平歯車減速機の設計製図の計算手順例 *設計計算における注意点 諸変数の決め方は様々(表から,式から,任意,経験的)なので,それぞれの意味を良く 考えること. Tips(ちょっとしたコツ) <減速比u1, u3の決め方> u1 > u3とした方がよい. <ピッチ円直径(歯数)の決め方> 軽量化のためなるべく小さくとる.ただし,直径を小さくすると円周力が大きくなるので 注意. zl/z2 = 20/40などの整数比となる組み合わせは避ける. <歯車の形状,A, B, Cタイプの選び方> 中間軸では一方をA,他方をB あるいはC にするとよいが,特にこだわらなくてもよい. <軸受の寿命計算はパスしてよい> (軸径を選ぶだけでよい). 設計仕様 n1 = 2400 rpm P = 6 kW uT = 12(減速比) 負荷分類:U 1. 入力軸のトルク T1 と必要最小径D1minの計算 式(18)より T1 6 10 3 23.87 Nm 2 2400 / 60 軸の許容せん断応力τa = 39 MPaなので, 式(20)より必要最小径は D1 min 3 16T1 14.6mm a D1min = 15 mmとすると,教科書(機械製図)p.128の表8.2より,キー溝の幅b1 = 5 mm,深さt1 = 3 mm.ここでキー溝付き軸とキー溝なし軸との許容応力の比γは式(21)より, 1 0.2 5 1.1 3 0.7133 15 したがって,キー溝付き軸の場合の許容応力はγτaとなり,再び式(20)より D1 min 3 16T1 16.2mm 17mm 0.7133 4 教科書(機械製図)p. 128より軸径選定しDIN = 18 mm と仮定した場合にはキーのサイズが 変わるので(溝の幅bk = 6 mm,深さtk = 3.5 mm)となりγを再び計算しなければならない. 1 0.2 6 1.1 3.5 0.7194 18 許容せん断応力はτa = 28.2 MPaとなる.DIN = 18 mmの軸にかかる応力は 16T1 2.126 MPa a D 3 したがって,DIN = 18 mmとする. 2. 歯車1 & 2の選定と強度計算 減速比が4程度になる歯車を選ぶ.組み合わせは無数にあるが,その中からモジュールm = 4, z1 = 15,z2 = 58(歯数はJIS B1721に記載されているものを使う)を選択する. ピッチ円周速は v1 d 2n 60 2 2400 7.540m / s 8m / s 2 60 2 60 歯車1 &2 の呼びをそれぞれ0A4 - 15N1 及び1B4 - 58W1 として計算を行う. 歯車の呼び 0A4 - 15N1 1B4 - 58W1 歯数 z 15 58 モジュ一ルm, mm 4 4 圧力角 α, ° 20 20 歯幅 b, mm 28 40 ピッチ円直径 d, mm 60 232 歯先円直径 da, mm 68 240 基礎円直径 db, mm 56.38 218.01 減速比u1 = z2/z1 = 58/15 = 3.867 中間軸の回転数n2 = 2400 × 15/58 = 621 rpm 中心間距離a = m(z1 + z2)/2 = 146 mm 法線ピッチpb = πmcosα =π × 4cos20° = 11.8 かみ合い率 34 2 (30 cos 20) 2 120 2 (116 cos 20) 2 146 sin 20 11.8 1.63 (2) 歯の曲げ強さの計算 Ft P P 6 10 3 796.18 N v (dn / 60) 0.06 2400 / 60 表4. 3より歯車1の歯形係数YF1 = 3.12,歯車2の歯形係数YF2 = 2.29(補間して求める) 荷重分配係数Yε = l/ε = 0.613 表3. 5 より寿命係数KL = 1 安全率SF = 1.2 表3.6より動荷重係数Kv = 1.5(非修整,等級4) 表3.7より過負荷係数KO = 1 以上の係数を式(8) に代入して許容曲げ円周力を求める. 歯車1: FF lim F lim mb K L 1 4 28 1 1 25 YF Y K O KV S F 3.12 0.613 11.5 1.2 歯車2: FF lim 25 4 (28 4) 1 1 2.29 0.613 11.5 1.2 よって曲げ強度は問題ない. (3) 歯面強さの計算 モジュール4では面取り0. 5 mmなので計算に用いる有効歯幅b = 27 mm(注意!!) 等価弾性係数は式(11)よりE' = 226 GPa 表3.9 より寿命係数KHL = 1.0(繰り返し回数107以上) 図3.4 より潤滑油係数ZL = 1.1(動粘度220 cSt) 図3.5 より租さ係数ZR = 0.897(平均租さ6. 24 μm) 図3.6より潤滑速度係数Zv = 0. 975(周速より) 表3.11より歯すじ荷重分布係数KHβ = 1.125 (b/d1 = 27/60 = 0.45 で「一方の軸受に 近い軸のこわさ大」) 安全率SH = l.2 以上の係数を式(16)に代入して許容円周力を求める. FH lim H2 lim d1bu sin 2 ( K HL K L K R Z V ) 2 1 u 1 2E' K O K V K H S H2 (627 10 6 ) 2 60 27 3.867 sin 40 (11.1 0.897 0.976) 2 1 2 3.867 1 2E' 1 1.5 1.125 1.2 Ft 応力で比較すると, H SH 2 E ' K H K O KV ZFt u 1 61.5kgf / mm 2 H lim sin 2 d1b u K HL Z L Z R Z V よって歯面強さも問題ない. 3. 中間軸のトルク値の必要最小径を求める. T2 = 94.2 kNm, D2min = 28 mm 4. 歯車3 &4の選定と強度計算 z3, z4を選択する際,減速比u3をuT±5%となるように決める. (1) 歯車3&4の選定 歯車1 &2 同様いくつかの組み合わせで強度の検討. ここでは以下のとおりとする. モジュール m3 = 5, z3 = 18, z4 = 55 減速比 u3 = 3.06, n3 = 199 rpm, uT z 2 z 4 75 55 12.06 z1 z3 19 18 周速 v3 = 2. 87m/s 歯車3 &4の呼びをそれぞれ0A5-18W1 及び1B5-55W1 とする. 式(6)より円周力 Ft = 2097 N (2) 曲げ強さの計算 許容曲げ円周力 歯車3 FFlim1 = 24.6 kN > Ft 歯車4 FFlim2 = 28.1 kN > Ft (3) 歯面強さの計算 許容円周力 FHlim2 = 2261 N > Ft 応力σH = 603.7 MPa < σHlim 以上より,この組み合わせを採用する. 5. 出力軸のトルクT3と必要最小径の計算 T3 = 288 kNm, D3min = 38 mm 6. 入力軸の軸径と軸受の決定 軸受はすべて60XXシリーズから選ぶ. D1min = 17 mmなので 入力部径DIN = 18 mm とする. 歯車1 取付部径D11 = 25 mm なので 軸受取付部径D1A = D1B = 20 mmとする. よって軸受は6004 7. 中間軸の軸径と軸受の決定 D2min = 28 mm,歯車2 取付部D22 = 42 mm,歯車3 取付部D23 = 35 mm より軸受取付部径D2C = D2D = 30 mmとする. よって軸受は6006 8. 出力軸の軸径と軸受の決定 D3min = 38 mmなので 出力部径DOUT = 40 mmとする. 歯車4 取付部径D34 = 50 mm より 軸受取付部D3E = D3F = 45 mmとする. よって軸受は6009 以上,選択した歯車をまとめて記載する. 歯車の呼び 0A3 - 19W1 1B3 - 75W1 0A5 - 18W1 1B5 - 55W1 歯数z 19 75 18 55 モジュ一ルm, mm 3 3 5 5 圧力角α, ° 20 20 20 20 歯幅 b, mm 35 32 55 50 ピッチ円直径d, mm 57 225 90 275 歯先円直径da, mm 63 231 100 285 基礎円直径db, mm 53. 56 211. 43 84. 57 258. 42 一 A 一
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