ものづくり復活のカギは IoTにあり? あらゆるものがインターネットにつながるようになってきた。 モノとモノがインターネットでつながった IoT(Internet of Things)は、 ものづくりの現場に影響を及ぼし始めている。Q(品 質) 、C(コスト) 、D(納期)の情報収集から解析までが自動化 されれば、改善の速度は速くなり、より良いものづくりができる。 また、IoTの普及とともに注目されている小型無人飛行機(ド ローン)は、 空中搬送による物流変革をもたらし、 人ができなかっ た監視や測定を可能にするなど、生産現場だけでなく、ビジネ スの新しい展開にも大きく貢献すると期待されている。 モノとモノがつながることで発生する膨大なデータを活用で 5 5,700 億 万台 2014 年の日本国内の IoT デバイスの普及台数は※2 きれば、生産高度化やプロセス革新が可能になり、さらに新ビ ジネスの創出につながっていくかもしれない。また、こうした変 革に対応できる人材の採用・育成も欠かせなくなるだろう。 世界に目を転じると、ドイツでは産学官一体の戦略構想を 「Industrie 4.0(第 4 次産業革命) 」と名づけて、高度な製造技 術の研究開発を掲げ、 アメリカでは「Advanced Manufacturing (先進製造) 」 、イギリスは「High value manufacturing(HVM: 高価値製造) 」として、製造業の復活・活性化に向けた戦略を策 定している。いずれも、ICT(情報通信技術:Information and Communication Technology)の活用により、自国の製造業を 復活させ、持続的な経済成長を促そうという狙いがある。 では、わが国の状況はどうだろうか。日本能率協会コンサル ティング(JMAC)の調査※1 では、 「取り組み始めている」との 回答は、機械業界では半数を超えたものの、化学業界では11% など業界により開きがあり、全体では38%と高くはない。ただ、 97%が「IoT の実現によるビジネスチャンスがある」と回答、 前向きには捉えていることがわかる。IDCジャパンの国内IoT 市 場の調査 ※ 2 では、2014 年に 5 億 5,700 万台(売上規模 9 兆 3,645億円)であったIoTデバイスの普及台数は、2019年には 9億5,600万台(同16兆 4,221億円)になると予測している。 ものづくりの活性化と新たなビジネスチャンスにつながるIoT を、日本のものづくり力にうまく重ねていければ、他国をリード できる強さを、再び身につけられるかもしれない。そして、す べてがデータ化されてつながって、人手が要らなくなったあと に「人」は何をしているのか、そちらのほうも興味深い。 出所:※1 株 式会社日本能率協会コンサルティング『モノづくりIoT Webアンケート』 (2015 年 11月) ※2 IDC Japan 株式会社『国内 IoT(Internet of Things)市 場予測』 (2015 年 2月) JMA マネジメント 2016.2 1
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