ニューラルネットワークを用いた肝臓領域の自動抽出 M03C931 遠藤忍 1.2 1.はじめに 0.8 ①肝臓内部 0.4 近年,CT などの画像装置の進歩によって volume 0 -20 rendering 法を使用した三次元医用画像が比較的容 0 20 40 60 80 100 120 1 .2 易に得られるようになった.その中で,肝臓の 3 次 0 .8 元画像からは視覚的な形態情報が得られるようにな ②肝臓周辺 0 .4 0 り,肝疾患の診断で活用されている.しかし,画像 -20 から肝臓領域を抽出する手法としては肝臓辺縁をマ 0 20 40 60 80 100 120 1 .2 ニュアルトレースする手法が通常用いられており, 0 .8 ③その他の領域 0 .4 時間的・精神的な負担を操作者(医師や診療放射線 0 -20 技師)に与えていた.そのため,肝臓領域の半自動 ネットワーク(以後、NN)を用いて腹部 CT 画像か 20 40 60 80 100 120 Fig.2 ヒストグラム 抽出や自動抽出法の開発が強く望まれている.そこ で,本研究では,神経回路網を模倣したニューラル 0 学習終了後,腹部 CT 画像の各画素を中心とした すべての ROI を未知データとして入力し,認識を行 った.最後に,後処理としてラベリング,膨張・収 らの肝臓領域の自動抽出を試みる. 縮処理を実行し,抽出不足および過抽出の領域を補 2.方法 Fig,1 に NN を用いた学習および認識のフローチ ャートを示す.学習データには,肝臓,肝臓辺縁, その他の領域の ROI(関心領域)から得たヒストグ ラムを用いた.これらの部位のおおまかなヒストグ ラム傾向は Fig.2 のように示される.教師信号の大 きさは,肝臓領域を 1.0,肝臓辺縁領域を 0.6,その 他の領域を 0 として学習させた.これはつまり,学 習後の NN に未知画像として肝臓領域の ROI 画像が 入力されれば,その出力値が 1.0 に近い数値となる ように最適化(学習)したことを意味する(同様に 肝臓辺縁の場合は 0.6,その他の領域では 0 に近づく). 正した. 3.結果と考察 Fig.3 に本手法による肝臓領域抽出例を示す.この 結果から本手法によって肝臓領域が概ね良好に抽出 できることがうかがえる.NN による自動抽出法の 利点は,学習を精度良く行うことで汎用的かつ高速 な自動手法になる可能性を秘めている点である.そ のため今後は,学習データの選別およびその量の増 強,また NN の構造などをさらに検討し,より汎用 的で精度の良い自動抽出法に改良していきたい. 4.まとめ 腹部 CT 画像における NN による肝臓領域自動抽 学習 認識 学習データ: 腹部 CT 画像(ROI) 加重修正 (50) ¾ 肝臓 ¾ 肝臓辺縁 (110) ¾ その他 (50) 出法を検討し,初期の結果として概ね良好な抽出結 未知データ: 腹部 CT 画像(ROI) のヒストグラム 果を得た.また,NN を用いた汎用的かつ高速な肝 臓領域自動抽出法への可能性を示唆した. 入力 のヒストグラム 学習後のNN 入力 NN 戻る 出力値と比較 教師信号 Fig. 1 肝臓粗領域の後処理 ラベリング 膨張処理 収縮処理 NN による学習および認識のフローチャート (a) (b) (c) Fig.3 結果例.(a) 腹部 CT 画像の原画像例.(b) 本手法に より(a)から抽出した肝臓領域.(c) 抽出結果のボリュームレ ンダリング画像
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