次世代スケーラブル高集積化技術に関する調査

次世代スケーラブル高集積化技術に関する調査(新規)
①背景と調査の重要性
モノのインターネット(IoT)時代の幕開けとともに、低コストで低消費電力、超小型
高集積エレクトロニクスシステムと、人を中心にそれをつないだ情報管理市場が追い風
になっている。これらは、ウエラブルコンピュータなどいわゆる身に着ける端末や、エ
ネルギー、交通・医療・食糧などあらゆる分野において、モノの常時インターネット接
続を可能とするセンサー、得られた信号をリアルタイムで安全・安心に処理可能な高機
能のネットワーク、およびを膨大なデータ・スレッドの高速処理が可能な高エネルギー
効率のデータセンタ、に支えられている。
最新のウェアラブル端末をはじめとする生体および環境センシングには、体積当たり
のエネルギー効率が高い三次元積層や高密度実装技術が必要とされている。スマートフ
ォンレベルの機能を生体に適用させるためには、エネルギー効率を 104 倍以上にする必
要がある。またビッグデータの中枢であるサーバやスーパーコンピュータでは,クロッ
ク周波数を一定とした高速処理を行うため、CPU コアは倍々ルールで増加し、最近では
512 コア以上の製品化も行われている。回路規模の増大に伴いチップサイズが大型化し、
消費電力は 300W/cm2 を超える高発熱体となるため、CPU 熱設計が益々重要となる。
上記背景の下、平成 25, 26 年度に、CMOS LSI、各種電子デバイス、受動素子および
実装基板を含めた高集積実装システムに関する動向調査が、“次世代スケーラブル高集
積化技術の調査分科会”にて行われた。本分科会では、前分科会にて開始された調査項
目:高集積実装技術に対する市場ニーズ、先端実装技術の動向、各種製品における実装
技術の役割と実現に向けた設計技術、低コスト化に向けた製造技術に関し、追加・継続
調査を行う。さらに着目分野として、極限環境で動作する超小型電子機器を追加する。
これは、新たなエネルギー資源の確保が不可欠な中、自然エネルギーの利用に加え、さ
らなる地球資源の探索向けた、極限環境動作の超小型電子機器・実装技術が重要と位置
づけている。また、日本の電子産業の強化に向けた実装関連技術開発のありかたを探り、
提言につなげるため、海外実装技術の動向調査を継続して行う。
②調査項目
2030 年の社会システムを見据え、それを支える電子機器・デバイスとその実現に向け
た実装技術を、材料・プロセス・製造技術を調査し、日本の電子産業強化のために今
後必要となる実装技術を抽出する。新たな試みとして、他の調査分科会との連携(コ
ードシェア)調査を検討する。
1) 高集積実装技術に対する市場ニーズ
・データセンタ:エネルギー効率/高速・高帯域・省電力技術
高速信号伝送、高帯域化の限界と新技術(無線、光)
・IoT スマートデバイス:トリリオンセンサーモジュール技術の現状分析と将来予
測
・ウェアラブルデバイス:各種材料・部品、実装フロアプランと集約限界
・ヘルスケア、メディカルデバイス
・地球資源探査機器
2) 各種製品における実装技術
・自動車(電装)
・ロボット
・エネルギーハーベスティングデバイス
・パワーデバイス
・生体環境適合デバイス: 親和性、信頼性メディカルデバイス:
・3D 情報処理デバイス
・極限環境対応デバイス
3) 設計技術
・3D 集積対応 CAD 技術の現状
・3D フローアデザイン:ロジック、メモリー
・異種機能デバイス統合設計技術
・極限環境デバイス設計
・ファシリティ設計:生活空間、建屋、服飾、人体
4) 先端実装技術
・3D、SiP、異種機能集積技術の動向技術の動向
・冷却・放熱技術:エネルギー効率、フォームファクタ
・接合(接続)技術:接合方法、接合材料
・情報インターコネクション:有線、無線
5) 低コスト化に向けた製造技術
・製造コスト分析、動向:チップベース、ウェハベース
・製造装置の動向、新技術
・プロセス:高速成膜・堆積・充填、高速加工
・材料
6) 電子産業強化のための実装技術
・国内の実装ファンドリー
・海外実装技術動向:韓国、台湾、米国(ジョージアテック)、欧州(IMEC、フラン
フォーファー)