中学校数学科教諭 (4) ●はじめに 生徒は,「ことがらの起こりやすさ」をさ 3 最後に正解を示す。(箱の中から 1 個ず つ玉を取り出し,箱へは戻さない) まざまな経験を通して知っている。本教材は, そのことを数学的な考え方による「確率」へ と導くためのものであり,多くの生徒が楽し みながら参加できる導入教材である。 ●箱の中の赤玉を予想しよう… 準備 ・赤玉,白玉合わせて 10 個(それぞれの 個数は任意でよい。同じ大きさで同じ手 触りのもの。オレンジと白の卓球のボー ルでもよい) ・取り出し口のついた 中が見えない箱 ・あらかじめ,10 個の 玉を箱に入れておく 1 初めに「赤玉と白玉 が合計で 10 個入っている」という情報の みで,10 個のうち赤玉が何個かを予想さ せ,個数別に挙手させる。 4 合計 40 ∼ 50 回の操作のうち,赤玉の出 た割合を求め,操作の回数を増やすとこの 割合がどうなるかを予想させる。 ●楽しめる工夫 「予想を競わせる」 正解が示された後に,各自の予想のうち実 際の個数と一致した回数を競わせる。 「赤玉の個数」 赤玉の個数と白玉の個数に差(2 個と 8 個 程度)をつけた方が盛り上がるが,この実験 を繰り返すのであれば目隠しした生徒に 10 2 次に,生徒の一人に,箱から 1 つずつ玉 個を選ばせ,誰も正解を知らない中で予想を を出させて色を調べる。1 つずつ色を記録 させるのも楽しい。 し,そのつど箱に戻す操作を 10 回行わせ ●生徒の反応と予想される効果 る。10 回の操作中何回赤玉が出たかを記 最初はばらばらだった予想が,2 の操作を 録し(下図☆),その結果から改めて箱の 繰り返すたびに生徒の予想が実際の赤玉の個 中の赤玉の個数を予想させ,個数別に挙手 数に近づいていくのが,たいへん興味深い。 させる。(10 回の操作を 4 ∼ 5 回繰り返す) 確率を学んでいなくても,経験により「こと がらの起こりやすさ」をある程度理解してい ることを表している。 この導入教材により,後に学ぶ「確率」の 意味や定義がより理解しやすいものになると 思われる。
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