自宅売却の「手取り」を多くする方法

*2015年3月現在、都内を中心に7金融機関・20店に本ニュースレターをお届けしています。
今月のテーマ:自宅売却の「手取り」を多くする方法
こんにちは、税理士の澤野です。
今回は、被相続人の自宅不動産を相続した
相続人が、その不動産を売却したいとのこと
でご相談を受けた事例をご紹介いたします。
お父様のご相続が発生したX様(長男)。
ご相続人は、X様とお母様(お父様と同居)
の2名。お父様の財産は自宅不動産と金融資
産で、相続税の試算したところ相続税の基礎
控除額(4,200万円)以下であったため申告
不要となりました。
遺産分割の方針をお聞きしたところ、お母
様にはご実家から相続した財産があったため、
お父様の財産をお母様が全て相続すると二次
相続の相続税が心配…ということで、お父様
の財産はお母様と長男で1/2ずつ相続するこ
とを考えていらっしゃいました。また、お母
様は相続を機に自宅不動産を売却して老人
ホームに入居したいというご希望をお持ちで
した。
当初、自宅不動産はお母様と長男で1/2ず
つ相続し、2名の共有不動産として売却した
いという意向でしたが、個人が不動産を売却
し所得(利益)が生じた場合には、所得税・
住民税が課税されます。不動産を売却した場
合の所得は、「売却収入」から「取得費(そ
の不動産を購入した際に支払った金額…建物
は減価償却後)」を差引き、そこから仲介手
数料などの「譲渡費用」を差引いて計算しま
す。
自宅不動産の取得費を確認したところ、お
父様がご実家から相続した不動産ということ
で、購入した金額や取得時期は不明とのこと
でした。取得費が不明の場合は、売却収入×
5%が取得費となります。
Mar.2015.No.
3
自宅不動産の時価は約 3,000 万円で、仲介
手数料を 3 %と仮定すると今回のケースでは
3,000 万 円 − 150 万 円 ( 取 得 費 … 3,000 万 円
×5%)−90万円(仲介手数料)=2,760の所
得が生じ、所得税・住民税が最大で約 550 万
円(所得の約20%…長期譲渡所得の場合)が
かかってしまいます。
そこで当事務所では、自宅不動産をお父様
と同居していたお母様が単独で相続し、お母
様が売却することをご提案しました。自分が
住んでいる不動産を売却した場合には、いわ
ゆる「 3,000 万円控除」という所得税法上の
特例の適用が可能で、自宅不動産の売却によ
る所得から最大 3,000 万円まで控除すること
ができます。
今回のケースでは、自宅不動産の売却によ
り 2,760 万円の所得が生じますが、この自宅
不動産に居住していたお母様が単独相続し、
売却することで、「 3,000 万円控除」の特例
が所得の全額に対し適用され、自宅不動産の
売却による所得が 0 円となり、所得税・住民
税が課税されないことになります。
当初の意向通りにお母様と長男が1/2ずつ相
続して売却した場合は、この自宅不動産に居
住 し て い な か っ た 長 男 に は 「 3,000 万 円 控
除」の適用がないため、自宅不動産の売却に
よる所得の半分( 1,380 万円)に対して所得
税・住民税(約 280 万円)が課税されるとこ
ろでした。
ご相談者には、自宅不動産をお母様が、金
融資産を長男が相続することをご提案させて
頂くことで、自宅不動産の売却による所得
税・住民税の支払いを回避することができま
した。
◆編集後記◆
所得税の確定申告も無事に終わり「ほっと」してい
ます。確定申告が終わると楽しい春が待っています。
生後半年になる娘のためにベビーカーを購入しました。
妻がネットや店先で比較しながら悩みに悩んでやっと
購入。娘も冬の間は室内で過ごしがちでしたが、近所
の桜を見に行ったりして春を満喫しようと思います。
1976年生まれ A型
趣味:ジョギング
週末の晩ごはん作り