農業・農協改革に関する概要と JAグループ福岡の考え方 JAグループ「営農・経済革新プラン」 JAグループでは、本年4月に、 「営農・経済革新プラン」をとりまとめました。①食料の自給力 (人・農地・経 営資源)の向上による生産拡大、②我が国の食と農の価値の創造による農業所得の最大化、③農を基 ∼いま、今後の農政に関し、重大な決定が実行されようとしています!∼ 平成26年6月16日 JA福岡中央会 を基本目標に掲げ、今後5年間で事業改革、組織対応を行っていきます。 軸とした地域の活性化、 政府は、農業分野の成長を目指し、6月末までに新たな「農林水産業・地域の活力創造プラン」の改訂を予定し 「地域の活性化」をはかる 組合員への最大奉仕を果たすため 総合事業を展開し、多様なサービス 車の両輪 JAグループの役割発揮 営農経済事業革新の 重点戦略 ています。しかし、そのプランの参考となる6/13の規制改革会議答申では、下部組織のワーキンググループから だされた「意見」を基に与党の意見を反映した内容となっているものの、今後の検討次第では、国が26年度から すすめている「新農政」の推進はもとより、地域農業の振興・農家所得の向上に影響を及ぼす恐れがあります。 戦略① 担い手サポート型を主力とし た営農・経済事業方式の確立 を提供することで、地域のインフラ機 戦略② 新たな販売事業方式の確立 能を担うとともに、農村地域の活性 戦略③ 営農・経済事業の革新をはかる 組織運営・ガバナンスの確立 化に貢献します。 農業・農協改革に関する政府・自民党の検討体制(イメージ) 農林水産業・地域の活力創造本部 【メンバー】本部長:安倍総理 副本部長:林大臣、菅官房長官 など 6月27日頃 「骨太の方針」 ・ 6月13日答申 調整 答申 革新プランの戦略例 6月27日頃 「農林水産業・地域の活力創造プラン」の改訂 「規制改革実施計画」閣議決定 規制改革会議 (議長:岡 住友商事相談役 議長代理:大田 政策研究大学院大学教授、 政府:稲田 規制改革担当大臣・後藤田 内閣府副大臣) 【農業WG】※は本体会議メンバー ☞担い手のリスク軽減に向けた買取販売の拡大 産業競争力会議 ☞担い手専任担当(TAC等)の人員・質的拡充 ☞JAグループバリューチェーンの確立 【本体会議メンバー】 ・加工業者等との資本提携の拡大と農林中 ☞総合事業を活かした経営管理支援(経営コン サル)の拡充 金、全共連による財務支援強化 ☞直売所の全国ネットワーク化やインターネッ ☞生産資材等のホームセンターに負けない価格 の設定 【農業分科会】 ローソン会長 担当:秋山 サキコーポレーション社長 規制改革会議:岡議長 茂木大臣 副座長: 西村副大臣 金丸座長 小泉政務官 座長: 甘利大臣 座長代理:菅官房長官 議長: 安倍総理 議長代理以下:各閣僚 民間議員: 竹中教授 三木谷社長など 主査:新浪 ☞直営レストラン等の海外展開 ☞地理的表示保護制度(GI)を活用した産地ブ ・担い手への機械、施設リース支援 ランド強化 等 ・経営コンサルサポートの実施 等 戦略③ 営農・経済事業の革新をはかる組織運営・ガバナンスの確立 19 【新農政における農協の役割に関する検討PT】 (役員) 座長: 森山 裕 常任幹事:宮路 和明 顧 問:保利 耕輔 金田 勝年 特別顧問:大島 理森 宮腰 光寛 西川 公也 金子 原二郎 事務局長:伊東 良孝 今津 寛 今村 雅弘 坂本 哲志 長島 忠美 宮下 一郎 加藤 寛治 野村 哲郎 山田 俊男 【農業委員会・農業生産法人に関する検討PT】 (役員) 座長: 西川 公也 事務局長: 坂本 哲志 顧問:鈴木 俊一 常任幹事:赤澤 亮正 井野 俊郎 森山 裕 座長代理:岸 宏一 伊東 良孝 野村 哲郎 山田 俊男 事務局次長:鈴木 憲和 山田 修路 舞立 昇治 宮腰 光寛 金子 原二郎 規制改革会議答申(農業分野)のポイント ☞輸出10倍に向けた一元的輸出体制 ・新規就農等への直接支援 (農林水産省) 林農林水産大臣 *有識者(大泉教授、中嶋教授)が入る場合あり ト等直接販売網の構築 ☞全国基金を創設し、 (株)六星取締役 (株)サラダボウル代表取締役 東大教授 松本農園プロジェクトマネージャー カゴメ常務執行役員 6月10日とりまとめ 農林水産戦略調査会長: 中谷 元 農林部会長: 齋藤 健 5月 日の総理指示を 受けて、菅官房長官と調整 戦略① 担い手サポート型を主力とした 営農・経済事業方式の確立 (経営資源のシフト) 戦略② 新たな販売事業方式の確立 専門委員:北村 フューチャーアーキテクト会長※ 田中 座長代理: 浦野 ニチレイ相談役※ 本間 委員: 滝 ぐるなび会長※ 長谷川 東京新聞論説副主幹※ 松本 渡邊 林 弁護士※ 座長: 金丸 自民党 農業委員会 農業生産法人 農業協同組合 ●農業委員の選挙制 度を廃止 し、議会の同意を要件に市町 村長が選任(委員数を半分程 度に) ●農地を取得できる農業生 産 法人になる要件を緩和(役員 要件、出資要件) ●信用事業について農林中金(信連)に 譲渡する方法を選択肢として推進 ●都道府県農業会議・全国農業 会議所はネットワーク組織と して見直し 等 ●農業法人(既に農地を賃貸し て農業を行っている)の事業 拡大(農地取得)は5年後に見 直し ●准組合員の事業利用に一定のルール を導入する方向で検討 ●中央会を自律的な新たな制度へ移行、 全農の株式会社化を前向きに検討 等 ☞担い手経営体、青年部、部会代表などの理事登用枠の拡大 ☞営農経済担当常勤役員の設置と投資等に関する意思決定の迅速化 等 JAグループの主張! 担い手の減少・高齢化など厳しい情勢認識は否定するものではありませんが、規制改革会議で出された答申が、国の言う 「強い農林水産業」 「美しく活力のある農山漁村」を創るという目的も、農家の所得向上にも寄与するとは思えません。 ましてや、JAグループは協同組合という組織形態をもつ民間組織であり、政府から組織や事業内容を強制される団体で はありません。我々は、組合員の声を聞き、 「営農・経済革新プラン」に基づき、自己改革を実行していきます。 4 発行元:JAグループ福岡 福岡市中央区天神 4 丁目 10 番 12 号(JA福岡中央会 農業対策部) TEL:092(711)3824 1 規制改革会議 答申(農業分野)とJAグループ福岡の見解 (農業・農家・JAに与える影響) 1.農業委員会等の見直し 答申内容(抜粋) JAグループ福岡の見解 JAグループ福岡の見解 ① 農業委員の選挙制度を廃止し、市町村長か ● 農業委員を首長が選任するメリットが見えず、地域農業の らの選任制とする。 ( 農業団体からの推薦 実態を知らない農外者が選任される懸念もある。地域の農 全農・経済連が経済界との連携を連携先と での業務用野菜加工品の製造・販売や、 ( 株)ファミリー 制度も廃止) 業者から信任を得た委員を選挙する現行制度のほうが、実 対等の組織体制の下で迅速かつ自由に行 マートとの業務提携による一体型コンビニ店舗の出店等 態を踏まえた地域農業の推進と民主的運営が確保できる。 えるよう、JA出資の株式会社化を前向き の事例等があり、今の組織形態でも十分対応可能である。 答申内容(抜粋) 【全農等の事業・組織の見直し】 に検討。 ①「構成員(出資)要件」 ● 株式会社に転換すれば、独占禁止法の適用を受ける(現在 は、 協同組合組織のため適用除外) ため、 県域での野菜等の 2.農業生産法人(農地を所有できる法人)の見直し 【中央会制度から新たな制度への移行】 JAグループ福岡の見解 答申内容(抜粋) ● 全農と株式会社との連携は、キューピー(株)との合弁会社 ● これらの要件緩和により、農外企業の参入が加速されるこ 農協法上の中央会制度は、移行期間を設け た上で現行の制度から自律的な新たな制 度へ移行。 共同販売 (出荷調整や共同出荷等) 、 米の共同計算等が不可 能になる恐れがあり、 組合員の営農活動に影響が生じる。 ● 農協法上の中央会でなくなれば、中央会の主たる事業であ る経営指導や監査が出来なくなり、破綻未然防止に向けた 農業関係者以外の出資は、1/4以下⇒1/2 とも想定され、法人の意思決定権者が地域に在住しない 自主ルールが運用できなくなったり、 監査法人による公認会 未満までに緩和。 ケースや今後の集落内農地の面的利用や調整に懸念が生 計士監査の導入によりJAの大幅なコスト増が懸念される。 ②「役員等の農業従事要件」 ● また、中央会が実施している農政活動(JAの要請を積み上 じる。 げた政府への農業政策要請や予算要求の実施)が出来なく 役員の過半⇒1人以上従事に緩和。 なることで、地域農業の実態に沿った政策が展開されなく なる可能性がある。 3.農業協同組合の見直し 【JAの活性化・健全化の推進】 ● 農家への営農指導に係わる経費は、賦課金等に加え、信用・ 信用事業を農林中金(信連)に譲渡し、支店 共済事業からの余剰も含め賄っているので、事業移管した 化・代理店化を推進。 場合は、現行の営農指導事業の維持さえ難しくなり、決し て、組合員の所得向上につながらない。 ● 信用事業を譲渡すれば、JAの運転資金が不足し、借入金 等による資金繰り対応が必要となり、事業運営上様々な制 約が出てくる。 ・購買未収金制度(決済サイト等)の短縮 ・事業施設を設置する場合に多額の資金手当てが必要 ・JA独自の貸付がほぼ困難になる 等 【理事会の見直し】 ● 役員の選出方法等は、組合員自ら決めることである。JAグ 理事の過半は、認定農業者及び農産物販 ループ「営農・経済革新プラン」では、農外者ではなく担い 売や経営のプロとする。併せて、若い世代 手枠を拡大する方向で織り込み済みであり、本県において や女性の登用を図る。 は、女性理事19JA45名、青年理事6JA6名がすでに登用さ れている。 【組合員の在り方】 ● JAは地域の協同組合として「地域密着活動」に取り組んで 准組合員の事業利用は、正組合員の事業 おり、 准組合員の事業利用も含めて、 経営が安定している。 制 利用との関係で一定のルールを導入する方 限が適用されれば、 JA事業・経営に大きな打撃を及ぼす。 向で検討。 ● 地域のライフライン機能を果たしている面から、事業利用 制限により地域社会経済にも大きな影響を与える。 2 今回の規制改革等の検討経過 JAグループ福岡の見解 答申内容(抜粋) H25.12.10 H26. 5.13 「農林水産業・地域の活力創造プラン」の発表、農協の役割は次回改訂時までに検討 規制改革会議・農業WG「農業改革に関する意見」 発表 6.10 与党「農協・農業委員会等に関する改革の推進について」取りまとめ 6.13 規制改革会議「規制改革に関する第2次答申」発表 6.27(予定) 「農林水産業・地域の活力創造プラン」、 「骨太の方針」閣議決定(予定) 今回の規制改革等に関するQ&A Q:今回の規制改革会議の答申は、今後どのように政府の方針に反映していくのか。 A:6月13日に出された規制改革会議の答申は、27日に政府が発表予定の「農林水産業・地域の活力創造プラン」 に盛り込まれる見込みです。それは、さらに同日に政府が閣議決定する「経済財政運営の基本方針(骨太の方 針)」にも反映される見込みです。今後、詳細検討のうえ、必要に応じ関連法の改正等が考えられます。 Q:JAは信用・共済事業が出来なくなるといった趣旨の新聞記事が載っていたが、どうなるのか。私が もっている貯金や契約している共済に影響はないのか。 A:規制改革会議の答申であり、決定した訳ではありません。また、万が一、将来その方向となったとしても、JAグ ループ全体での事業ですので、皆様の貯金や共済には直接的な影響はありません。 しかし、営農指導や融資など、組合員の様々なニーズ、要望に迅速に応えるためには、 総合事業である現在の事業方式が望ましいと考えており、このような改革案には断固反対していきます。 3
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