認知症のある患者の足病変を機に家族介入した症例

家族と介護ヘルパーの介入により
軽快した足病変の一例
増子クリニック昴
○古堅勝晃
町田みゆき 高橋かおり
目的
セルフケアのできない患者で,感染を合併した
下肢潰瘍が,家族と介護ヘルパーの協力によ
り軽快が得られた症例を報告する
80代女性 透析歴8年 独居 中度の認知症
要介護度2
足背動脈触知(-)
両下肢しびれ(+)
冷感チアノーゼ(+) 間欠性跛行で杖使用
検査データ
SPP(右49 左31)
ABI(右0.76 左0.62)
血管外科通院中(月1回)
キーパーソンの長男家族が患者宅の隣に在住
3月 右第5足趾 転倒による
擦過傷あり
2日後 感染あり
右下肢全体 腫脹 疼痛 発赤 熱感あり
抗生剤治療と軟膏処置
4月 入院 デブリードメント施行
右大腿動脈血栓内膜摘出術施行
退院後、( 4~5月)
透析日は 足浴と軟膏の処置
非透析日は 創処置なし
5月 右5足趾創からの再感染
腫脹 右>左
家族の協力を得るため、長男に連絡をとる
家族に足の切断の危険性があることを医師から説明
家族と連絡ノートで情報交換
介護サービスの訪問入浴介助を利用
6 月 創縮小
7月 右5足趾創 痂皮形成
10月 右第5足趾 治癒
考察・まとめ
・医師の病状説明で、自宅での処置の重要性を
伝え、家族が協力・参加する気持ちの受容になった
・介護サービスの利用により、家族の負担が軽減し
それまで得られなかった協力も得ることができた
・連絡ノートの継続した情報交換が、介護する家族
の思いを表出する事ができ、相談や援助の提案の
機会を得ることができた
結論
1.重症虚血肢では,簡単な創部も感染しやすく容
易に悪化するため,早期からの関与が重要で
ある.
2.創傷処理の原則は,連日の処置にあり,居宅
での治療は欠かせない.
3.セルフケアの不能な患者では,居宅での治療
は家族の介助が必須で,十分な説明の上,継
続してもらう必要がある.
4.保清や治療に際し,介護サービスの協力も家
族の負担の軽減につながる.