校長通信 No.4 (H27、 6.5) 自分を変える時(Time to Improve

新潟県立新潟翠江高等学校
校長通信 No.4 (H27、 6.5)
萩野
俊哉(はぎの・しゅんや)
自分を
自分を変える時(Time to Improve Yourself)
Yourself)
誰にだって、生きていく中で、自分の人生の方向を大きく変える転機があります。君た
ちの親やまわりの親しい大人に尋ねてみるとよいでしょう。ただ流れにのって、なんとな
く今まで生きてきたという人はまずいないと思います。
転機は、普通に考えれば、入学や就職、結婚などといった大きな出来事のことを指しま
すが、それと同時に、小さな契機でもあることも意外と多いのです。たとえば、日本を代
表するノンフィクション・ライターとして有名な落合信彦氏にアメリカへ向かう決意をさ
せたのは、彼の兄が、母子家庭という理由だけで理不尽にも就職試験に不合格となるよう
な日本社会への強い憤りでした。あるいは、また、世界に冠たる大指揮者である小沢征爾
の人生を180度変えたのは、ある夜聞いたピアノコンチェルト「皇帝」のライブ演奏で
した。
失敗に打ちのめされて、
「オレは(私は)なんでこんなにダメなんだ」と地団駄を踏んで
悔しがり、一念発起した結果、自分を改造する人もいます。人から大きな仕事を任されて、
粘り強く責任を遂行しながら自己変革を果たす人もいます。また、人から言われた一言に
全身を貫かれるようなショックを受けて、人生を根本的に変えた人も少なくありません。
人生を振り返る書物などで、
「あの失敗が現在の私を作った」とか「あの一言が私を変えた」
というようなタイトルを見いだすことが多々あるのは、人生にとって転機がいかに重要な
意味を持つかを教えてくれます。私が今まで見てきた高校生の中にも、在学中の小さな転
機を大きな転機にした人が数えきれないくらい大勢います。
小さな転機はどこにでもあります。しかし、それは受け身的に待っていたのでは決して
転機に変わることはありません。契機を転機に変えることができるには、次の3つの条件
があるように思います。まず第一に、
「自分はこのままではいけないのだ。なんとかしなく
ては。」という、自分に対する懐疑や焦りを常に抱いていること。すなわち、現在の自分に
絶えず不満を感じていることです。二番目は、失敗から何かを学んだり、それを糧にでき
る想像力、あるいは、人の言うことを素直に自分のものとできる許容量の大きさでありま
しょう。三つ目は、契機をとらえたら、ここぞと力を注ぎ、いったん始めたことは、何か
が見えてくるまで石にかじりついてもやり通す意志の力です。
君たちが普段考えていること、やろうと思っているこ
と、やらなければならないと思っていること、きっとい
ろいろあると思います。
「アルバイトやって、お金貯めて
遊びたい。でも勉強もしなきゃだし、卒業はしたいし…」、
あるいは、廊下でこんなこと言っている人、いましたよ。
「○○先生、今度のテストは私がんばるからね!」etc. etc.
わかった、わかった!言葉はいいからやってごらん。そ
して、きっちり結果を出そうよ。つらいのは誰もいっし
ょ。言葉に出しても、まあ、そりゃいいさ。言って楽に
なるんなら。誰でもいいから話してごらん。でも、あえ
て厳しい言い方をすると、言いっぱなしなのは無責任。「やるのか」、「やらないのか」。要
するにそれだけです。その結果、出てくるものについて、あなたは責任が取れますか?
1