『 軸索を壊す分子メカニズム 』

再生増殖制御学セミナー
『 軸索を壊す分子メカニズム 』 講師:若月 修二 先生
国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 疾病研究第5部 室長 日時:平成 27 年 7 月 24 日( 金 )15:00〜16:00
場所:再生医科学研究所 東館5階 ルーフテラス
< abstract > 軸索変性(軸索が壊れること)は複数の神経変性疾患に共通する所見であるとともに,
疾患の症状形成の重要な原因となることも知られており,変性を制御する分子メカニズム
を理解することは,疾患の抑制や治療法の開発への基礎的な知見の取得に繋がる可能性が
ある.我々のグループではこれまでに軸索変性を制御する分子メカニズムについて調べ,
タンパク質キナーゼ AKT がユビキチンリガーゼ ZNRF1 のはたらきによってプロテアソーム
依存的に分解されて軸索から消失し,AKT による活性抑制を解かれた GSK3B が活性化する
ことが変性を促進すること,などを明らかにしてきた(Nature Cell Biology, 2011).興
味深いことに,ZNRF1–AKT–GSK3B シグナルをどのステップで抑制しても変性を阻止するこ
とができ,このシグナル伝達系が軸索変性を制御する主要な分子メカニズムのひとつであ
ることが強く示唆された.本セミナーでは,我々のグループの最新の知見に基づいて,軸
索変性における ZNRF1–AKT–GSK3B シグナルの生理的意義について詳述する. 主 催:京都大学再生医科学研究所
連絡先:再生増殖制御学分野(瀬原) Tel:751-3826