「20万床削減」で病院界が募らす「猫の目行政」への不信、を読んで。 博愛記念病院:理事長 武久 洋三 先生 少子高齢化で将来的に大幅な人口減少が見込まれる中で、病床は減 らすのが当然である。我が国の病床は今でも住宅政策に使われていて、 まだ十分に病床の整理が終わっていない。まだまだ日本の医療は整理 整頓、効率化すべきところが多いのである。現在、病床機能報告制度 によって。「高度急性期」、「急性期」「回復期」「慢性期」の4つ に分類されているが、将来的には「急性期」「地域包括期」「慢性期」 の3つに機能分化されるべきではないかと思われる。しかし、無理矢 理病床を減らさなくても、自然なままで約30万床は減らせるのではないか。平成26年12月の一 般病床の入院率は約60%である。そうすると約100万床の内、40万床は空床状態である。 また、平成27年3月4日の中医協総会の資料におい て示された「受け入れ条件が整えば退院可能な患者」 は、11.5万床である。さらに公的病院における休眠病 床がある。これらの病床のうち30万床は10年も待た ずして減少するのではないかと思われる。 問題は、削減された病床に入院している患者の受け 入れ先である。新たに20万床分の居場所を10年以内 に新設するとなると、莫大な資金と期間がかかることになる。そこで、私は病院内で空床となっ た病棟を新しい形の病院内施設としてSNW(Skilled Nursing Ward)の設置を提案している。 詳細は、日本慢性期医療協会BLOGにて、7/16記者会見でSNWの提案について述べたことが 掲載されているのでご覧いただきたい。いずれにせよ、院内の空いたスペースをそのまま放って おく必要はない。時は待ってはくれない。もう地方ではすでに2025年に到達しているのだ。医 療の改革なくしては日本の改革は進まない。病院は生き残りをかけた戦いがもうすでに始まって いるのである。 しかし、普通に依頼された患者を特に断ることもなく、入院してもらって、できるだけ早く適 切に治療して回復させて在宅復帰してもらうようにさえしていれば、何も怖くない。 軽い患者を選んで、入院させて、ろくな治療もせず、適当に医療区分を探して長期に入院させる ような慢性期病院や、一般慢性期病院の運命はあと何年もつことであろうか。さらに自院の急性 期患者が20-30%しかいないのに、自らを急性期と信じてやまず、さらに急性期化にしゃかりき になっている中小民間病院の末路は正に見えるようである。
© Copyright 2024 ExpyDoc