平歯車減速機の設計製図の計算手順例 mm T D 6.14 16 = × =

平歯車減速機の設計製図の計算手順例
*設計計算における注意点
諸変数の決め方は様々(表から,式から,任意,経験的)なので,それぞれの意味を良く
考えること.
Tips(ちょっとしたコツ)
<減速比u1, u3の決め方>
u1 > u3とした方がよい.
<ピッチ円直径(歯数)の決め方>
軽量化のためなるべく小さくとる.ただし,直径を小さくすると円周力が大きくなるので
注意.
zl/z2 = 20/40などの整数比となる組み合わせは避ける.
<歯車の形状,A, B, Cタイプの選び方>
中間軸では一方をA,他方をB あるいはC にするとよいが,特にこだわらなくてもよい.
<軸受の寿命計算はパスしてよい>
(軸径を選ぶだけでよい).
設計仕様
n1 = 2400 rpm
P = 6 kW
uT = 12(減速比)
負荷分類:U
1. 入力軸のトルク T1 と必要最小径D1minの計算
式(18)より
T1 
6 10 3
 23.87 Nm
2 2400 / 60
軸の許容せん断応力τa = 39 MPaなので,
式(20)より必要最小径は
D1 min  3
16T1
 14.6mm
  a
D1min = 15 mmとすると,教科書(機械製図)p.128の表8.2より,キー溝の幅b1 = 5 mm,深さt1 = 3
mm.ここでキー溝付き軸とキー溝なし軸との許容応力の比γは式(21)より,
  1
0.2  5  1.1 3
 0.7133
15
したがって,キー溝付き軸の場合の許容応力はγτaとなり,再び式(20)より
D1 min  3
16T1
 16.2mm  17mm
0.7133  4
教科書(機械製図)p. 128より軸径選定しDIN = 18 mm と仮定した場合にはキーのサイズが
変わるので(溝の幅bk = 6 mm,深さtk = 3.5 mm)となりγを再び計算しなければならない.
  1
0.2  6  1.1 3.5
 0.7194
18
許容せん断応力はτa = 28.2 MPaとなる.DIN = 18 mmの軸にかかる応力は

16T1
 2.126 MPa   a
D 3
したがって,DIN = 18 mmとする.
2. 歯車1 & 2の選定と強度計算
減速比が4程度になる歯車を選ぶ.組み合わせは無数にあるが,その中からモジュールm =
4, z1 = 15,z2 = 58(歯数はJIS B1721に記載されているものを使う)を選択する.
ピッチ円周速は
v1 
d 2n 60 2  2400


 7.540m / s  8m / s
2 60
2
60
歯車1 &2 の呼びをそれぞれ0A4 - 15N1 及び1B4 - 58W1 として計算を行う.
歯車の呼び
0A4 - 15N1
1B4 - 58W1
歯数 z
15
58
モジュ一ルm, mm
4
4
圧力角 α, °
20
20
歯幅 b, mm
28
40
ピッチ円直径 d, mm
60
232
歯先円直径 da, mm
68
240
基礎円直径 db, mm
56.38
218.01
減速比u1 = z2/z1 = 58/15 = 3.867
中間軸の回転数n2 = 2400 × 15/58 = 621 rpm
中心間距離a = m(z1 + z2)/2 = 146 mm
法線ピッチpb = πmcosα =π × 4cos20° = 11.8
かみ合い率

34 2  (30 cos 20) 2  120 2  (116 cos 20) 2  146 sin 20
11.8
 1.63
(2) 歯の曲げ強さの計算
Ft 
P
P
6 10 3


 796.18 N
v (dn / 60)   0.06  2400 / 60
表4. 3より歯車1の歯形係数YF1 = 3.12,歯車2の歯形係数YF2 = 2.29(補間して求める)
荷重分配係数Yε = l/ε = 0.613
表3. 5 より寿命係数KL = 1
安全率SF = 1.2
表3.6より動荷重係数Kv = 1.5(非修整,等級4)
表3.7より過負荷係数KO = 1
以上の係数を式(8) に代入して許容曲げ円周力を求める.
歯車1: FF lim   F lim
mb K L 1
4  28
1
1
 25 


YF Y K O KV S F
3.12  0.613 11.5 1.2
歯車2: FF lim  25 
4  (28  4)
1
1


2.29  0.613 11.5 1.2
よって曲げ強度は問題ない.
(3) 歯面強さの計算
モジュール4では面取り0. 5 mmなので計算に用いる有効歯幅b = 27 mm(注意!!)
等価弾性係数は式(11)よりE' = 226 GPa
表3.9 より寿命係数KHL = 1.0(繰り返し回数107以上)
図3.4 より潤滑油係数ZL = 1.1(動粘度220 cSt)
図3.5 より租さ係数ZR = 0.897(平均租さ6. 24 μm)
図3.6より潤滑速度係数Zv = 0. 975(周速より)
表3.11より歯すじ荷重分布係数KHβ = 1.125 (b/d1 = 27/60 = 0.45 で「一方の軸受に
近い軸のこわさ大」)
安全率SH = l.2
以上の係数を式(16)に代入して許容円周力を求める.
FH lim   H2 lim
d1bu  sin 2 ( K HL K L K R Z V ) 2 1
u  1 2E'
K O K V K H
S H2
 (627 10 6 ) 2 
60  27  3.867 sin 40 (11.1 0.897  0.976) 2
1


 2
3.867  1
2E'
1 1.5 1.125
1.2
 Ft
応力で比較すると,
H 
SH
2 E ' K H K O KV ZFt u  1
 61.5kgf / mm 2   H lim
 sin 2
d1b
u K HL Z L Z R Z V
よって歯面強さも問題ない.
3. 中間軸のトルク値の必要最小径を求める.
T2 = 94.2 kNm, D2min = 28 mm
4. 歯車3 &4の選定と強度計算
z3, z4を選択する際,減速比u3をuT±5%となるように決める.
(1) 歯車3&4の選定
歯車1 &2 同様いくつかの組み合わせで強度の検討. ここでは以下のとおりとする.
モジュール m3 = 5, z3 = 18, z4 = 55
減速比 u3 = 3.06, n3 = 199 rpm, uT 
z 2 z 4 75 55

 12.06
z1 z3 19 18
周速 v3 = 2. 87m/s
歯車3 &4の呼びをそれぞれ0A5-18W1 及び1B5-55W1 とする.
式(6)より円周力 Ft = 2097 N
(2) 曲げ強さの計算
許容曲げ円周力
歯車3 FFlim1 = 24.6 kN > Ft
歯車4 FFlim2 = 28.1 kN > Ft
(3) 歯面強さの計算
許容円周力 FHlim2 = 2261 N > Ft
応力σH = 603.7 MPa < σHlim
以上より,この組み合わせを採用する.
5. 出力軸のトルクT3と必要最小径の計算
T3 = 288 kNm, D3min = 38 mm
6. 入力軸の軸径と軸受の決定
軸受はすべて60XXシリーズから選ぶ.
D1min = 17 mmなので
入力部径DIN = 18 mm とする.
歯車1 取付部径D11 = 25 mm なので
軸受取付部径D1A = D1B = 20 mmとする.
よって軸受は6004
7. 中間軸の軸径と軸受の決定
D2min = 28 mm,歯車2 取付部D22 = 42 mm,歯車3 取付部D23 = 35 mm より軸受取付部径D2C
= D2D = 30 mmとする.
よって軸受は6006
8. 出力軸の軸径と軸受の決定
D3min = 38 mmなので
出力部径DOUT = 40 mmとする.
歯車4 取付部径D34 = 50 mm より
軸受取付部D3E = D3F = 45 mmとする.
よって軸受は6009
以上,選択した歯車をまとめて記載する.
歯車の呼び
0A3 - 19W1
1B3 - 75W1
0A5 - 18W1
1B5 - 55W1
歯数z
19
75
18
55
モジュ一ルm, mm
3
3
5
5
圧力角α, °
20
20
20
20
歯幅 b, mm
35
32
55
50
ピッチ円直径d, mm
57
225
90
275
歯先円直径da, mm
63
231
100
285
基礎円直径db, mm
53. 56
211. 43
84. 57
258. 42
一 A 一