TM 19 〜コーチャカデミア〜 Module 目標達成を促進するスキル TM 19 Module 〜コーチャカデミア〜 目標達成を促進するスキル CONTENTS はじめに … 4 P RE-CLASS ASSESSMENT … 5 第1章 要望する … 6 19-1-1 コミュニケーションは要望から始まる 19-1-2 要望と指示・命令 19-1-3 要望の効果的な伝え方と注意点 19-1-4 要望のリスクに対するガイドライン 第2章 明確にするスキル … 9 19-2-1 ビジュアライズ 19-2-2 ゴールの先を見せる 19-2-3 優先順位をつける 19-2-4 現在の位置を確認する 19-2-5 基準をはっきりさせる 19-2-6 ラベリング 第3章 行動に働きかけるスキル 19-3-1 やらないことを決める 19-3-2 予行演習をする 19-3-3 サンドイッチする 19-3-4 ジャンピングスタート 19-3-5 小さな成功体験をつくる …14 はじ め に コーチングでは、目標達成に向けて、相手の話を「聞く」ことや、「質問」すること を重要視しています。しかし、それだけで行動が促進されるわけではありません。 ときにコーチは必要に応じて、目標に向けての行動を促進させるための関わりをしま す。先のモジュールで紹介した「アクノレッジメント」や「フィードバック」もそう した関わりです。 このモジュールでは、新たなコーチングスキルとして、行動促進の代表的なスキルで ある「要望」をはじめ、さまざまなスキルを紹介します。 それぞれのスキルには、活用に適した場面や背景、そして活用のポイントと注意点が あります。誰にでも、いつでも効くスキルはありません。相手を注意深く観察し、相 手が行動できない背景はどのようなものなのか、相手の行動を停滞させている原因は 何なのか、さらに行動を促進させるためのポイントはどこなのかを、コーチは探求し ながら、それに応じた戦略的な関わりをしていくことが求められます。 一つひとつのコーチングスキルを理解しながら、同時に、相手の状況や背景に対して どのスキルを採用するのが最も効果的かを選ぶ目を養うことを目指します。 19 目標達成を促進するスキル 4 ©2015 COACH A Co., Ltd. All rights reserved. 本書の全部または一部の無断転載・複製を禁じます P RE-CLASS ASSESSMENT このモジュールで扱う内容の「理解度アセスメント」です。チェックを付けながら、 ・すでに何を理解しているのか ・新たに何を知る必要があるか / 身につける必要があるのかを明らかにしてください。 □ コーチングにおける「要望」とはどのようなスキルかを説明することができる □ 効果的な「要望」の伝え方を理解している □ 「要望」を伝える際の注意点を理解している □ 目標を明確にするためのコーチングスキルを知っている □ 現状を明確にするためのコーチングスキルを知っている □ 行動に対する恐れや障害を越えるためのコーチングスキルを知っている □ 行動のスピードや効果を上げるためのコーチングスキルを知っている チェックが付かなかった項目については特に、このマニュアルとオンラインクラスか ら積極的に学び、すべての項目にチェックが付く状態を目指してください。マニュア ルの最後に、もう一度このアセスメントを実施します。 19 目標達成を促進するスキル ©2015 COACH A Co., Ltd. All rights reserved. 本書の全部または一部の無断転載・複製を禁じます 5 第1章 要望する この章では、目標に向けての行動を促進させるための代表的スキルである「要望」を 紹介します。 19-1-1 コミュニケーションは要望から始まる コミュニケーションは、一人では成し遂げられないことを達成する手段として発達し てきました。目的を達成するために周囲に協力を要請していくこと、それが「要望」 です。その意味では、コミュニケーションは基本的には周囲への要望から始まるといっ てもいいでしょう。 たとえば、あなたが一人で知らない町を歩いているとします。すれ違う人と挨拶くら いは交わすかもしれませんが、特にそれ以上のコミュニケーションは発生しません。 ところが、しばらくしてあなたは道に迷ってしまいました。駅に向かっていたつもり がなかなか到達しません。携帯電話やパソコンも使えないとしたら、あなたならどう するでしょうか?選択肢の一つは、地元の人とのコミュニケーションです。「駅まで はどう行けばいいのですか?」 そして、この問いには次のような要望が隠れていま す。「どうか、教えてください」と。 コーチングにおいて、要望は、目標を達成するための原動力になります。コーチとコー チングを受ける人の双方が自由に要望をできているコーチングは、より早く、より確 実に成果をもたらします。 特に、コーチからの要望は、相手を飛躍的に成長させるのに役立ちます。人は自分の 思考や行動に対して、無意識のうちに「私のできることはここまで」といった枠を設 けてしまいがちです。たとえば「この書類を仕上げるのに 1 週間かかる」と思ってい る人に、「明日までにやってほしい」とリクエストする。それによって、相手がそれ までとらなかった手順を試みるかもしれませんし、他人の援助を求めるかもしれませ ん。このように、これまであまり試したことのない、相手の可能性を引き出し、無意 識に作っている枠の外に相手を連れて行くためにも、コーチはリスクを越えて相手に 要望することが求められるのです。 19-1-2 要望と指示・命令 要望に関して、このような質問を受けることがあります。 「『要望』とは、結局のところ『指示・命令』ですよね。」 確かに、「断る」選択肢がないのであれば、「指示・命令」と変わりません。 要望は本来、それを受け入れるか、否かの選択肢が相手に委ねられています。そうい う意味ではフィードバックと同様です。ただ、伝える側の思いはより強く相手に伝わ ります。かといって、「こうしなさい」という命令形ではありません。「私はあなたに ~してほしい」と I メッセージで伝えるのが要望です。そこには、コーチとコーチン 19 目標達成を促進するスキル 6 ©2015 COACH A Co., Ltd. All rights reserved. 本書の全部または一部の無断転載・複製を禁じます
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