2015年7月10日 米国リートの投資環境について 足元の米国リート市場の動向と今後の見通し(1/3) 情報提供資料 概要 4月以降の米国リート市場は、長期金利の上昇を背景に、調整局面が続いている。 前回2004年の利上げ局面でも、利上げ前に米国リートは一時調整する動きが見られたが、その後は良好な ファンダメンタルズを反映する形で大きく上昇した。 中国株安やギリシャ懸念など短期的な不透明感はあるものの、魅力度を増すバリュエーションと良好な米国商 業用不動産のファンダメンタルズを勘案すれば、米国リートは中長期的に良好なパフォーマンスが期待できる。 足元の米国リート市場の動向 米国リートと長期金利の推移 調整色を強める米国リート市場 2015年の米国リート市場は、1月に高値を付けた 後、調整局面が続いています。 110 3.0% 特に4月以降、米国リート市場が軟調に推移する 背景の一つに、欧州の長期金利の反転上昇を受 けた米国長期金利の上昇があげられます。一般 に長期金利の上昇は、米国リートにとって資金調 達コストの上昇と利回り商品としての相対的な魅 力度低下(バリュエーションの低下)につながるた め、マイナス材料とされています。 105 2.5% 100 2.0% 95 1.5% また、足元では中国株安やギリシャ懸念を背景と して、グローバル株式市場でリスク回避姿勢が高 まっています。マクロ環境の不透明感が強まる中 で、短期的には変動性の高い展開が続く可能性 がありますが、内需型産業である米国リートにとっ てファンダメンタルズ面の影響はほとんどないと考 えられます。 前回2004年の利上げ開始前後の米国リート市場 今回のような米国リート市場の調整は、前回の利 上げ開始局面である2004年にも見られました。 2004年には利上げ開始の数ヵ月前から、市場予 想を上回る良好な雇用統計が発表されたことなど を受け、市場が利上げを織り込む形で長期金利が 上昇し、米国リートは大きく調整しました。 しかし利上げ開始後は、米国リートは良好な商業 用不動産市場のファンダメンタルズを反映する形 で大きく反発しました。政策金利の引き上げが開 始されるということは、米国景気が堅調な証左で あり、米国リートの業績の伸びが金利上昇のマイ ナスインパクトを上回ったためだと考えられます。 米国リート(左軸) 米国10年債利回り(右軸) 90 2015/1 2015/3 1.0% 2015/7 (年/月) 2015/5 出所:ブルームバーグ 期間:2015年1月2日~2015年7月8日、米国リート: NAREITオール・エクイティ・リート(配当込み)、2014年末を100として指数化 前回の利上げ開始前後での米国リートと長期金利の推移 130 6.0% 米国リート(左軸) 米国10年債利回り(右軸) 米国政策金利(右軸) 5.0% 120 4.0% 110 3.0% 100 2.0% 140 90 80 2004/1 1.0% 利上げ開始 (2004/6/30) 2004/3 2004/5 2004/7 2004/9 2004/11 0.0% (年/月) 出所:ブルームバーグ 期間:2004年1月2日~2004年12月31日、米国リート: NAREITオール・エクイティ・リート(配当込み)、2003年末を100として指数化 本資料は、情報提供を目的としてゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社(以下「弊社」といいます。)が作成した資料であり、特定の金 融商品の推奨(有価証券の取得の勧誘)を目的とするものではありません。本資料は、弊社が信頼できると判断した情報等に基づいて作成されてい ますが、弊社がその正確性・完全性を保証するものではありません。本資料に記載された過去のデータは、将来の結果を示唆あるいは保証するもの ではありません。本資料に記載された見解は情報提供を目的とするものであり、いかなる投資助言を提供するものではなく、また個別銘柄の購入・売 却・保有等を推奨するものでもありません。記載された見解は資料作成時点のものであり、将来予告なしに変更する場合があります。本資料の一部 または全部を、弊社の書面による事前承諾なく(I)複写、写真複写、あるいはその他いかなる手段において複製すること、あるいは(Ⅱ)再配布するこ とを禁じます。© 2015Goldman Sachs. All rights reserved. <8404-OTU-39262> 1 2015年7月10日 米国リートの投資環境について 足元の米国リート市場の動向と今後の見通し(2/3) 情報提供資料 今後の見通し 短期的な注目点①:米国長期金利の動向 現在、イエレンFRB(米連邦準備理事会)議長は、今後数年にわたり政策金利は緩やかに引き上げられるのが 適切との見解を示しており、今後の利上げペースは前回に比べ緩やかになると予想されます。 また、コア・インフレ率が低位で推移していることや、他の先進国国債と比べて高い利回り水準で取引されてい る米国長期国債は海外投資家からの資金流入に支えられると考えられることから、今後利上げが実施された 場合でも、長期金利の上昇幅は限定的となる可能性があります。実際、先物市場では、今後予想されるFRBの 利上げに伴い短期金利の上昇を織り込む一方、長期金利の上昇幅は限定的との見方を示しています。 米国金利に対する先物市場予想(2015年7月7日時点) 米国イールドカーブの予想 (先物市場から見る市場コンセンサス) 3.5% 短期および長期金利の変化幅予想 (先物市場から見る市場コンセンサス) 2.5% 6ヵ月後 3.0% 1年後 2.0% 長期金利 3年後 2.5% 1.5% 短期金利 2.0% 1.5% 先物市場では、 長期金利の上昇は 限定的との見方を示す 1.0% 2015年7月7日時点 1.0% 6ヵ月後 0.5% 1年後 0.5% 3年後 0.0% 0.0% 0 5 10 15 20 (年) 3ヵ月金利 10年金利 出所:ブルームバーグ 2015年7月7日時点を起点とする米国債先物市場のイールドカーブ予測を基にGSAM作成 短期的な注目点②:割安なバリュエーション NAV*に対する米国リートの価格水準の推移 リートの保有不動産の評価額から計算した価値(純資 産価値)と実際のリート価格を比較する指標であるNAV プレミアム/ディスカウントは、過去平均と比較して割安 な水準です。今後、利上げ時期についての市場の思惑 が収斂するにつれ、米国リート市場では商業用不動産 市場の良好なファンダメンタルズに注目が回帰し、割安 な状態は適正水準に是正されると考えられます。 リート時価総額 保有不動産の 純資産価値 (NAV)* 40% 30% NAVプレミアム/ディスカウント 過去平均 20% 割高 10% 0% -10% 平均:+4.7% 割安 -20% NAVプレミアム/ ディスカウント -30% 6月末: -13.0% -40% 直近のNAVプレミアム/ディスカウントは-13%と、 2009年4月以来の割安な水準 -50% 2001 2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 (年) 出所: グリーン・ストリート・アドバイザーズ 期間: 2001年1月末~2015年6月末 * 純資産価値(NAV):リートが保有するすべての不動産の評価額から負債、債務を控除した正味価値。 本資料は、情報提供を目的としてゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社(以下「弊社」といいます。)が作成した資料であり、特定の金 融商品の推奨(有価証券の取得の勧誘)を目的とするものではありません。本資料は、弊社が信頼できると判断した情報等に基づいて作成されてい ますが、弊社がその正確性・完全性を保証するものではありません。本資料に記載された過去のデータは、将来の結果を示唆あるいは保証するもの ではありません。本資料に記載された見解は情報提供を目的とするものであり、いかなる投資助言を提供するものではなく、また個別銘柄の購入・売 却・保有等を推奨するものでもありません。記載された見解は資料作成時点のものであり、将来予告なしに変更する場合があります。本資料の一部 または全部を、弊社の書面による事前承諾なく(I)複写、写真複写、あるいはその他いかなる手段において複製すること、あるいは(Ⅱ)再配布するこ とを禁じます。© 2015Goldman Sachs. All rights reserved. <8404-OTU-39262> 2 2015年7月10日 米国リートの投資環境について 足元の米国リート市場の動向と今後の見通し(3/3) 情報提供資料 米国商業用不動産のファンダメンタルズ 米国商業用不動産のファンダメンタルズは良好で、今後も更なるキャッシュフローの成長が期待できます。 商業用不動産の全体的な供給はいまだ需要の伸びに追い付いておらず、米国経済の拡大に伴う需要増加 が、既存物件の賃料と稼働率をさらに高める構図になっています。 米国リートのキャッシュフロー成長が期待できる要因 限られた供給 堅調な需要 物件供給量の推移 5% 4% 入居率の推移 97% 2% 96% 過去平均 94% :2.1% 93% 92% 1% 米国リートの利益(AFFO*)成長率の予想 オフィス 産業用施設 ショッピング・モール ショッピング・センター 住宅 医療・介護施設 リート全体 95% 3% キャッシュフロー成長 2016年 +9.3% +7.9% +9.4% +8.7% +11.3% +5.1% +8.8% 2017年 +7.8% +9.0% +7.7% +8.6% +9.2% +4.5% +7.6% 91% 出所:グリーン・ストリート・アドバイザーズ 時点:2015年6月末 (年) 2006 2011 1980 1990 2000 *AFFO(調整後FFO):当期純利益に不動産売買損益 景気後退期 等特別損益を除外、減価償却費を加算したもの 新規建設着工面積(対ストック比) (FFO)に、経常的な管理・修繕コストを加算、借入金 過去平均 元本返済額を控除したもの。賃貸収益によるキャッ 出所:シティ・インベストメント・リサーチ&アナリシス 出所:シティ・インベストメント・リサーチ&アナリシス シュフローを示す指標。 期間:1970年第1四半期~2015年第1四半期 期間:2001年第1四半期~2015年第1四半期 0% 1970 90% 2001 2010 (年) 為替の見通し 日米の金融政策のスタンスの相違で円安の地合い 米ドル円為替レート予想(GSグローバル・マクロ調査部) 底堅い米国経済や、金融政策の二極化(引き締め 方向に向かう米国に対して、緩和的な姿勢を継続 する欧州・日本)などを背景に足元、米ドル高が一 段と進行しやすい環境にあります。今後、米国の政 策金利引き上げが想定される環境下では、欧州や 日本との短期金利差拡大への期待から、米ドル高 傾向が継続すると考えられます。 (米ドル/円) GSグローバル・マクロ調査部では、米ドル円為替 レートは2017年末までに140円まで円安が続くと予 想しています。 100 140 130 2017年末: 140円(予測) 2016年末: 135円(予測) 2015年末: 130円(予測) 120 110 90 80 70 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 (年) 出所:ブルームバーグ、GSグローバル・マクロ調査部のデータを基にGSAM 作成 期間:2010年1月~2017年12月末 (2015年7月8日以降は予測値) 上記は経済や市場等の過去のデータおよび一時点における予測値であり、将来の動向を示唆あるいは保証するものではありません。 本資料は、情報提供を目的としてゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社(以下「弊社」といいます。)が作成した資料であり、特定の金 融商品の推奨(有価証券の取得の勧誘)を目的とするものではありません。本資料は、弊社が信頼できると判断した情報等に基づいて作成されてい ますが、弊社がその正確性・完全性を保証するものではありません。本資料に記載された過去のデータは、将来の結果を示唆あるいは保証するもの ではありません。本資料に記載された見解は情報提供を目的とするものであり、いかなる投資助言を提供するものではなく、また個別銘柄の購入・売 却・保有等を推奨するものでもありません。記載された見解は資料作成時点のものであり、将来予告なしに変更する場合があります。本資料の一部 または全部を、弊社の書面による事前承諾なく(I)複写、写真複写、あるいはその他いかなる手段において複製すること、あるいは(Ⅱ)再配布するこ とを禁じます。© 2015Goldman Sachs. 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