第5章 ニュートリノ振動:理論

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第5章
第5章
ニュートリノ振動:理論
ニュートリノ振動:理論
ニュートリノの性質の特徴は、

ニュートリノの生成は、 W ± を媒介した電弱統一理論による素粒子の崩壊から:
(
)

n m やn m の生成(地球大気内の反応): m - ® e - + n e + n m

n e の生成(太陽内の核融合反応): d ® u + n e + e -
(m
+
® e+ +n e + n m
)
この生成されるニュートリノを、n e とn m と表す。

生成されたニュートリノの飛行は、W ± が存在しない真空中を飛行する場合、1 W ±
との相互作用の無い量子力学の運動方程式で決定される。この飛行するニュート
リノを、n 1 とn 2 と表す。
の 2 つの違いによる。それぞれ、異なる理論により、決定されるので、その状態は異なる。
ところで、量子力学によると、
 1 つの状態はそれぞれ異なる状態(生成ニュートリノ状態と飛行ニュートリノ状態)
で表せる
ことが分かっている。この 2 種類のニュートリノ状態が有る結果、ニュートリノを観測する
と、ニュートリノ振動という現象として観測されることがわかった。
ニュートリノ振動は、1957 年にブルーノ・ポンテコルボによって最初に予測された。ポンテコル
ボの理論はニュートリノと反ニュートリノの間で振動するというもので、現在受け入れられてい
るニュートリノがフレーバー間で振動する理論とは異なるものであった。しかし、その後 10 年で
彼が取り組んだ真空の振動理論の数学的定式化はニュートリノ振動の理論の基礎となった。1962
年に名古屋大学の坂田昌一・牧二郎・中川昌美によって、フレーバーニュートリノ(n e, m ,t )間で
振動する理論が提唱および定式化された。あるフレーバーのニュートリノがニュートリノ振動に
より他のフレーバーに変換される混合の強さは、ポンテコルボ・牧・中川・坂田行列(英語版)
(PMNS 行列)によって特定することができる。1998 年に岐阜県神岡鉱山地下に設置されたスー
パーカミオカンデ検出装置により大気から降り注ぐニュートリノを観測することによって、この
現象が実証された。
量子力学
飛行するニュートリノは、量子力学での運動方程式により、その時間発展が決まる。つまり、
1

0 秒目に生成されたニュートリノ(n e やn m ):【例】n ( 0) = n eやn m

t 秒目に飛行中のニュートリノ(n 1 やn 2 ):【例】n ( t )
太陽内部の核融合反応でニュートリノが放出される。太陽内部には電子が無数に存在するので、ニュートリ
ノは W ± を媒介して相互作用をする。この飛行するニュートリノは、 W ± との相互作用の有る量子力学の運動
方程式で決定される。
【安江正樹@東海大学理学部物理学科】
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
第5章
ニュートリノ振動:理論
t 秒目に観測されるニュートリノ(n e やn m ):【例】n ( t ) をn e やn m で表わす
と対応する。n ( t ) が量子力学により、初期条件:n ( 0) = n eやn m を用いて決定される。実験で
は、ニュートリノは、n e やn m で観測されるので、改めて
n ( t ) をn e やn m で表わす必要

がある。以降では一般的な表記として、n ( t ) の代わりに y ( t ) と表わす。
y ( t ) は、状態ベクトルといわれる量であり、この時間発展が決定される。その全エネルギー
をハミルトニアン演算子 H (行列で表される場合が多い)で表すとき、
i
¶
y (t ) = H y (t )
¶t
(5.1)
である。行列表記の場合には、
y (t )
(t )
H
 y
 
æ *ö æ *  *ö æ *ö
¶ç ÷ ç
i ç  ÷ = ç    ÷÷ çç  ÷÷
¶t ç ÷ ç
÷ç ÷
è *ø è *  *ø è *ø
(5.2)
の表示になっている。特に、エネルギーが E ( = ある数値 ) 決まっていると
i
¶
y (t ) = H y (t ) = E y (t )
¶t
(5.3)
この解は
y (t ) = e
-
iEt

y ( 0)
(5.4)
とわかる(【問題1】(5.4)を求めよ)。(5.4)は、拡張できて


の場合に
t0 秒目に生成
t 秒目に飛行中
y (t ) = e
である( y ( t )
-
iE ( t -t0 )
t = t0

y ( t0 )
Dt =t -t0
= e
-
iE Dt

y ( t0 )
。更には、
= y ( t0 ) を満たすように作る)
 H が一定
のときに、
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(5.5)
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y (t ) = e
-
iH ( t -t0 )

y ( t0 )
Dt =t - t0
= e
-
iH Dt

第5章
y ( t0 )
ニュートリノ振動:理論
(5.6)
である。また、 y ( t ) の表記も用いられ
y (t ) = ( y (t )
)
T*
(
= y (t )
) (T *をまとめて †と表す )
†
(5.7)
で定義される。具体例としては、
y ( t ) は、しばしば、行列表記で表せる

ので
æ´ö
ç ÷
ç´÷
*
y ( t ) = ç  ÷ Þ y ( t ) = ´* ´*  ´* ´
ç ÷
ç´÷
ç´÷
è ø
の対応になる。このとき、
(

)
量子力学での基本条件: y ( t ) y ( t ) = 1
(5.8)
(5.9)
が成立する。これは、波動関数をy ( x, t ) とすれば
¥
y ( t ) y ( t ) = ò y † ( x, t )y ( x, t ) dx = 1
(5.10)
-¥
で計算できる。また、3 次元であると波動関数はy ( x, y, z, t ) となり、
y (t ) y (t ) =
¥ ¥ ¥
ò ò ò y ( x, y, z, t )y ( x, y, z, t ) dxdydz = 1
†
(5.11)
-¥ -¥ -¥
であるが、ベクトル x
x = xi + yj + zk :
( x, y , z )
(5.12)
を使用して
¥
y ( t ) y ( t ) = ò y † ( x, t )y ( x , t ) dx = 1
-¥
と表記する。
ニュートリノ混合
さて、ニュートリノの状態には 2 通りあり、

生成(や観測)ニュートリノ(n e やn m )
 実際には、n e,m ,t
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(5.13)
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
第5章
ニュートリノ振動:理論
飛行ニュートリノ(n 1 やn 2 )
 実際には、n 1,2,3
である。ところで、量子力学では、
 1 つの状態はそれぞれ異なる状態(生成ニュートリノ状態と飛行ニュートリノ状
態)
で表せる。つまり、1 つのニュートリノ状態は、同時に

ニュートリノ状態= (n e ,n m ) の一次結合

ニュートリノ状態= (n 1 ,n 2 ) の一次結合
として表わせるので、

(n ,n ) = (n ,n ) の一次結合
e
m
1
2
が成り立つ。数式では、係数を a , b, c, d (複素数)として
ìn e = an 1 + bn 2
í
în m = cn 1 + dn 2
(5.14)
である。行列表記ができ
æ n e ö æ a b ö æn1 ö
ç ÷=ç
÷ç ÷
èn m ø è c d ø èn 2 ø
(5.15)
であり、(5.8)を参考にして
ì
æn e ö
ïy ¢ = ç ÷
ï
èn m ø
í
ï y = æn1 ö
çn ÷
ï
è 2ø
î
(5.16)
と表わしておく。そのとき、
æa bö
U =ç
÷
èc dø
(5.17)
を用いて、(5.15)は
y¢ =U y
(5.18)
と表わせる。
一方、 y と y ¢ は(5.9)の条件:
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第5章
ìï y y = 1
í
ïî y ¢ y ¢ = 1
ニュートリノ振動:理論
(5.19)
を満たすので、
æ 1 0ö
U †U = ç
÷ (= I )
è0 1ø
を得る(【問題2】(5.20)を求めよ)。(5.17)より、
2
2
2
2
ïì a + c = b + d = 1
í *
*
*
*
ïîa b + c d = b a + d c = 0
(5.20)
(5.21)
なので、解として、3 つの実数(位相) a , b , g を用いて
ìïa = eia cos q
,
í
i (a +g )
sin q
ïîc = - e
ìïb = eib sin q
í
i ( b +g )
cos q
ïîd = e
と表わせる(【問題3】(5.21)を満たす事を証明せよ)。従って、
マヨラナ位相


æ a b ö æ 1 0 ö æ cos q sin q ö æ eia 0 ö
U =ç
÷=ç
֍
ig ÷ ç
ib ÷
è c d ø è 0 e ø è - sin q cos q ø è 0 e ø
(5.22)
(5.23)
を得る(【問題4】(5.23)を導け)。ここに、
 a , b は、マヨラナ位相’(Majorana phase)
という。以降、簡単のため、
 U を実数の行列
æ cos q sin q ö
 U =ç
÷
è - sin q cos q ø
(5.24)
とする。つまり、(5.14)より
n e = n 1 cos q + n 2 sin q
n m = -n 1 sin q + n 2 cos q
(5.25)
あるいは
ì
æn e ö
æn1 ö
ïy ¢ = ç ÷, y = ç ÷
ï
èn 2 ø
èn m ø
y¢ =U y Ü í
ïU = æ cos q sin q ö
ç - sin q cos q ÷
ï
è
ø
î
が得られた。これを、ニュートリノ混合(neutrino mixing)といい
 U をニュートリノ混合行列(neutrino mixing matrix)
 q を混合角(mixing angle)
という。
さて、飛行中のニュートリノは、(5.6)に従って発展し、
n i (t ) = e
-
iH ( t -t0 )

n i ( t0 )
( i = 1, 2 )
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(5.26)
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第5章
ニュートリノ振動:理論
である。(5.25)を量子力学での表記に直す事ができ
ïì n e ( t ) = cos q n 1 ( t ) + sin q n 2 ( t )  飛行中のn e
í
ïî n m ( t ) = - sin q n 1 ( t ) + cos q n 2 ( t )  飛行中のn m
(5.27)
と表せる。従って、 t ( = t0 ) = 0 で生成されたn e は、
ìï n e ( 0 ) 生成されたn e
í
ïîcos q n 1 ( t ) + sin q n 2 ( t ) = n e ( t )  飛行中のn e
(
)
(5.28)
と記述される。つまり、

生成されたn e は、瞬時に cos q n 1 ( t ) + sin q n 2 ( t ) になって、飛行し始める
ことになる。同様にして、(5.26)より、
æ n e (t )
ç
ç n m (t )
è
ö æ cos q
÷=ç
÷ è - sin q
ø
sin q ö æ n 1 ( t )
ç
cos q ø÷ ç n 2 ( t )
è
ö
÷
÷
ø
(5.29)
になる。
2種類のニュートリノ
(5.6)を2種類のニュートリノ (n 1 ,n 2 ) に応用すると、
æ n 1 (t ) ö
iH Dt æ n 1 (t0 ) ö
)ç
ç
÷ = exp(÷
(
t
)
n

2
è
ø
è n 2 (t0 ) ø
( Dt = t - t0 )
(5.30)
になる。2種類のニュートリノでは、
 質量(ハミルトニアン H )の固有状態のニュートリノ
の場合であるので、
 H が対角化されている
はずである。ここで、宇宙空間などを自由に飛んでいるときの時間発展を考える。2種類の
ニュートリノの質量を m1,2 とし、その運動量を p すると
2 4
æ 2 2
0 ö ç c p + m1 c
=
E2 ÷ø çç
0
è
である。この場合は exp(iH Dt ) は
æE
H =ç 1
è0
ö
÷ ( p : 運動量 )
÷
2
c 2 p + m22 c 4 ÷ø
0
2´ 2 行列
ö



 æ exp(- iE1Dt )
0
ç
÷
iH Dt

exp()=ç
÷
iE2 Dt ÷

ç
0
exp()÷
ç
è
 ø
になる。ここで、行列は、マクローリン展開:
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(5.31)
(5.32)
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第5章
2´2単位行列
2´2 行列


¥
An
1
1
exp A =
I
+ A + A2 + A3 +  = å
2!
3!
n =0 n !
(A
0
ニュートリノ振動:理論
= I)
(5.33)
で表し、
æa
A=ç 1
è0
0ö
÷
a2 ø
(5.34)
とすると
æa
An = ç
è0
n
1
æ a1n
¥
¥ ç
0ö
An
ç n!
Þ
exp
=
=
A
å
å
n÷
a2 ø
n=0 n!
n =0 ç
ç 0
è
ö æ a1
0 ÷ çå
n!
÷ = ç n =0
n
a2 ÷ ç
÷ ç 0
n! ø è
¥
n
ö
÷ æ a1
÷ = çe
n
¥
a2 ÷ è 0
÷
å
n =0 n ! ø
0
0 ö
÷
e a2 ø
(5.35)
なので
æ e a1
exp A = ç
è 0
0 ö
æa
Ü A=ç 1
a2 ÷
e ø
è0
0ö
a2 ÷ø
(5.36)
を用いて、
iE Dt
æ
ö
exp(- 1 )
0
ç
÷ æ n 1 (t0 ) ö
æ n 1 (t ) ö
æ
n
(
t
)
ö
iH Dt

)ç 1 0 ÷ = ç
֍
ç
÷ = exp(÷
iE2 Dt ÷ è n 2 (t0 ) ø
 è n 2 (t0 ) ø ç
è n 2 (t ) ø
0
exp()÷
ç
è
 ø
(5.37)
を得る。ここで、量子力学では全体の位相は物理的に意味がない(
【問題5】何故、「量子力
学では全体の位相は物理的に意味がない」か?)ので
E1 + E2 E1 - E2
ì
+
ïï E1 =
2
2
í
ï E2 = E1 + E2 - E1 - E2
ïî
2
2
(5.38)
を用いると、全体の位相を抜き出す。(5.38)を(5.37)に代入して
æ
ö
æ E + E2 E1 - E2 ö
iç 1
+
Dt
÷
ç
÷
iE1Dt
2 ø
æ
ö ç
è 2
÷
exp(
)
0
exp(
)
0
ç
÷


ç
÷
ç
÷=
ç
÷
iE Dt
æ E + E2 E1 - E2 ö
ç
0
exp(- 2 ) ÷÷ ç
iç 1
D
t
÷
ç
÷
 ø ç
è
2
2 ø
è
0
exp() ÷÷
ç

è
ø
E + E2
E - E2
æ
ö
i 1
Dt
i 1
Dt
ç
÷
2
2
) exp()
0
ç exp(÷


÷
=ç
ç
÷
E
E
æ
E + E2
2 ö
iç- 1
i 1
Dt
÷ Dt ÷
ç
2 ø
2
ç
)÷
0
exp() exp(- è
è


ø
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E - E2
æ
ö
Dt
i 1
ç
÷
E1 + E2
2
)
0
Dt ç exp(i
÷

2
ç
÷
= exp()
E1 - E2

ç
÷
i
Dt ÷
ç
2
0
exp(
)÷
ç
è

ø
ニュートリノ振動:理論
(5.39)
より
iE1Dt
E1 - E2
æ
ö
æ
ö
0
0
ç exp(-  )
÷ æ n 1 (t0 ) ö - i E1 + E2 Dt ç exp(-i 2 Dt )
÷ æ n 1 (t0 ) ö
ç
֍
֍
÷ = e 2 ç
÷
n 2 (t0 ) ø
iE2 Dt ÷ è n 2 (t0 ) ø
E1 - E2
ç
ç
÷
è
0
exp()÷
0
exp(i
Dt ) ÷
ç
ç
è
è
ø
 ø
2
(5.40)
を得る。そこで
æ - i E1 + E2 Dt
æ n 1¢(t0 ) ö ç e 2  n 1 (t0 )
ç
÷ = ç E1 + E2
è n 2¢ (t0 ) ø ç e - i 2  Dt n (t )
2 0
è
ö
÷
÷
÷
ø
(5.41)
E - E2
æ
ö
exp( -i 1
0
Dt )
ç
÷ æ n 1¢(t0 ) ö
æ n 1 (t ) ö
2
֍
ç
÷=ç
÷
n ¢ (t )
E1 - E2
è n 2 (t ) ø çç
0
exp(i
Dt ) ÷÷ è 2 0 ø
è
2
ø
(5.42)
とすれば
ここで、(5.36)を逆に用いて
E1 - E2
Dt
2
E1 - E2
Dt
a2 = i
2
a1 = - i
æ e a1
ç
è 0
0 ö
÷ = exp A
e a2 ø
Þ
E1 - E2
æ
ö
æ E1 - E2
ö
0
0
ç exp( -i 2 Dt )
÷
ç -i 2 Dt
÷
ç
÷ = exp ç
÷
E - E2
E - E2 ÷
0
exp(i 1
Dt ) ÷÷
i 1
Dt ÷
0
çç
çç
è
è
ø
2
ø
2
(5.43)
そこで
H diag
æ E1 - E2
ç
=ç 2
ç 0
ç
è
ö
÷ E - E æ 1 0 ö E - E ( 3)
2
1
2
s
÷= 1
ç
÷=
E1 - E2 ÷
2 è 0 -1 ø
2
÷
2 ø
0
(5.44)
を用いて、
E1 - E2
æ E1 - E2
ö
æ
ö
0
0
ç exp( -i 2 Dt )
÷
ç -i 2  D t
÷
æ H diag ö
Dt ÷
ç
÷ = exp ç
÷ = exp ç -i
E1 - E2
E1 - E2 ÷

è
ø
ç
çç
÷
0
exp(i
Dt ) ÷
0
i
Dt ÷
ç
è
2
ø
è
2
ø
(5.45)
¢ (t0 ) を n 1,2 (t0 ) と読み替えて
なので、(5.42)より、改めて、 n 1,2
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第5章
ニュートリノ振動:理論
E - E2
æ
ö
exp( -i 1
Dt )
0
ç
÷ æ n 1 ( t0 ) ö
æ n 1 (t ) ö
æ H diag ö æ n 1 (t0 ) ö
2
Dt ÷ ç
֍
ç
÷=ç
÷ = exp ç -i
÷
n 2 ( t0 ) ø
E1 - E2

è
ø è n 2 (t0 ) ø
÷
è n 2 (t ) ø çç
è
0
exp(i
Dt ) ÷
è
2
ø
(5.46)
従って
æ n 1 (t ) ö
æ H diag ö æ n 1 (t0 ) ö
Dt ÷ ç
ç
÷ = exp ç -i
÷ Ü H diag

è
ø è n 2 (t0 ) ø
è n 2 (t ) ø
æ E1 - E2
ç 2
=ç
çç 0
è
ö
÷
÷ , Dt = t - t0
E - E2 ÷
- 1
÷
2 ø
0
(5.47)
を得る。2
ニュートリノ(n e やn m 等)は弱い相互作用で生成
(
)

n m やn m の生成(地球大気内の反応): m - ® e - + n e + n m

n e の生成(太陽内の核融合反応): d ® u + n e + e -
(m
+
® e+ +n e + n m
)
される。ここでは、 (n e ,n m ) ⇔ (n 1 ,n 2 ) になる。量子力学によると任意の状態はその系の固有状
態で展開できるので (n e ,n m ) は質量固有状態 (n 1 ,n 2 ) で展開でき、(5.29)で表せる、従って
æ n e (t ) ö
æ n 1 (t ) ö æ cos q
ç
÷ =U ç
÷ºç
èn 2 (t ) ø è - sin q
èn m (t ) ø
sin q ö æ n 1 (t ) ö
÷
֍
cos q ø èn 2 (t ) ø
(5.48)
になる。特に、
n (t ) - n m (t )
n (t ) + n m (t )
æ n e (t ) ö æ cos q sin q ö æ n 1 (t ) ö 1 æ 1 1ö æ n 1 (t ) ö
, n 2 (t ) = e
=
Þ n 1 (t ) = e
çn (t ) ÷ = ç
ç
÷
ç
÷
÷
ç
÷
2 è -1 1ø èn 2 (t ) ø
2
2
è m ø è - sin q cos q ø èn 2 (t ) ø
(5.49)
のときを、 cos q = sin q =
1
Þ q = 45 なので、
2
sin 2q = 2 cos q sin q = 2
1 1
=1
2 2
(5.50)
になり

最大ニュートリノ混合( q = 45 ): sin 2q = 1
n 1 (t ) =
n e (t ) -n m (t )
2
, n 2 (t ) =
n e (t ) +n m (t )
2
という。
2
ニュートリノの表記の n とn は同じことである。
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(5.51)
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第5章
ニュートリノ振動:理論
ニュートリノ混合の確率
最初( t0 = 0 )に

弱い相互作用の結果、n e が生成
されたとすると、
n e (0) = cos q n 1 (0) + sin q n 2 (0)
(5.52)
になっている。
 時間発展は質量の固有状態
で記述されるので
iE t
n 1,2 (t ) = exp(- 1,2 ) n 1,2 (0)

(5.53)
で与えられる(【問題6】(n 1 ,n 2 ) は質量の固有状態である。では、(n e ,n m ) は何の固有状態か?)。
cos q n 1 (0) + sin q n 2 (0) の状態は cos q n 1 (t ) + sin q n 2 (t ) になり
cos q n 1 (t ) +sin q n 2 (t ) = cos q exp(-
iE1t
iE t
) n 1 (0) + sin q exp(- 2 ) n 2 (0)


(5.54)
のように時間経過とともに変化する。これを仮に n e (t ) と呼んでおく。即ち
iE1t
iE t
) n1 (0) + sin q exp(- 2 ) n 2 (0)


である。ここで観測機器で観測するのだが、そのときには
 弱い相互作用でニュートリノを観測する
 電子ニュートリノは電子(或いは陽電子)と共に現れる
n e (t ) º cos q exp(-
(5.55)
ので、こんどは (n 1 ,n 2 ) に含まれる (n e ,n m ) を基準にする。(5.48)より t = 0 では (n e ,n m ) が作られ、
すぐに飛行開始するので、 t = 0 で (n e ,n m ) を (n 1 ,n 2 ) に変換する:
U


æ n 1 (0) ö æ cos q - sin q ö æ n e (0) ö æ n e (t ) ö
æ n 1 (t ) ö
æ cos q
çn (0) ÷ = ç sin q cos q ÷ çn (0) ÷ Ü çn (t ) ÷ = U çn (t ) ÷ ¬ U = ç - sin q
øè m ø è m ø
è
è 2 ø è
è 2 ø
-1
sin q ö
cos q ÷ø
(5.56)
なので、(5.55)に用いて、
iE t
iE t
- 1
- 2
ì
2
2


ïï Ae (t ) = cos q e + sin q e
n e (t ) = Ae (t ) n e (0) + Am (t ) n m (0) í
æ - iE1t - iE2t ö
ï Am (t ) = - cos q sin q ç e  - e  ÷
è
ø
îï
(5.57)
を得る(【問題7】(5.57)を導け。)。観測機器で観測されると (n e ,n m ) で観測されるので、結局、
【安江正樹@東海大学理学部物理学科】
11/18 平成 27 年 10 月 6 日午後 10 時 17 分

n e を観測: n e (0) n e (t ) = Ae (t )

n m を観測: n m (0) n e (t ) = Am (t )
第5章
ニュートリノ振動:理論
になる。実験結果それぞれのニュートリノを観測する確率として
é
( E - E2 ) t ù = 1 - A (t ) 2
1
2
Pn e ®n e (t ) = Ae (t ) = 1 - sin 2 2q ê1 - cos 1
ú
m
2

ë
û
(
é
( E - E2 ) t ù = 1 - A (t ) 2
1
Pn e ®n m (t ) = Am (t ) = sin 2 2q ê1 - cos 1
ú
e
2

ë
û
(
2
)
(5.58)
)
と計算される(【問題8】(5.58)の Pn e ®n e (t ) を導け)。当然の結果として、
2
2
Pn e ®n e (t ) + Pn e ®n m (t ) = 1 Û Ae (t ) + Am (t ) = 1
(5.59)
である。
ところで、特殊相対性理論によると、素粒子のエネルギー E 、運動量 p 、質量 m の間には、
E
2
= p + m2c 2
(5.60)
c
の関係がある。ニュートリノの質量は限りなく零に近い( m » 0 )はず(素粒子の標準模型で
はニュートリノの質量は 0:m = 0 であり、ほとんどの実験結果は m = 0 と矛盾が無い)なので、
マクローリン展開
¥
xn (n)
f ( x) = å
f (0)
n=0 n !
(5.61)
を用いるとよい。つまり、
E
=
c
2
p + m 2c 2 =
æ m2c 2 ö
m 2c 2
2
p ç1 +
÷
=
p
1
+
= p 1+ x
2
2
ç
÷
p
p
è
ø
x=
m2 c 2
p
( x » 0 Ü m » 0)
(5.62)
2
に於いて
1
f ( x ) = 1 + x = (1 + x ) 2
( x » 0)
(5.63)
は、
¥
xn (n)
f ( x) = å
f ( 0 ) = 1 + xf ¢ ( 0 ) ( x » 0 )
!
n
n =0
(5.64)
により
f ¢( x) =
1
1
1
1
d
1
1
1
1
-1
(1 + x ) 2 = (1 + x ) 2 = (1 + x ) 2 Þ f ¢ ( 0 ) = (1 + 0) 2 =
dx
2
2
2
2
(5.65)
から
1
1 + x = 1 + x ( x » 0)
2
(5.66)
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12/18 平成 27 年 10 月 6 日午後 10 時 17 分
第5章
ニュートリノ振動:理論
を得る。従って、
E
=
c
2
p + m 2c 2 = p 1 + x
x=
2 2
m c
p
2
æ 1 m2c 2 ö
m2 c2
= p ç1 +
=
p
+
÷
ç 2 p2 ÷
2 p
è
ø
(5.67)
と計算できる。これより、
E1,2
c
2
=
2 2
p + m1,2
c » p+
2 2
m1,2
c
(5.68)
2 p
2
p
p + m c に於いて、 p  m c の時、E-mc は
になるこ
2m
E
である(【問題9】(5.60)の =
c
とを導け。)。故に、
2
2
2 2
2 2
2
2
2
2
E1 - E2
m12c 2 æ
m22 c 2 ö ( m1 - m2 ) c
= p+
-ç p +
÷=
c
2 p çè
2 p ÷ø
2 p
(5.69)
である。ここで、分母の p を、(5.68)よりの近似式の
E1,2
c

p
=

E
c
n 1 ,n 2に依らない
n 1 ,n 2に依らないので
=
Þ p =
E
c
(5.70)
を用いて、
2
2
2
m12 - m22 ) c 2
m12 - m22 ) c 4
(
(
E1 - E2 ( m1 - m2 ) c
=
=
Þ E1 - E2 =
E
2 p
2E
c
2
c
(5.71)
を得る。また、ニュートリノはほぼ光速で走るので、ニュートリノの速度を vn とするとその
走行距離 L は
L = vn t » ct (º t in the c = 1 unit) Þ t =
L
c
(5.72)
になるので、
 走行時間を走行距離で置き換える
表記にすると(距離を直接測る)実験と比較しやすい。これらを使用すると
é
m12 - m22 ) c 4 L ù
(
ê
ú
E1 - E2 ) t ù
(
1 2 é
1 2 ê
2
E
c
ú
Pn e ®n e (t ) = 1 - sin 2q ê1 - cos
ú = 1 - sin 2q 1 - cos
ê
ú


2
2
ë
û
ê
ú
ë
û
m12 - m22 ) c 3 L ù
(
1 2 é
ú
= 1 - sin 2q ê1 - cos
2
2E
êë
úû
なので、質量2乗差 m12 - m22 を
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(5.73)
13/18 平成 27 年 10 月 6 日午後 10 時 17 分
第5章
ニュートリノ振動:理論
Dm 2 = m12 - m22
(5.74)
とすると、(5.58)は、 cos 2a = 1 - 2sin 2 a より
2
Pn e ®n m (t ) = Am (t =
2 3
æ
Dm 2 c 3L ö
L
1
2
2 æ Dm c L ö
=
q
) = sin 2 2q ç 1 - cos
sin
2
s
in
ç 4 E ÷
c
2
2 E  ÷ø
è
ø
è
2
L
L
Pn e ®n e (t ) = Ae (t == ) = 1 - Am (t = )
c
c
(5.75)
2
(5.76)
を得る。また、(5.71)を用いて
E1 - E2 =
Dm 2 c 4
2E
(5.77)
である。
Dm2 c3 L
の単位を明記する。素粒子物理では
4E
エネルギーE は MeV で表す
ここで、実験値と比較するため

 電子の質量: mc2 = 0.511MeV
 陽子の質量: mc2 = 938MeV
事が多い。また、  の数値として、光速度 c と一緒にした
c = 197MeV × fm = 197MeV ×10-13 cm Ü 1fm = 10-13 cm
(5.78)
を使用する。そこで
MeVとcm
Dm 2 c 3 L Dm 2 c 3cL Dm 2 c 4 L で表す
=
=
=
4 E
4 E c
4 E c
Dm 2 c 4 ëé MeV 2 ûù L [cm ]
4 E [ MeV ] c éë MeV × 10 -13cm ùû
(5.79)
éë MeV 2 ùû [ cm]
Dm2 c3 L
になり、
となるので、
の単位は、
4E
[ MeV][ MeV × cm]
Dm2 c3 L
は無次元(単位がない)→sin の引数なので単位はラジアン(rad)
4E
事がわかる。さて、ニュートリノ振動を観測した実験では

Dmc 2 : eVで測る Þ Dm 2 c 4 : eV 2で測る
L : mで測る
(5.80)
E : MeVで測る
でデータ数値を導く。この数値をそのまま使うために、
Dm2 c3 L
を観測値の単位
4E
ìDm 2c 4 éeV 2 ù
ë
û
ïï
í L [ m]
ï
ïî E [ MeV ]
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14/18 平成 27 年 10 月 6 日午後 10 時 17 分
第5章
ニュートリノ振動:理論
で測ることにする。そのため、数値
c = 197MeV ×10-13 cm
(5.81)
に注意して
2
Dm 2 c 4 é(10 -6 MeV ) ù L éë102 cm ùû
Dm2 c 4 éëeV 2 ùû L [ m ]
Dm 2 c3 L
êë
úû
=
=
-13
4E
4 E [ MeV ] c éë MeV ×10 cm ùû 4 E [ MeV ]197 éë MeV ×10-13cm ùû
=1.269



Dm c éëeV の単位でùû L éë mの単位でùû 10-12102
=
E éë MeVの単位でùû
4 ´ 197 ´10-13
2
2 4
= 1.27
Dm 2 c 4 éëeV 2の単位でùû L éë mの単位でùû
E éë MeVの単位でùû
と計算される。故に、
æ 1.27Dm2 [eV 2 ]L[m] ö
Pn e ®n m (t ) = sin 2 2q sin 2 ç
÷
E[MeV]
è
ø
(5.82)
あるいは大雑把に
æ Dm 2 [eV 2 ]L[m] ö
Pn e ®n m (t ) » sin 2 2q sin 2 ç
÷
E[MeV] ø
è
(5.83)
を得る。
ニュートリノ振動の度合い
ここで、(5.82)において、飛行距離の長さ応じて、振動する様子をグラフに表してみる。振
動する項は
æ 1.27Dm 2 [eV 2 ]L[m] ö
sin 2 ç
÷
E[MeV]
è
ø
(5.84)
1.27Dm 2 [eV 2 ]L[m]
= 1 となる L を L丁度 とすると
である。そこで、
E[MeV ]
1.27 Dm 2 [eV 2 ]L丁度 [m]
E[MeV]
=1Þ
= L丁度 [m]
E[MeV]
1.27 Dm 2 [eV 2 ]
(5.85)
となる距離を L丁度 [m] として、(5.84)を表すと、
æ L[m] ö
æ 1.27Dm2 [eV 2 ]L[m] ö
2
sin ç
=
sin
çç
÷÷
÷
E[MeV]
è
ø
è L丁度 [m] ø
2
になる。この sin カーブを
L[m]
0.01 £
£ 100
L丁度 [m]
(5.86)
(5.87)
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15/18 平成 27 年 10 月 6 日午後 10 時 17 分
でプロットすれば、
sin 2
第5章
ニュートリノ振動:理論
L
L
Ü Pn e ®n m (t ) = sin 2 2q sin 2
L丁度
L丁度
1
3)
2)
L[m]
 O(1)
L丁度 [ m]
L[m]
= O(1)
L丁度 [m]
1)
0.9
L[m]
 O(1)
L丁度 [m]
0.8
0.7
0.6
平均値 =
0.5
1
2
0.4
0.3
0.2
0.1
0
0.01
0.1
になる。
1
10
L
L丁度
100
従って、グラフを参考にして、表式(5.82)よりニュートリノ混合について次のことが導かれ
る。
L[m]
= p Ü sin 2 p = 0 、つまり、
1)
L丁度 [m]
Dm 2 (eV 2 ) 
E (MeV)
L(m)
(5.88)
の時。ニュートリノ生成場所 L がほんの少しずれるだけで
L[m]
( = x ) が大幅に変化す
L丁度 [m]
る。例えば、 x = 100rad (  1) のとき 3%生成場所がずれると
10% ずれる


L (1 + 10% ) [m]
L[m]
x=
= 100rad  1 Þ
= 100 (1 + 10% ) rad = 110rad
L丁度 [m]
L丁度 [m]
のように、10%生成場所がずれると 10rad(= 3p 強 )ずれる。従って、L が 0 から 10%
程度の間のずれで、0 から 2pの間のあらゆる値をとることになる。一方、実験では、
多くの現象の平均をとるので、確率としては
Pn e ®n m (t ) = sin 2 2q sin 2 x
(5.89)
において、x は 0 から 2pの間のあらゆる値をとるので、1つのニュートリノの結果とし
ては、平均を取り、
個々のニュートリノの sin 2 xの和
1
= sin 2 xの平均 =
ニュートリノの総数
2p
2p
2
ò dx sin x =
0
1
2p
2p
ò dx
0
1 - cos 2 x 1
=
2
2
(5.90)
【安江正樹@東海大学理学部物理学科】
16/18 平成 27 年 10 月 6 日午後 10 時 17 分
第5章
ニュートリノ振動:理論
になる。つまり、(5.89)から
Pn e ®n m (t )
生成場所の少しのズレ
Pn e ®n e (t )
生成場所の少しのズレ
1
1
= sin 2 2q £
2
2
1
1
= 1 - sin 2 2q ³
2
2
(5.91)
を観測する。最大混合値 1/2 は
q ( 混合角) = 45度
で実現される。これは
1
2
のときのみ適用可能になる。また、
Pn e ®n e (t ) ³
n e が半分以下に減少する場合 Pn e ®n e (t ) <

(5.92)
1
には適用できない
2
こともわかる。
L[m]
E[MeV]
2)
、つまり、
éë単位はrad ùû = O(1) Ü L丁度 [m] =
1.27 Dm 2 [eV 2 ]
L丁度 [m]
Dm 2 (eV 2 ) »
E (MeV)
L(m)
(5.93)
の時。この場合は、
»1
Pn e ®n m (t ) = sin 2 2q sin 2
1.27Dm 2 L
» sin 2 2q
E
(5.94)
になる。つまり、
»
p
2
»1.57
1.27 Dm 2 L
1.27Dm 2 L p
Dm 2 L
E
sin
»1Þ
»
Þ
» 1 Þ Dm 2 »
E
E
2
E
L
2
(5.95)
となり、(5.93)を導く。運良く丁度その距離で観測したという幸運に恵まれたことにな
る。この場合は

n e が半分以下: Pn e ®n m (t ) < 0.5 に減少する場合にも適用できる( sin 2 2q < 0.5 の時)
ことがわかる。
L[m]
E[MeV]
3)
、つまり、
éë単位はrad ùû  O(1) Ü L丁度 [m] =
L丁度 [m]
1.27 Dm 2 [eV 2 ]
Dm 2 (eV 2 ) <<
E (MeV)
L(m)
(5.96)
の時。この場合は、混合は観測にかからない。
Pn e ®n m (t ) = sin 2 2q sin 2
1.27 Dm 2 L
<< 1
E
従って、
【安江正樹@東海大学理学部物理学科】
(5.97)
17/18 平成 27 年 10 月 6 日午後 10 時 17 分
第5章
ニュートリノ振動:理論
 ニュートリノ振動現象の解析対象にはならない
ことになる。
以上を表にまとめておく。生成されたn e が振動してn m に変化する確率で「解析対象にはな
らない」場合には、

測定距離 L を長くする、或いは、エネルギーの低いn e
を観測するように、実験条件を変更し
E E ®小
E
¾¾¾
® Dm2 »
L ®大
L
L
の小さな値を測定できるようにする。
Dm2 <<
の環境を作り出し、 Dm 2 (eV 2 )
Dm2 (eV 2 )
Pn e ®n m (t )
注意事項
>>
E (MeV)
L(m)
1
» sin 2 2q
2
1
より大きいときは適用不可
2
»
E (MeV)
L(m)
» sin 2 2q
1
より大きいときはここのみ
2
<<
E (MeV)
L(m)
»0
ニュートリノ振動現象の解析
対象にはならない
【安江正樹@東海大学理学部物理学科】
18/18 平成 27 年 10 月 6 日午後 10 時 17 分
第5章
ニュートリノ振動:理論
第5章問題
1)(5.4): y ( t ) = e
-
iEt

y ( 0 ) を求めよ。
æ 1 0ö
2)(5.20): U †U = ç
÷ ( = I ) を求めよ。
è0 1ø
ìï a 2 + c 2 = b 2 + d 2 = 1
を満たす事を証明せよ、
3)(5.21): í
*
*
*
*
ïîa b + c d = b a + d c = 0
æ 1 0 ö æ cos q
4)(5.23): U = ç
ig ÷ ç
è 0 e ø è - sin q
sin q ö æ eia
ç
cos q ø÷ è 0
0 ö
÷ を導け)
e ib ø
5)何故、「量子力学では全体の位相は物理的に意味がない」か?
6) (n 1 ,n 2 ) は質量の固有状態である。では、 (n e ,n m ) は何の固有状態か?
iE t
iE t
- 1
- 2
ì
2
2


ïï Ae (t ) = cos q e + sin q e
7)(5.57): í
æ - iE1t - iE2t ö を導け。
ï Am (t ) = - cos q sin q ç e  - e  ÷
è
ø
îï
é
1
( E - E2 ) t ù を導け。
2
8)(5.58): Pn e ®n e (t ) = Ae (t ) = 1 - sin 2 2q ê1 - cos 1
ú

2
ë
û
E
9)(5.60)の =
c
2
p
p + m c に於いて、 p  m c の時、E-mc は
になることを導け。
2m
2
2 2
2
2 2
2
【安江正樹@東海大学理学部物理学科】