進化型ロボティックスワームにおける リアリティギャップの縮小に関する一

平成 27 年度 卒業論文概要
進化型ロボティックスワームにおける
リアリティギャップの縮小に関する一考察
B123166 平賀 元彰
【背景と目的】
スワームロボティクス (Swarm Robotics : SR) は,多数の比較的単純な自律ロボットを用いて,局
所的な相互作用から集団的行動の創発を目的とする研究分野である.SR におけるロボットの制御器
の設計に,進化ロボティクスのアプローチを用いる方法がある.このアプローチを実機ロボットに適
用する場合,一般的に計算機実験で得られた制御器を実機ロボットに移植する.この際,計算機実験
のモデル精度などの要因から,計算機上と実環境上のロボットの挙動が異なることが多い.このリア
リティギャップについて,様々な対策が提案されているものの,明確な解決策は未だに存在しない.そ
こで,本研究では進化を行う際のロボットの条件に着目し,このリアリティギャップの縮小を試みる.
【実験】
本研究では,協調運搬タスクを取り扱う (Fig.
1) .これは,1 台では動かすことができない運
Object
Robot
搬物を複数台のロボットが協調して目的地まで
運ぶことを目的とする.計算機実験で, (1) ロ
ボットのセンサ入力の個数, (2) センサの精度
をそれぞれ変化させて実験を行い制御器を獲得
Goal line
する.本研究では,上記の変化による影響の検
証のため,全方位カメラの視野を円周方向に等
分割することで,センサ入力の個数およびセン
Fig. 1: Collective transport of robotic swarm
サの精度を調整する.センサ入力の個数につい
ては,等分割された区分のうち,使用する区分
の数を変更して実験を行う (Fig. 2) .センサ
の精度については,円周方向の分割数を変化さ
せて実験を行う (Fig. 3).獲得した制御器を実
Fig. 2: Angle of view
機ロボットに移植し,実環境上での挙動と計算
機実験での挙動を比較し,それぞれの条件がリ
アリティギャップへ与える影響を検証する.
【実験結果 · 考察】
ロボットのセンサ入力の個数が与える影響に
Fig. 3: Number of partitions
ついて,使用する区分の数が多い場合,計算機
実験上では運べていたとしても,実環境では運
搬物の反対側に回り込み,運搬できない場合が見られた.また,ロボットのセンサの精度が与える
影響についても同様に,実環境では分割数が多い場合に回り込み,運べない傾向が見られた.以
上より,余剰なセンサ入力がリアリティギャップの拡大につながるため,節減的な設計を通して
リアリティギャップの縮小が可能であると考えられる.