算数科学習指導案 大研 算数部テーマ 『?』→『!』 指導者:奈良 真行 三角形と四角形 ~算数的活動から概念をつくる~ 1.学年・組 第 2 学年南組(33 名) 2.日 平成 27 年 8 月 31 日(月)第 2 時限(9:55~10:40) 時 3.授業づくりの視点 本単元での提案 身のまわりで三角形や四角形などの図形をさがし見つけた時,どの構成要素をとらえて図形 を認識しているのだろうか。もともと子供達には図形を直観で感じ取りどんな図形なのかを理 解する力がある程度備わっている。その直観力に「どうしてそう思ったの?」と問いかけ,根 拠をもって説明させていく活動の第 1 歩目がこの単元なのである。この直観力を言語化させ算 数の概念を作っていくために,図形の構成要素である「辺」 「頂点」をいかに実感を伴って理 解させるかが重要と考える。そのために,図形を眺めて「辺」「頂点」を教えるのではなく, 実際に手に取って切るという算数的活動に『目を閉じて』という負荷をかけ子供の中にある言 葉を引き出す。それを算数用語と結び付けることで,構成要素に着目してもようをさがしたり, しきつめをしたりする豊かな図形に対する感覚を持った子供達になってほしいと願い,本授業 を提案する。 教材について 児童について 三角形を切り分ける方法の説明で使われる 三角形や四角形という言葉を知っている児 表現と頂点や辺という算数用語の結びつき 童は多いが,さんかく=三角形と認識して が弱いため,図形の認識において構成要素 いる児童も少なくない。 の面ばかりがクローズアップされる。 なぜ,どのようにしてという発問に対して 図形の定義と性質について初めて学習する 場面なので,丁寧におさえる必要がある。 定義と性質のちがいまで認識させる段階で はないが,図形の説明をするときの武器と して,単元を通して構成要素を用いた説明 をさせることが重要である。 説明する手段として,ノート・電子黒板・ 実物・タブレットなどさまざまな手段を使 うようにしている。相手意識を持って説明 しようとする児童がふえてきている。 指導にあたって 本時は,三角形を直線で二つに分け,その分け方に着目させることで辺と頂点を知ることがね らいである。辺と頂点という概念を図で見せて教えるのでなく,実感を伴った理解をさせるた めに,一人ひとりが実際に三角形をはさみで切る活動を行い,その分け方に焦点化することで, 算数的活動と辺と頂点という構成要素の概念形成を結び付けたい。最後は,三角形上に直線を おき,それを移動させることで三角形の分け方は 2 パターンしかないことに気付かせる。一般 化させるための根拠をタブレット上で共有し,説明し合うことで図形に対する見方を豊かに し,図形ついての理解を深めさせ授業を終える。 4.単元目標および評価規準 単元目標 具体的評価規準 関心・意欲 身近な図形を観察・分類することに取り 直線で切ることでどんな図形ができるか 態度 組もうとしている。 興味を持って取り組むことができる。 数学的な ものの形についての観察や構成などの 三角形の特徴を見出し,直線のひき方に 考え方 活動を通して,三角形や四角形を分類 よりどのような図形になるか考えること し,その特徴を見出すことができる。 ができる。 三角形や四角形を弁別したり,作図した 辺と頂点を弁別し,図形のどこに辺と頂 りすることができる。 点があるかを表すことができる。 知識 直角の概念や,三角形や四角形の定義や 三角形を直線で 2 つに分けたとき,どん 理解 性質を理解することができる。 な図形になるか理解することができる。 技能 5.単元展開と指導言例(本時 2/13) 第1次 「直線・三角形と四角形」 (4 時間) ①仲間分けをし, 「三角形」と「四角形」の用語とその定義を知り,弁別をす る。→なかまにした理由を考えましょう。 ②本時 上記参照 ③四角形を 2 つに分ける活動を通して,分け方の規則性を考える。 →三角形の分け方は 2 パターンだったけど,四角形ならどうなるかな。 ④身の回りから三角形や四角形の形をしたものを見つけ,その形になる理由 を説明する。→見つけたものはどうして○角形と言えるのですか。 第2次 「直角・長方形と正方形」 (3 時間) ①紙を折る活動を通して「直角」の定義を知り,身の回りの直角をさがす。 →身の回りの直角を見つけて,直角かどうか確かめよう。 ②③長方形と正方形を操作して作り,その定義性質を理解する。 →長方形と正方形を比べてみよう。何か気付きますか。 第3次 「直角三角形」 (2 時間) ①長方形や正方形の紙を対角線上で2つに分けてできた三角形について調べ る。→三角形を2つに分けてできた三角形と今日の三角形を比べてみよう。 ②方眼紙を使って長方形・正方形・直角三角形を作図する。 →どのようにして○○を方眼紙に書きましたか。 第4次 「もようづくり・しきつめ」 (2 時間) ①②いろいろな図形を並べてしきつめを行い,しきつめられた模様の中から いろいろな図形を見つける。 →○○を 2 枚並べるとどんな図形になるのか理由も一緒に考えよう。 →しきつめの中から見つけた図形はどうしてそう言えるのですか。 第5次 「練習」 (1 時間) ①学習内容の理解を確認する。 6.本時の目標 三角形を直線で二つに分ける活動を通して,その分け方に着目させることで辺と頂点を知り,図形の 認識においてその構成要素を用いた説明をし,図形に対する豊かな感覚の素地を作ることができる。 7.指導言を中心とした本時の展開 及び 予想される児童の発言・行動 [かまえる] 画面上に三角形や三角形が切り分けられる一部分を見せ 何が見えましたか。 ることで,本時の学習の構えを作る。 「三角形が見えたよ。」 「三角形がわかれたね。」 「2つになったよ。 」 [のぞむ] みんなも,実際に三角形を2つ に切り分けましょう。ただし, 目を閉じて切りますよ。 十分な算数的活動になるためには,切る前にどのように 切ればどのような形ができるのかという見通しを立てて 行うことが大切であるが,ここでは,あえて見通しを立 てず目を閉じて切り分けてできた図形という偶然性を利 用して次の活動につなげさせていく。 「目を閉じて切るの・・どきどきするな。」 [ひらく] 何と何に分けられましたか。 「あれ,となりの友達とはちがう形になったな。 」 切り分けられた2つの図形(結果)に焦点化して考えさ せることで,切り分けた過程を想起させる。 どうして、三角形と三角形に切 「難しいからだと思うよ。 」 りわけられたラッキーな人が 「かどに向かって切るのはたいへんだよ。」 少ないと思いますか。 「ふつうにはさみを入れたら,直線の部分からきるか ら。」 ○○さんの考え,みえる? 三角形と三角形に切り分けた人が少ない理由を考えさせ ることで,その切り方のほうが難しい,とがっているこ とがった部分をはさみが通るの は難しいの?どうしてですか? ころは通りにくいなどの子供たちの素直な表現を引き出 したい。その素直な表現を算数用語と結びつけることが 実感を伴った理解につながる。 とがった部分を頂点,直線の部 算数用語である「辺」と子供達の表現「とがったところ」 分を辺といいます。 などのつながりを板書上でつなげ,全体で丁寧に共有す る。 今学習した「辺」と「頂点」と いう言葉を使って,どうして三 角形と三角形にわけた人が少 ないかペアで説明しましょう。 [ふかめる] さっきだれかが,三角形と三角 2 年生の段階では,三角形を 2 つにわける方法は 2 パタ 形か,三角形と四角形にしかわ ーンしかないという一般性を理解するのは難しいが,タ かれないって言ってたけど。み ブレット上でスクールプレゼンターを用いて直線を動か んなどう思いますか。 し可視化させ共有することでその一般性の理解に近づけ たい。 ラッキーな分け方になったら, 「直線を動かしても,まだ三角形と四角形だ。」 合図しましょう。 「あっ!今,三角形と三角形になったよ。」 では,これで 2 パターンにしか 「ほかの部分にも直線をひきたいよ。 」 分けられないって言っていい 「ほかの部分でもさっきと同じように,三角形と四角 ですね。 形・三角形と三角形の 2 パターンだね。 」 [ふりかえる] 今日学習したことを題名に表 本時を振り返り,ポイントとなる言葉を使って題名をつ しましょう。 けさせることで,学びの再構築を行う。
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