はじめに - 森林総合研究所

はじめに
関東・中部林業試験研究機関連絡協議会の会員の皆様におかれましては、日頃
から各地域における森林・林業関係の試験研究・技術開発の推進にご尽力頂くと
ともに、本協議会の運営につきましても多大なるご協力を頂き有り難うございま
す。お陰様をもちまして、本年度の各研究会につきましても、予定通り進めるこ
とができ、改めて御礼申し上げる次第です。
戦後、造成した人工林が本格的な利用時期を迎える中にあって、豊富な森林資
源を循環利用することにより、林業の成長産業化を実現し、山村地域に産業と雇
用を創出することが求められています。また、我が国の更なる成長のための「日
本再興戦略」や、農林水産業・地域の活力創造に向けた政策改革のグランドデザ
インである「農林水産業・地域の活力創造プラン」では、新たな木材需要を創出
するとともに、国産材の安定的・効率的な供給体制を構築することとされていま
す。
一方、昨年は、広島県や高知県を始め全国で、豪雨による山腹崩壊や土石流等、
甚大な山地災害が発生したほか、長野県・岐阜県境にまたがる御嶽山が噴火し、
多くの人命・財産が失われました。治山事業や森林整備事業を推進し、安全・安
心な国土づくり・国土の強靱化を進めていくことも重要です。
こうした中、現在、国においては、国産材の需要の拡大を図るため、中高層建
築での利用が期待されるCLT等の新たな木材製品の開発・普及が進められてい
ます。また、国産材の安定供給体制の構築を図るため、路網の整備、施業の集約
化、高性能林業機械を活用した効率的な作業システムの確立等の取組が行われて
います。更に、去る1月9日に閣議決定された平成26年度補正予算や、1月1
4日に閣議決定された平成27年度当初予算では、セルロースナノファイバーの
製造技術の実証、CLT等新たな木質部材・工法等の技術開発、急傾斜地等にお
ける効率的な作業システムに対応した林業機械の開発等を支援することとされて
います。
研究開発は、行政ニーズの実現を目的とする行政施策実施に向けた最先端の取
組であり、それに適切に応えるためには、関係機関が情報や課題を共有し、協力
しながら研究開発を推進していくことが極めて重要です。各試験研究機関におか
れましては、相互の連携・協力を進めるとともに、各研究会活動を通じた研究の
取組を強化し、森林・林業・木材産業分野の研究をより一層推進して頂くようお
願いします。
最後になりましたが、本誌の取り纏めを担当された埼玉県農林総合研究センタ
ー森林・緑化研究所に深く感謝するとともに、今後とも関中林試連の活動に対す
る会員皆様方の更なるご協力とご支援をお願い申し上げる次第です。
平成27年3月
関東・中部林業試験研究機関連絡協議会会長
(独立行政法人森林総合研究所企画部長)
落合博貴