[16]動脈硬化検査について

けんさの豆知識
[16]動脈硬化検査について
2003 年 2 月発行
2010 年 12 月改訂
今回は動脈硬化の検査(ABI,PWV)について紹介します。
最近、食生活の欧米化や高齢化の進行に伴い動脈硬化の患者様が増えています。動脈
硬化は加齢によっても進展しますが、高血圧、高脂血症、糖尿病などの基礎疾患や、喫
煙、運動不足、肥満、ストレス等の生活習慣も危険因子になります。動脈硬化は症状が
現れにくく、放っておくと狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などに発展する可能性がある為、
早期発見が大切です。その為の検査として、ABI(足関節上腕血圧比)と、
PWV(脈波伝播速度)の検査が行われています。
ABI(足関節上腕血圧比)
動脈の狭窄や閉塞を推測します
⇒足首と上腕の血圧の比です。
寝た状態で両腕、両足首の血圧を測定すると、健常人では足首の方がやや高い値になり
ます。ところが、大動脈に狭窄部や閉塞部があるとその部分の血圧は低下します。この
ような狭窄や閉塞は下肢の大動脈に発生しやすいので、下肢の血圧と上肢の血圧との比
をとれば、狭窄や閉塞の程度を表すことができます。
ABI=足首最高血圧÷上腕最高血圧
*ABI < 0.9 だと狭窄または閉塞が疑われます
PWV(脈波伝達速度)
動脈の硬さをあらわします
⇒心臓の拍動が動脈を通じて、手や足に届くまでの速度です。
動脈の壁が硬くなったり厚くなったりしていると動脈壁の弾性度が低下し、拍動(脈波)
が伝わる速度が速くなります。そこで動脈の4ヶ所にセンサをとりつけ、センサ間の距
離と拍動の到達所要時間を計測し、距離を時間で割れば脈波伝播速度が得られます。
PWV=両センサ間の距離÷拍動の到達所要時間
*PWV > 13.5 m/s だと動脈硬化が疑われます
検
査 の 手 順
上腕と足首が出るようにし
てベッドに横になり、血圧
計のカフ、心電図の電極、
心音マイクを装着します。
ABIとPWVを同時に測
定し、検査は 5 分くらいで
終了します。痛みはありま
せん。