子・孫への贈与税優遇制度 ◇H27 年度改正のポイント◇ 高齢者層から若年層への資産の早期移転を促すため、住宅取得投資金の贈与に係る贈与税の非課税限 度額の拡大や結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度の創設などが行われます。 1. 住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税[非課税枠拡大] 直系尊属(父母、祖父母など)から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度に ついて、消費税率 10%への引上げに伴い、次のように非課税限度額(現行:良質な住宅用家屋 1,000 万円、一般の住宅 500 万円)が拡大されます。 ※平成 27 年 1 月 1 日から平成 31 年 6 月 30 日までの贈与について適用されます。 ●非課税限度額 (注 1) 「良質な住宅用家屋」の場合の非課税限度額は、上記の「一般住宅」の非課税限度額にそれ ぞれ 500 万円を上積みした額になります。 (注 2)改正前は、贈与を受けた時期によって適用される非課税枠が決まっていましたが、改正後 は、住宅用家屋の取得等に係る契約(建物建築請負契約や不動産売買契約など)の締結時期によっ て決まります。なお、平成 27 年 1 月以後に贈与を受けたものについては、平成 26 年以前に契約を 締結したものであっても、1,000 万円が適用されます。 (注 3)住宅取得等資金に係る相続時精算課税の特例(贈与者の年齢が 60 歳未満の場合でも相続 時精算課税の適用が可能)についても、平成 31 年 6 月末まで継続します。 2. 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の創設 両親や祖父母の資産を早期に移転することを通じて、子や孫の結婚・出産・育児を後押しするた め、これらに要する資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置を創設します。 (ア) 親・祖父母(贈与者)は、金融機関に子・孫(20 歳以上 50 歳未満。受贈者)名義の口座等を 開設し、結婚・子育て資金を一括拠出。この資金について、子・孫ごとに 1,000 万円(結婚費 用は 300 万円)までを非課税とします。 (イ) 相続税回避を防止するため、贈与者死亡時の残高を相続財産に加算します。 (ウ) 受贈者が 50 歳に達する日に口座は終了します。使い残しに対しては、贈与税を課税します。 (エ) 平成 27 年 4 月 1 日から平成 31 年 3 月 31 日までの措置です。 ※結婚・子育て資金の範囲 ・結婚に際して支出する婚礼(結婚披露を含む)に要する費用、住居に要する費用及び引越に要 する費用のうち一定のもの ・妊娠に要する費用、出産に要する費用、子供の医療費及び子供の保育料のうち一定のもの 3. 子・孫への教育資金の一括贈与に係る贈与税[非課税制度延長〕 子・孫(30 歳未満の者に限る)の教育資金に充てるため、その直系尊属が金銭等を支出し、金融 機関等に信託等をした場合、受贈者(子・孫)1 人につき 1,500 万円まで贈与税が非課税となる措置 について、対象資金に留学渡航費等を加えるなど一部見直しの上、適用期限が平成 31 年 3 月 31 日 まで延長されます。 参照:財務省「H27 年度税制改正」等 (担当:税理士 上原)
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