2016年6月3日 Goldm an Sachs Asset M anagem ent MLP市場見通し 情報提供資料 MLP市場の現状とポイント 概要 2016年2月の原油価格の底入れを境にMLP市場は反発が続く 原油需給バランス改善を背景に、WTI原油価格は2016年末50ドル、2017年末60ドルまでの上昇を見込む MLPのファンダメンタルズは健全。全体のキャッシュフローは順調に拡大しており、増配傾向が続く MLPのバリュエーションは魅力的な水準 現在、MLPは高水準の配当利回りと更なるリカバリー余地を有する、魅力的な資産クラスだと考えられる これまでのMLP市場の振り返り 約1年半に及ぶ下落を経て、2016年2月の原油価格の底入れを境にMLP市場は反発 2014年11月のOPEC(石油輸出国機構)総会での減産見送りを契機に、原油市場の秩序は大きく転換しました。 原油需給の調整役「スウィング・プロデューサー」を担ってきたOPECがその役割を放棄したことを受け、市場が新 たな均衡点を模索する中で、WTI原油価格は一時30ドル台を割る水準まで大きく下落しました。 MLP市場も米国原油生産量の減少、資金調達環境の悪化、一部大型銘柄の減配などの悪材料が続く中で、原 油価格との相関を強め、ピークを付けた2014年8月末から2016年2月11日にかけて58%下落しました。その後、米 国をはじめとする非OPEC諸国の生産調整の進行などを受け、原油需給が均衡化へ向かうとの期待などから原油 価格が底打ちすると、MLP市場も上昇に転じました。MLP市場は直近の底値を付けた2016年2月11日から5月末 にかけて52%上昇しています。 MLPと原油価格の推移 (指数化) 140 (米ドル/バレル) 140 -58% 120 120 MLP(左軸) +52% 100 100 80 80 60 WTI原油価格(右軸) 60 40 40 20 20 0 2013/12 2014年11月27日: OPEC減産見送り 2014/6 2016年2月11日: 原油価格底打ち 2014/12 2015/6 2015/12 0 (年/月) 出所:ブルームバーグ、期間:2013年12月末~2016年5月末、MLPは2013年12月末を100として指数化 MLP:アレリアンMLP指数(配当込み、米ドルベース)、WTI原油価格はスポット価格 本資料は、情報提供を目的としてゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」といいます。)が作成した資料であり、特定の金融 商品の推奨(有価証券の取得の勧誘)を目的とするものではありません。本資料は、当社が信頼できると判断した情報等に基づいて作成されています が、当社がその正確性・完全性を保証するものではありません。上記は経済や市場等の過去のデータおよび一時点における予測値であり、将来の動 向を示唆あるいは保証するものではありません。経済、市場等に関する予測は資料作成時点のものであり、情報提供を目的とするものです。予測値 の達成を保証するものではありません。本資料に記載された見解は情報提供を目的とするものであり、いかなる投資助言を提供するものではなく、ま た個別銘柄の購入・売却・保有等を推奨するものでもありません。記載された見解は資料作成時点のものであり、将来予告なしに変更する場合があり ます。本資料の一部または全部を、当社の書面による事前承諾なく(I)複写、写真複写、あるいはその他いかなる手段において複製すること、あるいは (Ⅱ)再配布することを禁じます。 © 2016 Goldman Sachs. All rights reserved. <51618-OTU-283283> 1 2016年6月3日 Goldm an Sachs Asset M anagem ent MLP市場見通し 情報提供資料 MLP市場の現状とポイント 原油市場と価格の見通し 世界の原油需給は2016年後半にかけて均衡化へ向かう 原油価格の急落は世界の新規開発プロジェクトを凍結させました。2015年4月をピークに米国の原油生産は減少 に転じ、米国以外の非OPEC諸国の生産も減少しはじめました。一方、緩やかな経済成長を背景に世界の原油需 要は安定的な増加基調が続き、世界の原油需給バランスは2016年後半にかけて均衡化へ向かうと考えられます。 原油相場は短期的には不透明要因残るも中期的には安定化へ イランなど一部OPEC諸国の増産可能性などもあり、原油相場は短期的には不透明要因が残っています。しかし、 中期的には、世界の原油需給タイト化を背景に、原油価格は徐々に値を切り上げる形で安定化に向かうと見ていま す。当社では、WTI原油価格の見通しとして、2016年末を50ドル、2017年末を60ドル程度と予想しています。 世界の原油需給の推移 (百万バレル/日) 104 102 (百万バレル/日) 2 予想 需給ギャップ(右軸) 需要(左軸) 99 1 供給(左軸) 97 94 0 92 89 -1 87 84 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 -2 2021 (年) 出所:国際エネルギー機関、期間:2009年~2021年(2016年以降は2016年2月時点の予想値) 米国シェールの競争力高まりにより中長期的に米国の原油生産シェアは上昇 米国シェールは、技術革新等により生産性を大きく向上させてきたこと、投資から生産へのリードタイムが在来型 原油と比べて著しく短いことなどから、原油価格が回復する局面では、より早く生産を再開させることが可能です。 米国シェール業界は再び活力を取り戻し、中長期的に米国の原油生産シェアは拡大すると見られています。 世界の原油生産のシェア推移 予想 100% 80% 46.0% 45.4% 45.2% 44.6% 44.6% 44.4% 44.1% 39.0% 39.0% 39.6% 40.3% 39.4% 39.5% 39.8% 15.0% 15.6% 15.2% 15.2% 16.0% 16.1% 16.2% 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 (年) 非OPEC(除く米国) 60% 40% 20% 0% OPEC 米国 出所:米エネルギー情報局、期間:2014年~2020年(2016年以降は2016年5月時点の予想値) 本資料は、情報提供を目的としてゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」といいます。)が作成した資料であり、特定の金融 商品の推奨(有価証券の取得の勧誘)を目的とするものではありません。本資料は、当社が信頼できると判断した情報等に基づいて作成されています が、当社がその正確性・完全性を保証するものではありません。上記は経済や市場等の過去のデータおよび一時点における予測値であり、将来の動 向を示唆あるいは保証するものではありません。経済、市場等に関する予測は資料作成時点のものであり、情報提供を目的とするものです。予測値 の達成を保証するものではありません。本資料に記載された見解は情報提供を目的とするものであり、いかなる投資助言を提供するものではなく、ま た個別銘柄の購入・売却・保有等を推奨するものでもありません。記載された見解は資料作成時点のものであり、将来予告なしに変更する場合があり ます。本資料の一部または全部を、当社の書面による事前承諾なく(I)複写、写真複写、あるいはその他いかなる手段において複製すること、あるいは (Ⅱ)再配布することを禁じます。 © 2016 Goldman Sachs. All rights reserved. <51618-OTU-283283> 2 2016年6月3日 Goldm an Sachs Asset M anagem ent MLP市場見通し 情報提供資料 MLP市場の現状とポイント 米国の天然ガス生産見通し 安定した生産拡大が続く米国天然ガス 天然ガス・インフラ関連セクターは、原油関連セクターを上回るMLP市場の最大のセクターです。天然ガスの需要 は、短期的には気候要因により変化しますが、中長期的には2つの構造的な拡大要因が牽引しています。 構造的な需要拡大要因:①発電用エネルギー 米国では、発電所を対象とするCO2排出の新規制を背景に、発電用エネルギーが石炭から天然ガスにシフトして います(Coal to Gas)。同規制により石炭火力発電所の新設が困難になり、順次廃炉になった石炭火力発電所から 天然ガス火力発電所へ転換が進行し、発電用エネルギーに占める天然ガスのシェアが足元拡大しています。 2015年12月に採択されたCOP21「パリ協定」で見られるように、世界的にCO2排出抑制へ向けた機運は高まり つつあり、相対的にCO2排出量の少ない天然ガスに対する需要は、世界的にも高まっていくと見られます。 米国 発電用エネルギー 構成比推移 60% 石炭 50% 37% 40% 30% 天然ガス 20% 26% 10% 0% 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 (年) 出所:米エネルギー情報局、期間:2000年~2015年 構造的な需要拡大要因:② LNG(液化天然ガス) LNGの非FTA締結国向けの輸出の承認を受けた施設は、現在9施設あります。2015年末から2019年にかけて、 順次稼働が開始されています。これら9施設のLNG転換能力は、現在の天然ガス生産量の16%に相当します。政 治経済の安定した先進国からエネルギーを調達することは、安全保障の観点からもその意義は大きく、米国産 LNGに対する需要は長期的に増大するものと考えられます。 米国LNG輸出能力 (億立方フィート/日) 150 100 輸出能力(左軸) 20% 輸出能力構成比(右軸) (2014年12月米国生産量対比) 15% 10% 50 5% 0 2015 2016 2017 2018 2019 0% (年) 出所:ブルームバーグ、会社IR資料よりGSAM作成、期間:2015年~2019年、2016年3月末時点の非FTA締結国向け承認施設の集計 本資料は、情報提供を目的としてゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」といいます。)が作成した資料であり、特定の金融 商品の推奨(有価証券の取得の勧誘)を目的とするものではありません。本資料は、当社が信頼できると判断した情報等に基づいて作成されています が、当社がその正確性・完全性を保証するものではありません。上記は経済や市場等の過去のデータおよび一時点における予測値であり、将来の動 向を示唆あるいは保証するものではありません。経済、市場等に関する予測は資料作成時点のものであり、情報提供を目的とするものです。予測値 の達成を保証するものではありません。本資料に記載された見解は情報提供を目的とするものであり、いかなる投資助言を提供するものではなく、ま た個別銘柄の購入・売却・保有等を推奨するものでもありません。記載された見解は資料作成時点のものであり、将来予告なしに変更する場合があり ます。本資料の一部または全部を、当社の書面による事前承諾なく(I)複写、写真複写、あるいはその他いかなる手段において複製すること、あるいは (Ⅱ)再配布することを禁じます。 © 2016 Goldman Sachs. All rights reserved. <51618-OTU-283283> 3 2016年6月3日 Goldm an Sachs Asset M anagem ent MLP市場見通し 情報提供資料 MLP市場の現状とポイント MLPのファンダメンタルズ MLPのキャッシュフロー創出能力は引き続き堅固 資金調達環境と一部企業におけるバランスシートの悪化がMLPに対する逆風となりましたが、当社ではMLPの保 有する資産とキャッシュフロー創出能力は引き続き堅固だと見ています。実際、2014年後半の原油価格下落後も MLPの創出するキャッシュフローは順調に拡大し、今後もその傾向は継続すると見込まれています。 MLPユニバース キャッシュフロー(調整後EBITDA) の推移 (億ドル) 予想 1,000 800 600 400 200 0 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 (年) 出所:ブルームバーグ、GSAM、期間:2010年~2018年、2016年以降は2016年6月1日時点の予想値 GSAMの定義するMLPユニバース(MLP関連証券含む)のうち、時系列データが取得可能な67銘柄の調整後EBITDA合計値 資金調達環境の悪化により一部MLPが減配となるも、多くのMLPは増配基調を維持する公算 巨額の設備投資を必要とするMLPにとって、資本市場へのアクセスは必要不可欠です。しかし、MLP市場の下落 による資本コストの上昇から、資本市場へのアクセスが事実上閉ざされた状態が2015年後半から続きました。一部 の川中企業は設備投資資金を補うため、もしくは信用格付けを維持するために配当の減額を発表し、MLP市場の センチメント悪化を招きました。足元では市場の落ち着きとともに、資金調達環境は正常化に向かいつつあります。 2016年第1四半期の実績では、時価総額で大きな割合を占めるキンダー・モルガンが72%の減配を発表したため、 MLP市場全体(時価加重平均)の配当成長率はマイナスとなりましたが、同銘柄を除くと+5.0%の増配となりました。 当社では、今後数年の配当成長率(キンダー・モルガンを除く)を4~5%程度と予想しています。過去平均と比べて やや低水準なものの、多くのMLPは増産基調を維持すると見ています。 MLPユニバース 配当成長率(前年同期比)の推移 15% 10% 10.7% 9.4% 長期平均:7.2% 5.0% キンダー・ 5% モルガン 除く 0% -5% -6.2% -10% 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 (年) 出所:ブルームバーグ、GSAM、期間:2007年1-3月期~2016年1-3月期、 GSAMの定義するMLPユニバース(MLP関連証券含む)の前年同期比配当成長率 本資料は、情報提供を目的としてゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」といいます。)が作成した資料であり、特定の金融 商品の推奨(有価証券の取得の勧誘)を目的とするものではありません。本資料は、当社が信頼できると判断した情報等に基づいて作成されています が、当社がその正確性・完全性を保証するものではありません。上記は経済や市場等の過去のデータおよび一時点における予測値であり、将来の動 向を示唆あるいは保証するものではありません。経済、市場等に関する予測は資料作成時点のものであり、情報提供を目的とするものです。予測値 の達成を保証するものではありません。本資料に記載された見解は情報提供を目的とするものであり、いかなる投資助言を提供するものではなく、ま た個別銘柄の購入・売却・保有等を推奨するものでもありません。記載された見解は資料作成時点のものであり、将来予告なしに変更する場合があり ます。本資料の一部または全部を、当社の書面による事前承諾なく(I)複写、写真複写、あるいはその他いかなる手段において複製すること、あるいは (Ⅱ)再配布することを禁じます。 © 2016 Goldman Sachs. All rights reserved. <51618-OTU-283283> 4 2016年6月3日 Goldm an Sachs Asset M anagem ent MLP市場見通し 情報提供資料 MLP市場の現状とポイント 魅力的なバリュエーションと投資家センチメントの改善 魅力的なバリュエーション 現在のMLPのバリュエーションは依然として魅力的です。5月末時点の配当利回りは7.6%と高水準で、米国債と の利回り格差も依然として金融危機以来の水準で推移しています。中期的には、利回り格差は過去平均に回帰す ると見ており、その過程においてMLP市場は大幅な上昇余地があると考えています。 MLPの米国10年債との利回り格差の推移 9% 8% 7% 6% 5% 4% 3% 2% 1% 0% -1% 2002/12 5.8% 長期平均:3.2% 2004/12 2006/12 2008/12 2010/12 2012/12 2014/12 (年/月) 出所:ブルームバーグ、期間:2002年12月末~2016年5月末、アレリアンMLP指数と米国10年利債利回りの利回り格差 投資家センチメントの改善 米国籍MLPファンドからの資金フローは、2015年7-9月期に計測開始来初めて資金流出に転じたものの、2015 年10-12月期以降は再度資金流入に転じています。2016年1-3月期は約19億ドルの資金流入となり、投資家セン チメント回復の傾向が見られています。 米国籍MLPファンドへの純資金流入額 (億ドル) 70 60 50 40 30 20 10 0 -10 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 (年) 出所:US Capital、期間:2007年1-3月期~2016年1-3月期 本資料は、情報提供を目的としてゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」といいます。)が作成した資料であり、特定の金融 商品の推奨(有価証券の取得の勧誘)を目的とするものではありません。本資料は、当社が信頼できると判断した情報等に基づいて作成されています が、当社がその正確性・完全性を保証するものではありません。上記は経済や市場等の過去のデータおよび一時点における予測値であり、将来の動 向を示唆あるいは保証するものではありません。経済、市場等に関する予測は資料作成時点のものであり、情報提供を目的とするものです。予測値 の達成を保証するものではありません。本資料に記載された見解は情報提供を目的とするものであり、いかなる投資助言を提供するものではなく、ま た個別銘柄の購入・売却・保有等を推奨するものでもありません。記載された見解は資料作成時点のものであり、将来予告なしに変更する場合があり ます。本資料の一部または全部を、当社の書面による事前承諾なく(I)複写、写真複写、あるいはその他いかなる手段において複製すること、あるいは (Ⅱ)再配布することを禁じます。 © 2016 Goldman Sachs. All rights reserved. <51618-OTU-283283> 5
© Copyright 2024 ExpyDoc