口頭発表:実践報告

口頭発表:実践報告
自閉症児における乗馬中の行動変化、及び乗馬前後の行動に関するアプローチとその効果
藤井梓、慶野宏臣* 、慶野裕*
(大阪教育大学大学院、*なつか乗馬療育研究所)
乗馬活動において、自閉症児の乗馬中の行動が大きく変化することは報告されているが、乗
馬に向けての準備や後片付け場面での行動は定着が困難であり、またその場面に焦点を当てた
乗馬プログラムも少ない。しかしそれらの行動は日常生活に通ずるものが多く、対象児がこれ
らの行動を習得することにより日常生活場面での効果が期待されると考え、本活動では対象児
2名(自閉症)に対し、乗馬前・乗馬後の行動(12 項目)をプログラムとして位置づけ、活動時に
項目ごとに視覚的な支援を行った。乗馬中の行動については HEIMscale(慶野ら)、乗馬時以外
の行動については7段階の行動評価表を作成し毎活動後に評定を行った。その結果、
HEIMscale による評定では対象児2名ともほとんどの項目において得点の増加が見られた。ま
た乗馬前と乗馬後の行動評価によると、乗馬前の行動の方がより定着しており、自発的な行動
が多く見られた。このことから対象児の行動はそのすぐ後に行われる乗馬活動への期待から強
化されていると考えられる。対象児の乗馬時以外の行動を強化するためには、自閉症児にとっ
て非常に強い動機となりうる乗馬活動を提供し、乗馬前に行動のアプローチを行うようプログ
ラム設定することが望ましい。また乗馬後の行動も定着させるために、一覧表を作成して対象
児に持たせ、行動ができるごとにシールを与え、行動の強化の模索を試みた。
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