1
食教育特論
2
前
川上 美智子
桐井 恭子
- 89 -
<食教育支援科目>
72020-1
教育方法学特論
2
前
池内 耕作
72021-1
教育方法学演習
2
後
池内 耕作
72022-1
教育支援特論
2
72023-1
教育支援演習
2
72024-1
臨床心理学特論
2
前
望月 珠美
72025-1
障害者支援特論
2
後
望月 珠美
72026-1
障害児教育研究
2
後
平田 正吾
72027-1
発達心理学特論
2
2015年度休講
72028-1
発達心理学演習
2
2015年度休講
2015年度休講
2015年度休講
生活科学研究科では、専門教育を構成する「食物科学」
「人間栄養学」の2分野を総合的に履修するため、各分
野の特論Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの3科目6単位、合計12単位必修の履修のほか、修士論文を含め、専攻する分野の選択科目
11単位の履修、及び選択科目7単位以上の履修が必要です。(修了要件30単位以上)。
- 90 -
生活科学研究科 食物健康科学専攻
授 業 概 要
食物科学特論Ⅰ
村上
村上 りつ子
りつ子
食の安全性確保について考える。
食の安全性確保について考える。
<授業内容・ねらい>
<授業内容・ねらい>
〔目的〕近年みられる、新興食中毒微生物、自然毒やカビ毒(マイコトキシン)などによる深刻な食品汚染、調理、加工、
〔この授業のねらい〕
貯蔵の過程においての食品成分の化学的変化による病害などについて、各種因子の特性と制御について新しい情報を取り
1.食中毒事件の動向を説明できる。
入れながら総合的に考える。
2.食中毒原因微生物について説明できる。
〔方法〕
3.自然毒・食性病害化学物質の構造と特性、生体内挙動と代謝について説明できる。
最近の食中毒動向を分析し、食性危害因子について全般的に学ぶとともに、最新の学会講演や論文について解説する。
4.食品の加工・貯蔵の過程における病害因子の生成、食品添加物の安全性について説明できる。
〔授業のねらい〕
5.リスクアナリシス、HACCPについて説明できる。
1.食中毒事件の動向を説明できる。
〔授業の概要〕
2.食中毒原因微生物について説明できる。
近年、食生活の変化や食のグローバル化の影響などにより、カンピロバクター菌やノロウイルスなどの新興食中毒微生物に
3.自然毒・食性病害化学物質の構造と特性、生体内挙動と代謝について説明できる。
よる食中毒が頻発するようになり、主要食中毒原因菌の様変わりがみられる。また、自然毒やカビ毒(マイコトキシン)な
4.食品の加工・貯蔵の過程における病害因子の生成、食品添加物の安全性について説明できる。
どによる深刻な食品汚染や、調理、加工、貯蔵の過程においての食品成分の化学的変化による病害なども明らかにされてい
5.リスクアナリシス、HACCPについて説明できる。
る。
<授業計画>
これらの食中毒や食品変敗の防止のため、食性病害の各種因子の特性と制御について新しい情報を取り入れながら総合的に
1. 食中毒発生の動向
考える。
2. 微生物(細菌)性食中毒
<授業計画>
3. 微生物(ウイルス)性食中毒
1. 食中毒発生の動向
4. 自然毒による食中毒
2. 微生物(細菌)性食中毒
5. その他の食中毒
3. 微生物(ウイルス)性食中毒
6. 微生物性食中毒の発症機構
4. 自然毒による食中毒
7. 抗菌物質の種類と作用機構
5. その他の食中毒
8. 食中毒細菌および変敗菌の抗菌物質による制御
6. 微生物性食中毒の発症機構
9. 有害物質による食品汚染
7. 抗菌物質の種類と作用機構
10.カビ毒(マイコトキシン)の種類と毒性
8. 食中毒細菌および変敗菌の抗菌物質による制御
11.食品成分の調理、加工、貯蔵の過程における病害因子の生成
9. 有害物質による食品汚染
12.食品による健康被害例(1)
10.カビ毒(マイコトキシン)の種類と毒性
13.食品による健康被害例(2)
11.食品成分の調理、加工、貯蔵の過程における病害因子の生成
14.リスクアナリシス・HACCP
12.食品による健康被害例(1)
15.食品の安全性の確保について
13.食品による健康被害例(2)
<教科書・参考書>
14.リスクアナリシス・HACCP
西島基弘/一戸正勝編
図解食品衛生学第4版 講談社、2010、ISBN:978-4-06-139827-6
15.食品の安全性の確保について
適宜プリントを配布します。
<教科書・参考書>
<評価方法>
西島基弘/一戸正勝編
図解食品衛生学第4版 講談社、2010、ISBN:978-4-06-139827-6
レポート、出席状況、授業態度で評価します。
一色賢司編 食品衛生学(第3版) 東京化学同人、 2010、 ISBN: 9784807916030
<履修上の注意>
適宜プリントを配布します。
食物健康科学専攻必修
<評価方法>
レポート(70%)及び出席状況(10%)、授業態度(20%)で評価します。
<履修上の注意>
食物科学特論Ⅱ
川上 美智子
食物健康科学専攻必修
嗜好成分への理解を深める
<授業内容・ねらい>
〔目的〕
食物科学特論Ⅱ
(1)食品における嗜好成分の役割について理解する。
<授業内容・ねらい>
(2)嗜好成分の生成機構への理解を深める。
〔この授業のねらい〕
(3)香気成分の性質、呈未成分の性質を知り、食べ物と美味しさの関わりへの理解を深める。
(1)食品における嗜好成分の役割について理解する。
(4)人体における嗜好成分の機能性について理解する。
(2)嗜好成分の生成機構への理解を深める。
- 91 -
川上 美智子
〔方法〕
ヒトが摂取する食物に含有される食品成分の特性について、最新の研究成果を紹介する。食品成分の特性として、栄養特
性、嗜好特性、生理特性が挙げられるが、本授業では、为に食品の味や香り、色素等の嗜好特性成分とその生体調節機能
を中心に扱う。これらの特性成分の食品中の生成機構、特性成分が人体にどのように受容され、機能を発揮するか等を最
新のデータ、文献(英文学術雑誌:J. Agric. Food Chem.
、ACS Symposium Series、JSFAほか、和文雑誌:日本農芸化
学会誌、日本栄養・食糧学会誌ほか)を使って論じる。
<授業計画>
1.呈味成分各論
2.呈味成分の受容機構と人体への関わり
3.呈味成分の機能性
4.呈味成分に関する最近の研究動向
5.香気成分各論
6.香気成分の受容機構と人体
7.香気成分の機能性
8.植物における香気成分の機能
9.香気成分の生成機構
10.香気成分の分析方法の変遷
11.香気成分に関する研究動向
12.色素各論
13.色素の機能性
14.食品中の褐変現象とメカニズム
15.まとめ
<教科書・参考書>
教科書「おいしさの科学」山野善正、山口静子編(朝倉書店)
参考図書「アロマサイエンスシリーズ21」(フレングランスジャーナル)
その他適宜、指示する。プリントを配布する。
<評価方法>
授業への取り組み(20%)、レポート(80%)を評価する。
<履修上の注意>
食物健康科学専攻の学生は必修。栄養教諭専修免許必修。
食物科学特論Ⅲ
小林 秀行
食品成分の構造と機能
<授業内容・ねらい>
[この授業のねらい]
食品成分の構造と機能性の関連について学ぶ。
[授業の概要]
食品は3つの機能すなわち栄養機能、感覚機能、生体調節機能を持つと言われている。食品の感覚機能、生体調節機能に
関連する成分の構造と機能のかかわりについて、たんぱく質、糖質などを例に挙げて詳細に論ずる。また、食品のこれら
成分の構造と機能について最新の研究動向を紹介する。
<授業計画>
<授業計画>
食品中には、五大栄養素とその他の成分(呈味成分、生理活性物質など)が存在する。これらの構造、機能、そしてその
応用について学ぶ。
1.食品成分
2.タンパク質の分類と機能
3.タンパク分解酵素の構造と機能
4.ペプチドの機能性と利用
5.ペプチド生産技術
6.タンパク質関連酵素
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7.オリゴ糖の機能性と利用
8.オリゴ糖生産技術
9.糖アルコールの機能性と利用
10.食物繊維の機能性と利用
11.糖質関連酵素
12.プロバイオティクスと抗菌性
13.脂質の機能性と利用
14.その他成分の機能性と利用
15.まとめ
<教科書・参考書>
プリント配布。必要に応じて参考文献を提示する。
<評価方法>
レポート及び出席状況、授業態度など総合的に評価する
<履修上の注意>
特になし
食物科学演習
川上 美智子、村上 りつ子、飯島 健志
修士論文作成のための事前演習
<授業内容・ねらい>
〔目的〕
文献検索の手法、文献を正しく理解する能力、プレゼンテーションする能力を身につける。
〔方法〕
(オムニバス方式/全15回)
食物に含まれ、人体にさまざまな影響をもたらす各種成分の機能性評価や分析結果、分析法を扱った国内外の最新の英
語の研究論文や文献を読解し、英文雑誌の読解力を養い、学問的な理解を深める。修士論文作成の基礎を形作る。演習は、
パワーポイント等を使いプレゼン形式で進める。質疑応答により、理解度を深める。
食物に含まれ、人体にさまざまな影響をもたらす各種成分の栄養機能評価や機能性評価、分析結果、分析法を扱った国内外
の最新の英語の研究論文や文献を読解し、英文雑誌の読解力を養い、学問的な理解を深める。修士論文作成の基礎を作る。
<授業計画>
食物に含まれ、人体にさまざまな悪影響をもたらす各種有害成分の評価や分析結果、分析法を扱った最新の英語の研究論
文や文献を読解させる。
(村上りつ子/5回)
1.食性病害因子について
2.微生物の検査技術について
3.自然毒の分析技術について
4.実際に健康被害を起こした食性病害因子の検出例
5.食性病害因子の制御方法、食品による健康危害防止策
(川上美智子/5回)
食品中の嗜好特性成分である各種色素、香気、呈味成分の機能性評価や分析結果、分析法を扱った最新の英語の研究論文
や文献を読解させる。特に各種の機器分析法についての理解を深めることに重点を置き、化合物同定に関する練習問題も
解かせる。
1.食品色素の分析法や機能性を扱った英語文献の読解とプレゼンテーション
2.食品香気成分の分析法や機能性を扱った英語文献の読解とプレゼンテーション
3.食品の呈味成分の分析法や機能性を扱った英語文献読解とプレゼンテーション
4.GC、IR、MS、NMR等機器分析結果の解析法
5.化合物の同定の練習問題
(飯島 健志/5回)
食品中のビタミンの栄養機能評価や分析結果、分析法を扱った最新の英語の研究論文や文献を読解させる。
1.食品中の水溶性ビタミンの分析法に関する英語文献の読解とプレゼンテーション
2.食品中の脂溶性ビタミンの分析法に関する英語文献の読解とプレゼンテーション
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3.水溶性ビタミンと栄養に関する英語文献の読解とプレゼンテーション
4.脂溶性ビタミンと栄養に関する英語文献の読解とプレゼンテーション
5.ビタミン関連化合物の分析法及び機能性に関する英語文献の読解とプレゼンテーション
<教科書・参考書>
英語学術論文
適宜指示する。学生は発表プリントを準備すること。
<評価方法>
演習への取組(30%)、プレゼンテーション発表(70%)等を総合して評価する。
<履修上の注意>
食物科学分野を専攻する学生は必修。家庭科専修免許必修。
食物科学特別実習
川上 美智子、村上 りつ子、飯島 健志
修士論文作成のための事前実習
<授業内容・ねらい>
〔目的〕
実際の食品を用いて試料調製法、各種の機器分析法(LC-MS、GC-MS、IR、分光光度、原子吸光ほか)を実験し
て体得させる。また、化合物の機能性、毒性の判定・評価に必要な微生物実験、抗酸化能評価の実験手法を習得させる。
抗酸化ビタミンの分析方法を習得する。
〔方法〕
実験・実習を行い、分析原理・技術を学び、レポートを作成する。
〔授業の概要〕
(川上美智子/3回)食品を試料調製し、機器分析(GC-MS、IRほか)を用いて分析、結果解析、同定、論文作成の
一連の手法を習得させる。また、試料の一部を用いて抗酸化実験の手法も習得させる。
(飯島健志/3回)食品の機器分析のうち、LC-MS、原子吸光等の原理の理解、結果解析、同定、論文作成の手法を習
得させる。
(村上りつ子/2回)食(村上りつ子/2回)食品に含まれ、健康被害を起こす恐れのある有害物質の検出法について学ぶ。
具体的には、食中毒細菌の検出について実習を行い、実験の手法を体得させる。
<授業計画>
オムニバス方式/全8回2コマ連続授業)
1.食品の試料調製、IR原理とチャート解析(川上)
2.GC-MSの測定原理と分析とチャート解析(川上)
3.DPPH法による抗酸化能測定(川上)
4.試料の前処理(飯島)とHPLCの測定原理(飯島)
5.HPLC及びLC-MSによるβ-カロテン、ビタミンE、ビタミンC分析とチャート解析(飯島)
6.原子吸光分析の測定原理とミネラル分析(飯島)授業計画
7.食品中の一般細菌数の計測および大腸菌群・大腸菌の検出(村上)
8.食中毒菌の検出(村上)
<教科書・参考書>
実験実習に必要な参考書、学術論文は適宜指示する。毎回プリントを配布する。
<評価方法>
実験実習態度(30%)、レポート(70%)を総合して評価する。
<履修上の注意>
食物科学分野を専攻する学生は必修。家庭科専修免許必修。
食物科学特別研究 a
川上 美智子
食品の嗜好成分研究
<授業内容・ねらい>
〔この授業のねらい〕
(1)食物に含まれる嗜好成分等、微量成分の分析、同定等実験手法を体得する。
- 94 -
(2)嗜好成分の役割、機能性を理解する。
(3)修士論文の作成を通し、食に関する課題解決の手法を習得する。
〔授業の概要〕
動植物食品の機能性物質のうち、特に嗜好機能に関わる未知成分、既知成分の卖離・同定をテーマに設定し、試料調製、
GC-MS、LC-MS等の機器分析により卖離・同定する過程を指導する。また、併せて、DPPH法、βカロテン退色
法、SOD活性測定等の抗酸化実験を行い、結果を修士論文にまとめさせる。
<授業計画>
1.ガイダンスとテーマの設定(ターゲットとなる物質の設定)
2.修士論文のまとめ方を概説
3.文献検索、文献収集の指導(C.A.Web・ジャーナルの利用その他)
4.文献解読と研究手法の検討
5.具体的な試料調製、実験方法の検討
6.実験計画の作成
7.試料調製(1)
8.試料調製(2)
9.分析実験の機器調整について(GC-MS、 またはLC-MS)
10.分析実験の準備(LC-MSの前処理、移動相の作成、検量線の作成等)
(GC-MS 標準物質RT、 Kovats Index作表)
11~13.分析実験(2連~3連)、結果解析、化合物の同定、結果考察
14.プレゼンテーション資料の検討と作成
15.中間発表
16.実験方法や研究展開の再検討
17~21.追加実験と解析の繰り返し、結果評価
22.抗酸化実験等の手法検討
23.試料調製と試薬準備
24~27.複数方法による抗酸化実験
28.結果考察、総括
29.修士論文とパワーポイントにまとめる。
30.修士論文発表会
<教科書・参考書>
実験に必要な参考書、学術論文は適宜指示する。
Agric. Food Chem.、ACS Symposium Series、JSFA、Flavor,B.B.B、日本農芸化学会誌、日本栄養・食糧学会
誌、日本家政学会誌ほか
<評価方法>
修士論文の取り組みと内容(結果)を評価する。
<履修上の注意>
食物科学分野を専攻する学生が履修。
食物科学特別研究 c
村上 りつ子
<授業内容・ねらい>
〔目的〕
食中毒の原因となる、微生物、または微量で有毒性を示す自然毒についての特性を理解し、これらの危害因子の食材での
分布状況、その制御法について検討し、食中毒発生防止に役立てる。
〔方法〕
微生物や自然毒などの食性危害因子に関しての文献を調査し、これらのの特性を理解した後、食品中からの有効な検出法
について検討する。 特に、現場でも応用できる簡易な検出法を考案し、それによって市場に流通する食品について汚染
状況を調べ、その制御法について考えていく。
<授業計画>
1.学術誌の総説および学術卖行本により食中毒の原因となる微生物やマリントキシンの特性について学ぶ。
2.これらの分析法について文献を調査する。
- 95 -
現在、実際に使用されているAOAC法や日本の公定法および文献上に記載されている分析法を理解する。
3.2.の分析法についての問題点を考える。
4.これらの分析法について、代替法の可能性について考える。
5.特に、簡易分析法を検討する。
6.~14.簡易分析法を考案する。
15.中間発表
16~18.考案した簡易分析法について、変動係数、添加回収試験等により評価する。
19~22.開発した分析法および既存の分析法により、市販食品を分析する。文献と比較し、考察を行う。
23~25.評価、実験方法の再検討
26~29.実験と解析を重ねながら、修士論文をまとめる。
30.修士論文発表会
<教科書・参考書>
実験に必要な参考書、学術論文は適宜指示する。
<評価方法>
課題に対する取り組み態度および作成した論文内容により評価
<履修上の注意>
食物科学分野を専攻する学生が履修
食物科学特別研究 d
川上 美智子、飯島 健志
食品成分に関する研究
<授業内容・ねらい>
〔この授業のねらい〕
(1)食物に含まれる微量栄養素や機能性成分の分析、同定等実験手法を体得する。
(2)食品中の成分の機能性を理解する。
(3)修士論文の作成を通し、食に関する課題解決の手法を習得する。
〔授業の概要〕
動植物食品の微量栄養素や機能性物質の未知成分、既知成分の卖離・同定をテーマに設定し、試料調製、GC-MS、L
C-MS等の機器分析により卖離・同定する過程を指導する。また、併せて、DPPH法、βカロテン退色法、SOD活
性測定等の抗酸化実験を行い、結果を修士論文にまとめさせる。
<授業計画>
1.ガイダンスとテーマの設定(ターゲットとなる物質の設定)
2.修士論文のまとめ方を概説
3.文献検索、文献収集の指導(C.A.Web・ジャーナルの利用その他)
4.文献解読と研究手法の検討
5.具体的な試料調製、実験方法の検討
6.実験計画の作成
7.試料調製(1)
8.微量栄養素分析について
9.分析実験の機器調整について(GC-MS、 またはLC-MS)
10.分析実験の準備(LC-MSの前処理、移動相の作成、検量線の作成等)
(GC-MS 標準物質RT、 Kovats Index作表)
11~13.分析実験(2連~3連)、結果解析、化合物の同定、結果考察
14.プレゼンテーション資料の検討と作成
15.中間発表
16.実験方法や研究展開の再検討
17~21.追加実験と解析の繰り返し、結果評価
22.抗酸化実験等の手法検討
23.試料調製と試薬準備
24~27.複数方法による抗酸化実験
28.結果考察、総括
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29.修士論文とパワーポイントにまとめる。
30.修士論文発表会
<教科書・参考書>
実験実習に必要な参考書、学術論文は適宜指示する。
<評価方法>
実験実習態度、発表内容、論文内容を総合的に評価する。
<履修上の注意>
食物科学分野を専攻する学生が履修。
人間栄養学特論Ⅰ
梶田 泰孝
<授業内容・ねらい>
〔この授業のねらい〕
栄養素の摂取・代謝、消化吸収機構について理解する。
栄養素の摂取と内因性疾患の関係を理解する
〔授業の概要〕
生命体が正常に活動できる、すなわち健康であるためには適切な栄養素の摂取をはじめ、各器官、各組織系の連動性のあ
る活動が必要である。現在、危惧されている生活習慣病などの内因性の疾患はこれらの正常な働きが乱れたときに生じる
ものと考えられる。
本講義では、生命の維持や、エネルギーの獲得をはじめとする栄養素の代謝を、生理・生化学的に理解することを目的と
する。さらに生体の各器官・組織の役割を総括的に理解する。
また咀嚼や嚥下、消化・吸収、排泄の各機構の理解を深め、その機構が障害されたときの身体の変化について、具体例を
用いながら講義をすすめる。
<授業計画>
以下の項目に即した学術論文や教科書を用い、講義および討論形式にて授業を進める。
1
本講義に関するオリエンテーション
2
为要栄養素の特徴およびエネルギー代謝
3
エネルギー代謝の理解(基礎代謝、安静時代謝、運動時代謝)
4
難消化性物質の科学と機能
5
水分・電解質バランスと恒常性(水分代謝分野)
6
水分・電解質バランスと恒常性(ミネラル代謝分野)
7
栄養素の消化・吸収機構(三大栄養素)
8
栄養素の消化・吸収機構(無機質ほか)
9
栄養とライフサイクル(胎児期~思春期)
10 栄養とライフサイクル(成人期~高齢期)
11 栄養素の摂取と病態生理学(糖尿病)
12 栄養素の摂取と病態生理学(骨粗鬆症)
13 栄養素の摂取と病態生理学(脂質代謝異常症)
14 栄養素の摂取と免疫機能
15 総括
<教科書・参考書>
参考図書(最新栄養学)、プリント配布、英語学術論文配布
初回、授業時に指示します。
<評価方法>
レポート及び授業態度で評価します。
<履修上の注意>
食物健康科学専攻必修
- 97 -
人間栄養学特論Ⅱ
桐井 恭子
栄養疫学研究における調査法とその評価
<授業内容・ねらい>
〔目的〕
栄養疫学研究についての正しい理解を深め、適切な研究デザイン、データの収集、分析、評価ができるようにする。また、
研究成果から公衆栄養活動に繋げる力を養う。
〔方法〕
参考書、資料等を用いて、栄養疫学の基本かつ重要な事項について理解を深める。また、優れた先行疫学研究の論文を基
に、研究デザイン、方法、結果の分析・評価法について討議を行いながら習得する。
<授業計画>
講義およびディスカッションにより授業を進める。
1.
オリエンテーション
2.
栄養疫学の概要
3.
食事調査の留意点
4.
食事調査、食物頻度調査法の評価
5.
食物頻度調査票の再現性と妥当性
6.
食事を反映する生化学的指標(総論)
7.
食事を反映する生化学的指標(各論)
8.
身体組成の測定
9.
総エネルギー摂取量の調整法
10. 食事データの解析と分析1
11. 食事データの解析と分析2
12. 栄養管理とモニタリング
13. 栄養疫学研究の実際1
14. 栄養疫学研究の実際2
15. 総括
<教科書・参考書>
参考書:田中平三 監訳 「第二版 栄養疫学」 (第一出版)、日本人の食事摂取基準2015年(第一出版)
他の参考資料は授業時に適宜指示します。
<評価方法>
レポート及び授業態度で評価します。
<履修上の注意>
特になし
人間栄養学特論Ⅲ
鯨井 隆
<授業内容・ねらい>
〔この授業のねらい〕
生体内の様々な恒常性の仕組みと病態生理を理解しながら、代表的な疾患の臨床症状と発症機構ならびに栄養摂取との関
わりなどを具体的に学習するのが狙いであり、臨床現場での基本的な栄養学的問題点を洞察できる事が到達目標となる。
〔授業の概要〕
液性・浸透圧調節や体温・血液・免疫学・内分泌代謝学・神経系調節などの様々な恒常性の仕組みを学習しながら、破綻
された病態や疾患について総合的に捉える見方を为眼に置くよう講義内容に盛り込んで行く。急性疾患・慢性疾患や神経
系の疾患などの捉え方に対して栄養と健康科学的な新たな考え方が培われるように配慮・工夫した授業を目指す。
<授業計画>
恒常性維持の問題やその病態生理を通して栄養学的な諸問題を総合的に捉える仕方を学習する。
1.オリエンテーション(恒常性維持と病態)
恒常性(ホメオシスターシス)の種類とその背景にある病態機序の概説
2.情報伝達様式(液性・免疫・神経)
情報伝達様式の種類と各々の特徴様式を具体的に詳述する
3.酸塩基平衡と病態生理
- 98 -
Henderson-Hasselbalchの式の扱い方と酸性・塩基性の病態機序を詳述
4.水分調節維持と病態生理
水分調節に関わる各種ホルモンと器官の概説と内分泌疾患の特殊病態の詳述
5.体温調節維持と病態生理
体温調節中枢とサイトカイン応答・温度設定・発汗様式と病態生理を詳述
6.循環及び血圧調節と疾患ならびに薬物治療の背景
循環・血圧の液性・神経性調節の概説と病態疾患・薬物治療の背景を詳述
7.ホルモン調節と病態生理
血糖調節を中心としたホルモン調節と異常を呈する疾患の病態生理を詳述
8.各疾患の栄養摂取法
PEG/PEG/IVHなどのNSTの一員として必要な臨床上の栄養摂取法と問題点を詳述する
9.エネルギー代謝調節と病態生理
3大栄養素のエネルギー代謝の生化学・酵素・ホルモン・膜輸送系の背景と異常を呈する病態生理の
詳述
10.消化器機能異常と病態生理
栄養素の吸収・代謝調節に関わる酵素系・輸送系を中心として異常を呈する各種疾患の病態生理の詳
述
11.腎機能の病態生理と各種疾患
腎臓の機構異常から酸塩基平衡・吸収排泄異常を呈する病態と各種代表的疾患の病態生理の詳述
12.呼吸機能の病態生理と各種疾患
呼吸機能異常を呈する病態と酸塩基平衡への病態生理と炎症・サーファクタント異常など各種代表的
疾患の病態生理の詳述
13.アレルギーの病態と自己免疫疾患
アレルギーに関与する細胞群とアレルギー分類(I~IV)による関与物質の病態背景と自己免疫疾患(Vを
含む)に関わる代表的疾患の病態生理の詳述
14.自律神経調節とその病態生理
神経機構の調節の多くは自律神経系が食と関連するが、内臓系だけでなく反射病態にも触れてその病
態生理学を詳述
15.各種神経疾患と栄養学
中枢神経疾患を中心としてその機能維持に重要な生理活性物質・神経伝達物質に必要な栄養素との
関わりを詳述
定期試験
<教科書・参考書>
教科書)糖尿病・代謝・栄養疾患ビジュアルブック 落合慈之 監修 Gakken
参考書)理系総合のための生命科学
分子・細胞・個体から知る”生命”のしくみ
東京大学生命科学教科書編集委員会
羊土社
<評価方法>
最終筆記試験(50点満点)と課題レポート(50点満点)の総合得点から成績評価を施行する。
<履修上の注意>
教科書に沿って、講義はスライド形式で施行するが、補足内容については当日プリント配布する。学部学生レベルの基礎
的な内容はあらかじめ復習しておくことが望ましい。簡易計算器や英語辞書も持参が望ましい。
人間栄養学演習
鯨井 隆、梶田 泰孝、桐井 恭子
<授業内容・ねらい>
〔この授業のねらい〕
・ 栄養疫学研究の論文を読み解き、疾病と栄養について、また疾病との因果関係のある要因について正しく理解し、
人々の疾病予防に役立てる力を養います。
(桐井)
・ 「中枢神経系の疾患」に関する栄養学的な考え方を育み、学術論文を通して研究法の理解と論法の組み方などを学習
します。
(鯨井)
・ 現在の栄養素の摂取状況、特に無機質の摂取状況を取り上げ、そこに潜む危険性などを読み取る力を
- 99 -
養います。
(梶田)
〔授業の概要〕
・ 栄養素と疾病との関連を検討した栄養疫学研究の論文を精読し、論文を読む際の注意点、データの解釈等について理
解できるようにします。研究結果から導きだされた疾病予防効果についてもディスカッション等で学習していきます。
(桐井)
・ 「中枢神経系の疾患」に関する栄養学的な考え方を、事例演習問題や学術英語論文の精読とデスカッションを通して
具体的に学習していきます。
(鯨井)
・ 食事摂取基準の項目のうち、特に無機質の項目に関する学術論文について読解およびデータの解釈を行います。さら
に過剰症や欠乏症など、無機質が関係する危険などについても学習していきます(梶田)
。
<授業計画>
演習テーマである栄養学的諸問題を国際学術論文の精読を通してその研究法を学びます。
1.桐井
オリエンテーション(英語論文の指定と概要説明)
・栄養疫学研究の知識
・人の栄養状況と疾病との関連についての予備知識
・栄養と疾病に関する学術英語論文の精読とデスカッション(1)
・栄養と疾病に関する学術英語論文の精読とデスカッション(2)
2.鯨井
・オリエンテーション(中枢神経系の疾患の病態生理と英語論文の指定)
・脳血管障害に関する栄養学的な考え方の事例演習(1)
・錐体街路系疾患に関する栄養学的な考え方の事例演習(2)
・cognitive regulatory system disturbanceに関する学術英語論文の精読とデスカッション(1)
・gene-related metabolic CNS disordersに関する学術英語論文の精読とデスカッション(2)
3.梶田
・オリエンテーション(食事摂取基準の考え方と英語論文の指定)
・食事摂取基準策定(エネルギー)に関する学術英語論文の精読とデスカッション
・食事摂取基準策定(脂質)に関する学術英語論文の精読とデスカッション
・無機質の過剰・不足摂取に関する学術英語論文の精読とデスカッション
・ビタミンの過剰・不足摂取に関する学術英語論文の精読とデスカッション
<教科書・参考書>
プリント配布、参考資料等の配布
<評価方法>
実験・解析・論文作成等の総合的内容で評価します。
<履修上の注意>
人間栄養学分野の学生は必修
人間栄養学特別実習
梶田 泰孝、桐井 恭子、中村 和照
<授業内容・ねらい>
〔この授業のねらい〕
・ 公衆栄養活動に有効な栄養プログラムを検討し、実際の栄養マネジメント能力を高める。
(桐井)
・ 遺伝子多型と生活習慣病の関係を理解し、その有効性や活用する能力を養う。
(梶田)
・ 生活習慣病予防およびQOL向上のための運動の役割について理解し、対象者に応じた運動処方の
方法について考える能力を養う。
(中村)
〔授業の概要〕
・ 保健所等でのプログラム事例(食育・生活習慣病対策)を検討し、どのプログラムが有効的か、問題点及び優れた
点について理論的に考察する。また、実際にプログラムを計画し、討議による評価を行い、より効果的な公衆栄養活
動ができる力を養う。
(桐井)
・ 日々の生活習慣が同じであっても、疾病の発症には差が生じる。その発症成因や対象者自らがもつ遺伝的背景を理
解し、栄養学的な予防や生活習慣の変容などを考えてゆく。実際には自らのサンプルを用いて、食事摂取状況や運動
習慣などの情報から、予防や治療の方法を考える力を養う。
(梶田)
- 100 -
・ 生活習慣病を予防するための運動について着目し、近年発表された学術論文の内容から疾病に応じた効果的な運動
方法について検討を行ない、対象者に合わせた運動処方を行なう
能力を養う。
(中村)
<授業計画>
1.桐井
・ 地域アセスメントの概要
・ 公衆栄養プログラムの実例と検討
・ 栄養プログラムの計画
・ 作成した栄養プログラムについての討議・評価
2.梶田
・ 遺伝子多型の理解と実際
・ DNAの採取法、検出法
・ 結果判定、結果の理解
・ 得られた結果から考えられる栄養指導・運動指導
3.中村
栄養アセスメントの結果から、対象に応じた運動処方の方法について学ぶ。
・ 生活習慣病を予防する運動方法
・ 疾病に応じた運動処方
・ 体力評価と運動処方
<教科書・参考書>
必要に応じてプリントを配布
<評価方法>
レポート及び授業態度で評価
<履修上の注意>
人間栄養学分野専攻の学生は必修
栄養教諭専修免許必修
人間栄養学特別研究 a
川上 美智子、桐井 恭子
栄養疫学研究
<授業内容・ねらい>
〔目的〕人々の疾病予防および健康増進を期するために、栄養疫学的手法を用いた研究を行い、成果を論文にまとめ発表
する能力を身に付ける。
〔方法〕1.我が国における生活習慣病罹患の現状および予防対策を把握する。2.研究対象について先行研究等を基に深く
検討する。予防対象となる疾患についても熟知する。3.実際の研究を行いながら信頼のおける栄養疫学手法を学ぶとと
もに.研究計画の組立て及び研究方法、結果の解析・評価法等を習得する。
<授業計画>
1. ガイダンス、
2. テーマの設定と修士論文作成について
3. 先行研究の把握(生活習慣病と公衆栄養マネジメント関連の疫学研究論文の精読)
4. 先行研究の把握(生活習慣病と公衆栄養マネジメント関連の疫学研究論文の精読)
5. 研究に必要な情報収集及び資材の準備
6. 研究に必要な情報収集及び資材の準備
7. 研究仮説と研究計画の設定
8. データの取扱い方と倫理指針について
9. 研究計画書の作成と見直し
10.研究計画書の完成
11.研究の実施
12.研究の実施
13.研究の実施とまとめ
14.研究の実施とまとめ
- 101 -
15.中間発表
16.研究計画の修正
17.研究の実施
18.研究の実施
19.研究の実施
20.研究の実施
21.データの整理・チェックと入力
22.データのクリーニング
23.データ解析および分析
24.データ解析および分析
25.修士論文の作成
26.修士論文の作成
27.修士論文の作成
28.修士発表の準備
29.修士発表の準備
30.修士論文発表
<教科書・参考書>
授業開始時及び適時指示します。
<評価方法>
研究への取り組み状況、論文の内容により評価します。
<履修上の注意>
特になし。
人間栄養学特別研究 b
鯨井 隆
<授業内容・ねらい>
高齢者や脳機能障害者の「摂食行動や栄養学的な諸問題点」の中から研究テーマを策定し、より良い栄養摂取改善に取り
組むのには何が必要で何が求められていのるかを、近年の新しい認知神経科学的手法から解決に迫ります。方法論と研究
デザイン・解析法・統計解析・考察などの方式の指導を通して妥当性・整合性ある論文作成を目指します。
<授業計画>
生活習慣・癌予防・脳機能障害等を为眼に病態・疾患に対する栄養の取り組みを学習します。
高齢者社会・ストレス社会・高度情報化社会などと言われる近年の日本の現状には様々な健康問題が山積しています。こ
うした日本の現状を鑑みて、ここでは食と健康の関係を従来の研究法から離れて、近年の脳科学の視点からこの問題解決
策を見出して行くのがこの授業の为眼と成ります。その手法論から始まり、最近の国際学術論文から見る健康観の捉え方
も加味しながら研究の在り方を学習します。問題解決に迫る独自の研究テーマ策定の指導から、認知神経科学的な基礎的
な中枢神経ネットワークシステムや情報処理様式、脳内物質と栄養素などにも触れながら、「目に見えないからくり」を
実験データから論理的に問題解決し、論文作成への指導をして行きます。
第1回:ガイダンスとテーマの決定
認知調節系(cognitive regulatory system)とヒト食行動への関係(認知神経科学分野内容)を重視しこの
観点から研究テーマを決定して、これに相応した予定講義や研究法等の概説も行う。
第2回:修士論文のまとめ方と概説
「目に見えない」食に関する認知科学的修士論文のまとめ方や妥当性・信頼性・整合性・研究デザイン・実
験法のあり方(フィッシャー法による実験計画法)・数理科学的/統計学的手法等の概説を行う
第3回:問題解決のための実験方法の検討理解
食行動に関する注意機構・記憶やworking memory・意志決定論などの未解決の諸問題に関した実験方
法(反応時間・脈波・脳波計等)・データ収集法等につき概説する
第4回:実験系のコントロールデータの扱い方
認知神経科学系実験ではコントロールの扱い方が結論に大きく影響をもたらす可能性が高く、この点の問
題点を具体的にあげながら対策法を詳述する。
第5回:注意機構に関する研究:反応時間とデータの扱い方
意識に上る反応系での反応時間データの取り方と扱い方、 divided attentionのPashler法に依る可視化
- 102 -
を例にあげて解析法や統計解析上の注意点を概説して行く。
第6回:ストレス応答性の実験系と考え方
加重負荷(一種のストレス)による応答のデータの取り方を、代謝面(アミラーゼなど)と認知面(心電図・
瞳孔経・脈波・galvanic skin response等)から検討しそのデータ処理法の概説を行う。
第7回:脈波による中枢神経自律神経調節の考え方=各論1脈波の波形微分・加速度波形の解析法と中枢神
経系の副交感神経・交感神経の相関・データ解析法について詳述する。
第8回:脳波に依る認知系の考え方=各論2(脳波の取り方)
反応時間に呼応して脳内での認知過程を探る手法論を概説するが、ここでは特に脳波の取り方とデータ解
析法につき述べる。
第9回:脳波に依る認知系の考え方=各論3(周波数解析学の手法)
認知系の応答には、脳波の周波数依存性が幾つか判明している。ここでは周波数依存性の大脳2次マッピ
ングの動態の解析法やCNV(contingent negative variation)等の波形加算法からの求め方の概説をする
第10回:脳波に依る認知系の考え方=各論4(相関関係の求め方)
諸種の認知反応課題(タスク)のデータ解析と脳波データ解析の相関性を求めていく方法論と得られる脳内
で生じる認知的背景とその考え方を数理科学的に詳述する。
第11回:食選択の意思決定様式の脳内機構
意識上・意識下にある食選択の脳内意志決定様式と数理最適化理論について詳述する。
第12回:嗅覚認知の食弁別機構と脳内神経解剖
食の嗅覚に関わる認知学的神経機構の生化学・生理学・神経解剖学から背景を詳述する。
第13回:視覚認知からの食選択と食行動への脳内機構
価値判断に伴う視覚認知・注意機構・食選択行動への脳内神経ネットワークにつき詳述する。
第14回:味覚の神経機構と脳内回路
味覚の神経情報入力様式と脳内神経回路につき分子生化学・神経生理学も含め詳述する。
第15回:中間発表
実験研究の進み具合をデータ提示をもって検討し、目的・方向性・妥当性・問題点等の観点から内容吟味し
て、今後の論文完成に向けて議論・検討・指導を行う
第16回:食行動に伴う情動系作用
食から生まれる快・不快等の情動起源と記憶様式などにつき神経解剖学的に概説する。
第17回:食欲調節に関わる脳内生理活性物質
食欲増進・抑制に関わる調節生理活性物質と脳内神経解剖学の関連を詳述する。
第18回:食に関わる高次脳内神経回路様式―基礎編
ヒトの前頭前野(PFC)・前頭眼窩部(OFC)・扁桃体・Papetz回路などを概説する。
第19回:ヒトの脳内アミン系神経解剖と行動様式への影響
ヒトの注意機構・リズム調節・覚醒系に伴うアミン系の神経伝達物質の解剖生理学概説。
第20回:腸と脳内の双方に関連する脳腸ホルモン(brain-gut peptide)
消化管ホルモンでもあり脳内生理活性物質でもあるペプチドの細胞起源とネットワークの概説。
第21回:食に関わる末梢神経の神経解剖
咀嚼・嚥下や反射・食に関する5感の神経解剖の概説。
第22回:食に関わる中枢神経の神経解剖
食関連の味覚・嚥下・情動・選択・記憶・高次脳機能(空間認知等)の様式に関わる中枢神経の概説。
第23回:ストレスと食行動に関わる神経解剖学
ストレスのセリエ理論を背景とした内分泌学的・神経解剖学的な機能解剖学の概説。
第24回:情動に関わる脳内神経伝達物質と食生活
情動関連物質を概説し、脳内代謝や補酵素・各物質の含有食物につき総説する。
第25回:代謝調節物質欠乏と神経系機構異常
例えば食の偏食で脳内セロトニンが欠乏すると鬱に成りやすくなるが、幾つかの脳内物質を例にあげながら
その機構の病態生理につき概説する。
第26回:ストレスと過敏性腸症候群(IBS)
近年増加しつつあるIBSをbrain-gut peptideであるセロトニン調節の面から、その腸・脳内の異常の病態
機構の概説と連合野の機能的役割を詳述。
第27回:認知症に関連する物質と食生活
- 103 -
Treatable dementiaの概念を述べ、食との関わりの中での注意点・改善法の概説をする。
第28回:脳血管障害に伴う食関連の特異症状
側空間失認・病態失認・言語障害・嚥下障害・上肢到達運動障害などをあげ、その病態生理とその取り組
み方の概説をする。
第29回:錐体外路系疾患と食関連の諸問題
例えば、高齢者に多いパーキンソン病では匂い感覚低下やドーパミン薬の服薬と蛋白質摂取・ビタミンB6
等の併用で服薬の吸収障害が生じて病状悪化するが、意外と現場では多くの場合その認識不足と取り組
みが遅れている。こうした錐体外路系の幾つかの疾患をあげて対応・対策の概説をする。
第30回:修士論文発表会
作成した論文内容につき発表しその内容を学術的に評価検討する
論文提出
<教科書・参考書>
教科書)『事象関連電位 -事象関連電位と神経情報科学の発展』 丹羽真一、鶴 紀子 編 新興医学出版社
参考書)神経科学 脳の探究
(ベアー コノーズ パラディーソ)
ピネル バイオサイコロジー 脳ー心と行動の神経科学
西村出版
西村出版
講義内容で不足分は、プリント配布、参考資料等を配布する。
<評価方法>
実験・解析・論文作成等の総合的内容で評価します。
<履修上の注意>
常に、実験ノート、学習ノート、簡易計算器と英語辞書の持参が必要である。
人間栄養学特別研究 c
梶田 泰孝
<授業内容・ねらい>
〔この授業のねらい〕
①栄養素、特にミネラル代謝について理解を深める。
②ミネラルの過不足によって生じる生体の変化のメカニズムを遺伝子レベルから考察を行う。
③栄養素の出納について理解する。
〔授業の概要〕
生体にとって栄養素は必須であるが、この栄養素の過不足によって生体は敏感に反応、代謝し、恒常性を維持している。
特にミネラルは細胞内の情報伝達や酵素反応の補助因子としてなど、様々な生命活動を担う物質として機能している。現
在、このように重要なミネラルの摂取不足や過剰摂取が報告されており、今後関係する疾患が増加するものと考えられる。
本講座では、そのような栄養素の諸問題を解決することが出来るよう遺伝子レベルから考えるような能力・技術の習得を
目標とする。
<授業計画>
1.
研究の進め方の指導
2.
ミネラル代謝に関する講義
3.
ミネラルの小腸吸収および輸送に関する最新知見の学習
4.
ミネラルの研究に関係する論文の精読
5.
研究の方向性に関する検討(研究内容についてならびにテーマの決定)
6.
研究の方向性に関する検討(実験手法に関して)
7.
動物実験の基礎(動物の扱い方ほか)
8.
動物実験に用いる飼料作成
9.
栄養素出納に関する作業
10. 動物の解剖に関する講義
11. 動物の解剖の実施および検体の摘出
12. 測定試料の作成(血清処理)
13. 測定試料の作成(骨や腎臓などの各臓器の前処理)
14. 検体の測定(原子吸光光度計および分光光度計を用いた測定)
15. 中間発表
16. 検体の測定(高速液体クロマトグラフィーを用いた測定)
- 104 -
17. 測定試料の処理(遺伝子発現に用いるRNAの抽出)
18. 測定試料の処理(RNA濃度の測定ならびに希釈など)
19. RNAを用いた遺伝子発現の観察(RT-PCRを用いた手法)
20. RNAを用いた遺伝子発現の観察(電気泳動ならびに泳動像の撮影)
21. ELISA(Enzyme-Linked Immuno Sorbent Assey)法による血清ホルモン濃度の測定
22. 統計解析
23. 実験結果の解読
24. 発表媒体の作成
25. 考察に関する論文の精読
26. 評価(自己および客観的な評価)ならびに実験方法の再検討
27. 再検討結果を基に次期研究内容の決定
28. 動物を用いた栄養実験・測定・考察
29. これまでの結果の総括
30. 修士論文作成および発表
<教科書・参考書>
実験に必要な参考書、学術論文は適宜指示する。
<評価方法>
課題に対する取り組み態度およびまとめた論文により評価。
<履修上の注意>
人間栄養学分野を専攻する学生が履修。
人間栄養学特別研究 d
鯨井 隆、中村 和照
スポーツ科学に関する研究
<授業内容・ねらい>
競技種目,環境およびトレーニング内容の違いによるヒトのエネルギー代謝の変化について理解し,運動時のパフォーマ
ンスを維持するための栄養および水分の摂取方法について検討を行ない,スポーツ活動に従事する対象者に応じた栄養教
育を行なう能力を養うことを目標とする.
また,研究者として,研究課題の抽出,計画の立案,実施,結果の分析,考察を行なう能力を身につけることを目標と
する.
<授業計画>
1. 研究テーマの設定方法について
2. 修士論文の作成方法について
3. 研究背景と先行研究の問題点
4. 問題を解決するための研究方法の検討
5. 運動中の炭水化物代謝と競技パフォーマンスに関する論文の精読
6. 運動中の水分補給と体温調節に関する論文の精読
7. 運動負荷テストの基礎
8. 運動負荷テストの応用
9. 仮説および研究実施の妥当性について検討
10.倫理指針に基づいた実験プロトコールの検討
11.研究計画書および被験者募集
12.被験者に対する研究内容の説明および同意書の取得
13.研究課題1の実施①
14.研究課題1の実施②
15.中間報告
16.研究計画の見直し
17.研究課題1の実施③
18.研究課題1のデータ分析および結果の検討
19.研究課題2の実施①
20.研究課題2の実施②
- 105 -
21.研究課題2の実施③
22.研究課題2のデータ分析および結果の検討
23.修士論文として使用するデータの精査
24.使用データの再分析
25.修士論文の作成①
26.修士論文の作成②
27.修士論文の作成③
28.修士論文の総括および今後の研究課題について
29.発表媒体の作成
30.修士論文発表
<教科書・参考書>
必要な資料・論文については適宜指示
<評価方法>
研究に取り組む態度および論文の内容によって評価
<履修上の注意>
特に無
分子栄養学特論
中村 和照
遺伝子の働きと生活習慣病の発症機構について理解を深める
<授業内容・ねらい>
【授業のねらい】
①分子栄養学の基盤となる分子生物学について理解する
②各栄養素による遺伝子発現の調節について理解する
③近年発表された学術論文からヒトの遺伝子と生活習慣病の発症について検討を行なう
【授業の概要】
日本では、高齢化が進むと同時に「生活習慣病」を抱えた患者が増加している。本来ヒトは、栄養素の過不足に応じて
生体内の代謝を変化させ、恒常性を維持している。しかしながら、不適切な生活習慣が持続すると、生体内の恒常性に変
化が生じ、
「生活習慣病」の発症へとつながる。
本講義では、栄養素や生活習慣が遺伝子に与える影響について理解し、新たな研究に発展させる方法を考えることを目
標にする。
<授業計画>
【1】
オリエンテーション
【2】
分子栄養学の基礎
【3】
栄養素の分子生物学(糖質代謝)
【4】
栄養素の分子生物学(脂質代謝)
【5】
栄養素の分子生物学(たんぱく質代謝)
【6】
栄養素による遺伝子の発現調節
【7】
栄養素の摂取不足と遺伝子発現
【8】
栄養素の過剰摂取と遺伝子発現
【9】
運動と遺伝子発現
【10】 遺伝子治療、新薬開発等の医療への応用
【11】 糖尿病に関連する遺伝子
【12】 肥満に関連する遺伝子
【13】 骨粗鬆症に関連する遺伝子
【14】 睡眠に関連する遺伝子
【15】 総括
<教科書・参考書>
必要な参考書および学術論文について授業内で指示する
<評価方法>
出席状況、授業態度、レポートによって総合的に評価
- 106 -
<履修上の注意>
特になし
栄養生理学特論
深津 佳世子
<授業内容・ねらい>
[この授業のねらい]
目的:栄養生理学関連の最先端の話題について、自分の考えを持つことができ、深い議論ができる力を養う。
方法:ただ受け身の授業ではなく、実際に自分の身体を使って生理学的な検討を行ったり、細胞培養など最新の技術の体
験も行ったりしながら、栄養生理学へのより深い理解を目指す。
[授業の概要]
私たちの身体は、ATPという電池によって動く精巧なロボットのようなものである。しかし、電池と大きく異なり、ATPは
細胞内に貯蔵して備えることができない。生きている限り、すべての細胞は常にATPを分解して使用しながら合成し続け
なければならない。ATP産生が滞れば非常に短時間で死に至る。生きるためのATPの産生には、①栄養 と ②酸素 の2つ
が必要であり、どちらが欠けると深刻な事態となる。このように栄養は、生理学と非常に密接な関係にある。また、近年
増加の一途をたどる生活習慣病の発症に、栄養は深く関与している。
本講義では、栄養生理学について実感を持って深い理解が得られるよう、毎回工夫を凝らしながら、体験参加型の授業を
行う。最先端の話題も提供していく。各講義のあと、自分の考えやさらに深く調べたいと感じる事柄について毎回発言し
てもらい、議論を行いながら多角的な考察を深める。
<授業計画>
【第1回】 栄養生理学とは --私たちは精巧なロボット—
【第2回】 筋肉・筋電図(握力を発揮するときの腕橈骨筋の電位・筋肉疲労)
【第3回】 DNAと遺伝子(DNAは設計図。遺伝子とDNAの違いとは?)
【第4回】 遺伝子と栄養(あなたは太りやすい体質?)
【第5回】 遺伝子多型とオーダーメイド医療、分子栄養学(オーダーメイド栄養処方のできるスペシャリストを目指して)
【第6回】 肥満と栄養(様々な肥満測定法と生活習慣病。脂肪組織の新たな意義)
【第7回】 糖尿病(正常血糖値と糖尿病診断基準血糖値の違いはどれくらい?人種による糖尿病成因の違いとは?)
【第8回】 酸化ストレスと血管障害(なぜ糖尿病になると血管病になるのか?)
【第9回】 泌尿器(低張液、等張液を飲用した場合の尿生成速度への影響)
【第10回】食品の機能性成分が身体に与える影響(過去の動物実験データから読み解く)
【第11回】共生の進化と栄養(外来共生生物が栄養を提供している?)
【第12回】細胞培養実験体験
【第13回】これまでの講義内容の中からテーマを決めて関連する論文を読み、レポートにまとめる。
【第14回】発表、討論①
【第15回】発表、討論②
<教科書・参考書>
なし/適宜、文献検索を行い、読んでおく。
<評価方法>
受講態度、発表、討論、レポートにより総合的に評価。
<履修上の注意>
なし
神経栄養学特論
鯨井 隆
<授業内容・ねらい>
健常な脳栄養代謝学と脳機能異常に関する病態生理を神経栄養学的な観点から学習する。現代脳科学の進歩に対して時代
即応性のある神経成長因子・神経サイトカイン・IGF-1などの神経栄養の関連生理活性物質を中心に、新しい治療戦略的
な研究・薬学開発も紹介しながら、脳栄養学の基本的な考え方を身につける事を狙いとする。
<授業計画>
1回 ガイダンスと健常脳機能概説
2回 シナプスと神経伝達物質
- 107 -
3回 神経伝達物質の代謝及び栄養学
4回 神経伝達物質と心
5回 ストレスと脳内栄養代謝調節
6回 学習理論と神経伝達物質・機能回路
7回 神経栄養因子・神経成長因子とその種類
8回 神経サイトカイン
9回 意識・集中度に関する神経回路調節
10回 食欲調節に関わ生理活性物質と病態生理
11回 脳内リズムと脳内時計
12回 時空間脳内アルゴリズムの病態生理と生理活性物質
13回 半側空間失認と体外離脱現象
14回 神経栄養学からの新治療戦略
15回 複雑ネットワーク・カオス・食と脳クオリア
定期試験
<教科書・参考書>
特にないが、その都度関連資料を配布する。
<評価方法>
講義内でのテーマ学習に関しての質疑応答と定期試験で判定する。
<履修上の注意>
あらかじめ次回講義内容については講義内で予告するので、それに関連するキーワードを学習しておくことが望ましい。
神経生理学特論
鯨井 隆
<授業内容・ねらい>
〔この授業のねらい〕
現代の尐子高齢化や生活習慣病・脳血管障害・精神疾患などの为たる疾患に向けて、脳・神経系の機能を中心にその病態
と治療方策の理解を深めるのが狙いである。また各傷病者の食事摂取障害や機能障害を具体的にあげて、どのような対
策・工夫ができるかを思索出来る事が到達目標となる。
〔授業の概要〕
精神・神経系の病態や疾患は臨床現場ではかなり多くを占めてはいるが、それに即した予防や治療等は行き届いていない
現状が指摘されている。ここでは具体的な問題を例にあげながら病態と栄養素に視点を当てて、各種疾患などを通して幅
広く概観し、またどのような治療方策が見出せ得るのかを考え学習する。
<授業計画>
臨床で問題となる神経機能調節の病態に関した解剖生理学を具体的に学習する。
1.オリエンテーション(食物栄養摂取と神経機能調節)
中枢神経系の機能維持には食する内容の含有物質の量と相関するものが多く知られている。ここでは導入
部としてのそうした物質と食事内容を関係を総説する
2.嗅覚・味覚・視覚機能とその病態
これらの感覚入力の機能維持に必要な物質と不足・過剰に伴う機能異常を生化学・生理学病態として詳述
3.咀嚼と嚥下の機能調節とその病態
咀嚼・嚥下に関わる脳幹神経調節と大脳下行性のSubstance-Pなどの物質的調節に関して詳述
4.消化・吸収に関わる神経機能調節とその病態
脳相・胃相・腸相に関わる神経調節と消化管ホルモンにつき詳述する
5.排便・排尿に関わる神経機能調節とその病態
括約筋機能調節に関わる内臓知覚・運動調節機能を概説し、これらの異常を呈する各種疾患の病態生理を
詳述する
6.栄養障害が原因となる神経疾患(認知障害関連疾患)
高齢者に多いアルツハイマー類縁疾患の中に栄養代謝障害に伴うものがあり臨床上重要である。ここで
は、治療可能な疾患群としてその病態生理を詳述する
7.栄養障害が原因となる神経疾患(精神機能障害関連疾患)
うつ・耽溺・注意障害等の精神障害を呈する栄養障害の病態生理を詳述
- 108 -
8.脳血管障害による咀嚼・嚥下機能障害のNSTとしての関わり方
大脳・脳幹系の咀嚼・嚥下調節機能を半球間・ドーパミン・substance-Pなどの生理活性物質からNSTの評
価・取り組み方を概説する
9.脳血管障害による代表的な神経・精神機能障害のNSTとしての関わり方
合併する知覚・運動障害やうつ状態などの諸症状に対してのNSTとしての取り組み方を概説する。
10.脳血管障害による高次脳機能障害のNSTとしての関わり方
記憶障害・病態失認・左視空間無視などの病態の理解と栄養摂取の取り組み方・対策を概説する
11.ストレスと神経・精神機能障害
ストレスからの鬱・食欲低下・腹部症状の捉え方と病態生理・対策にいて詳述
12.糖尿病・生活習慣病などの神経合併症と考え方
3大合併症・睡眠時無呼吸・ED・反応性低血圧・消化管異常などの病態生理と対策について詳述する
13.その他の代謝性疾患と神経合併症と考え方
肝疾患・粋疾患・甲状腺疾患・高脂血症・各種酵素異常(PKUなど)に伴う代表的な神経合併症の病態生理
の詳述
14.神経難病と栄養
長期罹病の神経難病の多くは栄養学的な問題を孕み、現場での栄養代謝評価・対応について概説し、栄養
法・栄養学的な視点での対策法を詳述
15.自己免疫疾患としての神経疾患
多くの自己免疫疾患は神経学的異常を伴うが、その病態生理の概説と代表疾患の病態・対策を詳述する
<教科書・参考書>
教科書)「神経解剖学集中講義」 寺本明・山本俊一監訳
参考書)神経科学 脳の探究
(ベアー
コノーズ
医学書院
パラディーソ)
西村出版
またプリント配布。必要に応じ参考文献を提示する。
<評価方法>
課題レポート(50点満点)及び筆記試験(50点満点)で総合得点をもって評価する。
<履修上の注意>
常に、簡易計算器、英語辞書、色鉛筆、鏡を持参する事が望ましい。
病態臨床栄養学特論
石川 祐一、鈴木 宏昌
NSTにおける管理栄養士の役割
<授業内容・ねらい>
管理栄養士は、病院などの医療現場において傷病者の栄養管理を任される立場にあり、チーム医療の一員として、求めら
れる知識や技術は高いものとなりつつある。この講義では傷病者の栄養アセスメントからはじまる栄養ケア・マネジメン
トについて、具体例を取り入れながら、医療現場における管理栄養士の役割を習得させる。
内容としては栄養ケア・マネジメントのサイクル(栄養ケア計画、実施、評価など)を実践的に身につけさせ、必要に応
じて、チーム医療を構成する医学や薬学、看護学などの他の領域についても触れ、その専門家との連携についても理解さ
せる。さらに病院における病態別食事療法も理解させる。
医療現場ではチーム医療の一員としてより高度な知識と思考が必要とされる。この授業では、それに対応できるよう能力
の高度化をねらう。
<授業計画>
(鈴木宏昌)
第 1回 NSTの意義
第 2回 栄養ケア・マネジメントの構築(1)
第 3回 栄養ケア・マネジメントの構築(2)
第 4回 チーム医療、管理栄養士と他職種との連携
第 5回 臨床検査法
第 5回 栄養補給法(経静脈栄養)
第 6回 栄養補給法(経腸栄養)
(石川 祐一)
第 7回 病院食の意義と種類
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第 8回 病態別食事療法 (1) 循環器疾患患者の食事療法
第 9回
〃
(2) 消化器疾患患者の食事療法
第10回
〃
(3) 腎疾患患者の食事療法
第11回
〃
(4) 骨疾患患者の食事療法
第12回
〃
(5) 術前・術後患者の食事療法
第13回
〃
(6) 在宅療養患者の食事療法
第14回
〃
(7) ターミナルケア患者の食事療法
第15回 総 括
<教科書・参考書>
NST完全ガイド・改訂版 『経腸栄養・静脈栄養の基礎と実践』 編集 東口高志 (株)照林社
病態栄養専門医テキスト『認定専門医をめざすために』 編集 日本病態栄養学会 (株)单江堂
そのほか必要に応じて、国際学術論文の精読や参考図書を用いる。
<評価方法>
レポートおよび出席状況、授業態度で評価します。
<履修上の注意>
なし
保健統計学特論
桐井 恭子
栄養科学における統計学
<授業内容・ねらい>
〔目的〕栄養及び食と健康・疾病との関係を科学的に解明するために、統計の知識と技法を習得することは大変重要であ
る。本授業により、栄養科学研究に不可欠な統計学の基礎知識を身に付け、研究・調査の結果を読み解き、自らも食事、
栄養、健康に関するデータを分析できる力を養う。
〔方法〕1.資料等を基に、我が国の栄養統計調査の実際を学ぶ。2.講義および討議により統計学の知識を身に付ける。3.
実際に統計ソフトを用いてデータを解析し、研究に必要な統計手法を実践的に習得する。
<授業計画>
1.栄養科学と統計学
2.わが国の栄養に関する統計調査(1)
3.わが国の栄養に関する統計調査(2)
4.データの種類
5.度数分布図と代表値
6.データの散布度
7.正規分布
8.検定の考え方
9.標本集団と母集団
10.2標本の平均値の比較
11.クロス集計とχ2検定
12.相関と回帰
13.検定の実際(1)
14.検定の実際(2)
15.総括
<教科書・参考書>
授業時に適宜指示します。
<評価方法>
レポート、クラスへの参加度等で評価します。
<履修上の注意>
なし
- 110 -
食教育特論
川上 美智子、桐井 恭子
食の指導法を学ぶ
<授業内容・ねらい>
〔目的〕
食習慣の変容が著しい現代社会にあって、朝食の欠食、偏食、個食、中食や外食の増加など食習慣の乱れや高血圧、肥
満の増加、栄養の偏りなど多くの課題を抱え、日本人の食環境は深刻化している。特に、心身の発達時期にある幼児、児
童、生徒など子どもたちにとっては、小さい頃から正しい食習慣を身につけることが大切である。子どもたちが自ら正し
い食のあり方を学び、健康な身体を作り上げて行くため、学校生活のさまざまな場面で、食の指導が総合的に行えるよう
に高度な指導方法を習得する。
〔方法〕
児童生徒の発達に合わせて的確に知識・技術を付与し、望ましい食習慣、食の自己管理能力を高めるための具体的な指
導内容、指導方法、評価法を児童生徒の各種教科書や教材をもとに検討する。
「楽しく食を学ばせる」媒体のあり方や小
中校で作成されている食に関する指導の全体計画の実践例についても考察し、食を指導する力を養う。
<授業計画>
(川上美智子)
1. 現代の食が抱える課題について討論(生活習慣病の背景)
2. 日本の食生活と食事文化の歴史
3. 食の変遷を扱った論文紹介
4. 児童及び生徒の栄養に係る諸問題
5. 最新の調査研究紹介と、実態把握・分析
6. 食育に関わる日本の法令諸制度
7. 栄養の指導及び管理の意義と基本的な考え方
8. 地場産品の活用の方策
(桐井恭子)
9. 食に関する指導に係る全体的な計画の作成
10.食に関する指導案づくり
11.指導案の発表・相互評価
12.効果的な媒体作成1
13.効果的な媒体作成2
14.模擬授業
15.各授業科のポイントと総まとめ
<教科書・参考書>
文科省「学校給食の手引き」(慶応通信)、「新しい学習指導要領」、プリント配布。必要に応じ参考文献を提示する。
<評価方法>
発表(40%)、レポート(60%)を総合して評価する。
<履修上の注意>
栄養教諭専修免許必修。
教育方法学特論
池内 耕作
教育方法モデルの比較検討
<授業内容・ねらい>
【目的】
古今東西で考案され実践されてきた数々の教育方法モデルのうち、この授業で取り上げる代表的なものについて、その理
念の骨子を含めて説明することができる。
【方法】
前半は日本の教育の動きを教育方法の観点から鳥瞰していきます。これを踏まえて後半では、現代趨勢を極めつつある著
名な教育方法論のうちのいくつかを取り上げて詳説します。終盤では教育方法の原点として扱うべき問題についてソクラ
テスとプラトンの思想に立ち戻って再考します。
<授業計画>
【第01回】学びの入口:教養か? 実学か?
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【第02回】日本のこども-「生きる力」の実情
【第03回】日本の教育改革①-新右派の台頭
【第04回】日本の教育改革②-旧・教育基本法
【第05回】日本の教育改革③-現・教育基本法
【第06回】日本の教育改革④-指導要領変遷
【第07回】日本の教育改革⑤-現・指導要領
【第08回】シュタイナーとヴァルドルフ教育 ①理論編
【第09回】シュタイナーとヴァルドルフ教育 ②実践編
【第10回】モンテッソーリ・メソッド
【第11回】陰山英男と土堂小メソッド ①理論編
【第12回】陰山英男と土堂小メソッド ②実践編
【第13回】楽器作りと合奏の教育 ①理論編
【第14回】楽器作りと合奏の教育 ②実践編
【第15回】人間は万物の尺度か? - ソクラテスに立ち戻る
<教科書・参考書>
授業で使用する資料はすべて配付します。
自習することが望ましい文献等については適宜紹介します。
<評価方法>
出席状況と期末レポートの2点により評価します。
<履修上の注意>
なし
教育方法学演習
池内 耕作
教育方法にかかわる調査発表と討論
<授業内容・ねらい>
【目的】
自身が最も強く関心を抱いている現代の教育諸問題について、その実態と要因を見極め、解決に資する教育方法を発見・
考案し、根拠となる資料を用いて発表することができる。
【方法】
受講者全員が同数回発表することを原則とし、オリエンテーション時に各受講者の発表日を決定します。発表資料の作成
については適宜指導します。毎回の授業では、発表者の資料に基づいて全員で討論を行ないます。
<授業計画>
【第01回】オリエンテーション:この授業の目的と概要
【第02回】発表示範(池内)と討論
【第03回~14回】発表と討論
【第15回】総評
<教科書・参考書>
なし
(推奨文献については適宜紹介します)
<評価方法>
発表資料の内容、質疑応答の能力、期末レポート、討論における貢献度、出欠状況、等により総合的に判断します。
<履修上の注意>
なし
臨床心理学特論
望月 珠美
臨床心理学の理論と活用
<授業内容・ねらい>
【目的】
臨床心理学の理論と実際についての学びを通して、教育や福祉臨床の場においてカウンセリングマインドを活かしたアプ
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ローチや支援を行うことができるようになることをめざす。
【方法】
ロールプレイ、事例検討を为とした展開を通して実践的な観点から授業目的の達成をめざす。
<授業計画>
第1回
オリエンテーション
第2回
ヒューマンケアの現場と臨床心理学
第3回
心理査定のさまざまとその実際
第4回
臨床的介入の実際(事例1:虐待)
第5回
臨床的介入の実際(事例2:不登校)
第6回
臨床的介入の実際(事例3:いじめ)
第7回
介入活動の実際(事例1:家族療法)
第8回
介入活動の実際(事例2:集団へのアプローチ)
第9回
介入活動の実際(事例3:コミュニティーへのアプローチ)
第10回 具体的アプローチの実際1(具体的例:認知行動療法)
第11回 具体的アプローチの実際(具体的例:表現療法)
第12回 具体的アプローチの実際(支援者の基本的態度について)
第13回 心理臨床における倫理
第14回 関連専門機関、専門職との連携と協働
第15回 まとめ
試験もしくは期末レポート
*事例および具体的例については受講者の希望を加味しながら適宜、内容変更する可能性がある。
<教科書・参考書>
特に定めない。
毎回、レジュメを配布する他、内容に応じて適宜、紹介する。
<評価方法>
次の3点による総合的評価を行います。特に1)を重視します。
1)プレゼンテーションや質疑応答に対する積極的な参加態度
2)各テーマに関するレポート(期間中、3回程度)
3)期末試験もしくは期末レポート
<履修上の注意>
特になし。
障害者支援特論
望月 珠美
豊かな生活の支援にむけて
<授業内容・ねらい>
【目的】
さまざまな障害の特性とともにその行動様式に対する適切な理解に基づいて、個別性を尊重した生活、発達支援を展開す
ることができるようになることをめざす。
【方法】
支援の実際を事例研究や映像等を題材にして学ぶとともに、実際に支援計画を立案する作業を通して、利用者のニーズ充
足のために果たす各専門職の役割とともに連携の実際について学ぶ。
<授業計画>
第1回 オリエンテーション
第2回 障害とは何か
第3回 障害臨床における理解の枠組み
第4回 生活と障害
第5回 発達と障害
第6回 社会と障害
第7回 「生活」をめぐる現状と課題1
第8回 「生活」をめぐる現状と課題2
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第9回 ディスカッション
第10回 特性論(身体障害1)
第11回 特性論(身体障害2)
第12回 特性論(知的障害)
第13回 特性論(精神障害)
第14回 特性論(高齢、重複、その他の障害)
第15回 まとめ
定期試験
<教科書・参考書>
必要に応じて適宜、紹介する。
<評価方法>
次の3点による総合的評価を行います。特に1)を重視します。
1)プレゼンテーションや質疑応答に対する積極的な参加態度
2)各テーマに関するレポート(期間中、3回程度)
3)期末試験もしくは期末レポート
<履修上の注意>
特になし。
障害児教育研究
平田 正吾
障害児の神経心理学
<授業内容・ねらい>
特別支援教育の対象となる様々な発達障害の成因や心理特性について、特に神経心理学的観点から概観していきます。
【目的】様々な発達障害の特徴について、神経心理学的観点から理解する。
【方法】特別支援教育の対象となる発達障害は、多くの場合その原因として中枢神経系の機能不全が想定されている。こ
うした発達障害児の心理特性について理解するため、本講義では中枢神経系や神経心理学の基礎的事柄についての講義と
共に、発達障害の心理特性に対する神経心理学的理解についての講義と討論を行う。
<授業計画>
1 はじめに
2 特別支援教育と発達障害
3 中枢神経系の基礎的事柄(1)神経系の概観
4 中枢神経系の基礎的事柄(2)脳の概観
5 神経心理学の基礎的事柄(1)脳の機能局在
6 神経心理学の基礎的事柄(2)症状理解について
7 知的障害について(1)その定義と種類
8 知的障害について(2)その心理特性
9 知的障害について(3)関連する障害
10 自閉症スペクトラム障害(1)その定義と種類
11 自閉症スペクトラム障害(2)その心理特性
12 注意欠陥多動性障害(1)その定義と種類
13 注意欠陥多動性障害(2)その心理特性
14 障害と生命倫理
15 障害児の神経心理学理解についてのまとめ
<教科書・参考書>
教科書:特になし。講義内で資料を適宜、配布する。
参考書:講義内で適宜、紹介する。
<評価方法>
各回のコメントペーパー及び期末レポートの成績から総合的に評価する。
<履修上の注意>
事前準備学習 心理学に関する入門書を一読しておくことが望ましい。
履修条件等 教育心理学領域の講義を履修済みか履修中であることが望ましい。
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