事業承継税制(贈与税) 平成 27 年 1 月 1 日から非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特 例制度の内容につき平成 25 年度税制改正の内容が適用開始され、改正前より利 用しやすくなりました。 【制度の概要】 後継者である受贈者が、贈与により経済産業大臣の認定を受ける非上場会社の 株式等を先代経営者である贈与者から全部又は一定数以上取得し、その会社を 経営していく場合には、その受贈者が納付すべき贈与税のうち、その非上場株 式等(一定の部分に限ります。)に対応する贈与税の納税が猶予されます。 【適用要件】 後継者(受贈者)の主な要件 先代経営者(贈与者)の主な要件 ・会社の代表権を有していること ・会社の代表権を有していたこと ・20 歳以上であること ・贈与時において会社の代表権を有してい ・役員等の就任から 3 年以上を経過して ないこと(代表権のない取締役として給与の 支給を受けることは可能) いること ・後継者及び後継者と特別の関係がある ・贈与の直前において贈与者及び贈与者と 者で総議決権数の 50%超の議決権数 特 別 の 関 係 が あ る 者で 総 議 決 権 数 の を保有し且つこれらの者の中で最も 多くの議決権を保有することとなる こと 50%超の議決権を保有し且つ後継者を 除いたこれらの者の中で最も多くの議 決権数を保有していたこと ① 担保の提供 納税が猶予される贈与税額及び利子税の額に見合う担保を税務署に提供す る必要があります。改正前、株券不発行会社は供託できず本要件が弊害とな っていましたが、改正後は株券不発行会社でも本特例の適用を受ける非上場 株式等の全てを担保として提供した場合は供託を経ずに担保の提供があっ たものとみなされます。 ② 経済産業大臣の認定と申告要件 「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」に基づき会社の要件、 後継者(受贈者)の要件、先代経営者(贈与者)の要件を満たしていること について「経済産業大臣の認定」を翌年1月 15 日までに受け、この特例の 適用を受ける旨を記載した贈与税の申告書及び一定の書類を申告期限(翌年 3 月 15 日)までに提出し担保を提供しなければなりません。 西 山 会 計 事 務 所 http://nishiyama-accountingfirm.com/ 【納税猶予の対象となる株式数】 区 分 特例の対象となる非上場株式等の数 A+B<C×2/3の場合 非上場株式等の数(A) A+B≧C×2/3の場合 発行済株式等の総数の 3 分の2から非上場株式等の 数(B)を控除した数(C×2÷3-B) A 先代経営者(贈与者)が贈与直前において保有する非上場株式等の数 B 後継者(受贈者)が贈与の直前に保有する非上場株式等の数 C 贈与直前の発行済株式等の総数 【本制度の適用にあたっての留意点】 経営贈与承継期間の 5 年間 贈与税の申告期限の翌日から 1 年を経過するごとの日(以下、基準日という) から 3 か月以内に地方経済産業局に報告書を提出し、基準日から 5 か月以内に 地方経済産業局から交付された「要件に該当する旨」の確認書及びその他の書 類を添付して所轄税務署長に届出書を提出しなければなりません。 確認事項(納税猶予の継続要件) ・受贈者が代表権を有していること ・判定日における常時使用する従業員数が贈与日の常時使用する従業員に占め る割合が 80%以上であること(毎期末の判定ではなく期間の通算で判定) ・納税猶予の適用を受けている株式等の一部又は全部を譲渡していないこと ・総収入金額が零でないこと ・資産保有型・運用型会社でないこと 等々 経営贈与承継期間経過後は 3 年毎 贈与税の申告期限の翌日から 5 年を経過する日の翌日から 3 年を経過するごと の日を基準日とし、その基準日の翌日から 3 か月以内に税務署長に対して届出 書を提出しなければなりません。 相続時の評価額 贈与税の納税猶予額は、先代経営者(贈与者)の死亡(相続開始)により免除 されますが、納税猶予株式は相続又は遺贈により取得したものとみなして相続 税の課税対象となります。この場合の評価額は相続時ではなく贈与時の価額と なりますので、非上場株式の価額が下降傾向の場合は不利な場合があります。 また改正により親族外承継の場合も納税猶予制度の適用がありますが、相続税 の計算においては 2 割加算の適用がありますので、ご留意ください。 西 山 会 計 事 務 所 http://nishiyama-accountingfirm.com/
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