増える「回復期」施設 さらに切磋琢磨を

国
必要推計値は「急性期」病床が1.8万床、
「回復期」
が推進する「地域医療構想」は、病床機能報
告と疾病構造、人口動態を組み合わせて病床の需
病床が1.6万床となっています。6年後には兵庫県
要予測を算出し、今後の必要病床数を策定してい
内の「急性期」病床1万床と「慢性期」病床 0.4万
くものです。需要予測がはっきり出れば、それに
床が“過剰”になり、片や
「回復期」の病床は1.2万
沿って自院の道を考えなければなりません。
床“足りなくなる”という予測です。
まず、全国の傾向です。今年 7 月の厚労省「地
これは、全国で向こう6 年ほどの間に「急性期」
域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」
「慢性期」の両病床から、一定数が「回復期」へと
で、医療機関からの自己申告に基づく平成26年度
移動する可能性を示唆しています。ただし、この
報告
( 同年7月1日時点で回答)の資料が公開され
予測には、① 平成26年の病院調査時点では
「地域
包括ケア病床」
はま
ました。それによ
れば、機能区分別
の許可病床数内訳
で「回復期」の病
床数は11.0万床、
6年後の平成32年
時点での病床機能
だなかった、②「回
巻頭言
復期」の定義が十
「回復期」施設
増える
さらに切磋琢磨を
分周知されていな
かった、③ 病床数
が病院単位でしか
把握できていない
区分予定で「回復
―― などの問題点
期」病床は14.2万
も含まれています。
床と、30%弱増え
これらの点は、27
ています。
年度調査以降、改
善され、精度が上
注意を要するの
がると思われます。
は、6年後の
「回復
太田 利夫
期」の予定病床数
が、11.0 万床から
来年 2 月の続報が
当協会理事
( 西宮協立リハビリテーション病院 院長、医師)
より重要です。
10.6 万床に 3.6%
2025年が10年後
減少している点で
に迫り、
のんびりも
す。つまり、
「急性期」や「慢性期」から「回復期」
しておれません。
「地域に回復期の競合施設が少な
に変更したいと考えている病床が
「急性期」に2.2
い」
「入院料で最高の基準を取得している」など、
万床、
「慢性期」に1.4万床あり、今後こうした移
現状にあぐらをかいていては簡単に足元をすくわ
行の流れが広がっていくと思われます。
れるでしょう。生き残るためには切磋琢磨しない
次に、地域での病床需要の予測です。平成27年
といけません。構造・過程・成果の各指標による
8 月の兵庫県医療審議会資料によれば、平成26年
評価は、あくまでサービス提供者側の目線です。
度の許可病床総数5.4万床のうち、
「急性期」病床
「患者さん本位」の目線で常に質の向上をめざし、
2.8万床に比して「回復期」病床はわずか0.4万床
本当の回復期リハビリテーション病棟であり続け
しかありません。人口動態等を加味した同32年の
ることを目標に頑張っていきましょう。
回復期リハビリテーション◆ 2015.10
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