Lecture_jiang_yi_zi_liao_files/有機化学I 小テスト3 担当:石川勇人

有機化学 I 小テスト3 担当:石川勇人
問題1:次に示す酸のうち、酸の強い順に並べよ。なお、酸として働くのは下線部のプロ
トンとする。
(1) SiH4, H2O, NH3(配った問題間違ってました。), HF
回答の指針:まず、極性共有結合か非極性共有結合か判断する。極性共有結合は電気陰性
度に大きな差があり、共有結合に電荷の偏りが生じているものである。例えば H-F。H がδ
+に帯電し、F がδ-に帯電している。理由はすでに教えています。復習あるのみ!非極性
共有結合は共有結合間に電荷の偏りがないもの。例えば、同じ原子同士の共有結合。(H-H, F-F, C-C, N-N, Br-Br などなど)また、C-H も偏りがない非極性共有結合である。Si の周
期表の位置を見てみよう。炭素の下にありますよね。したがって炭素と同様の最外殻電子
を持っています。Si-H 結合は非極性共有結合です。電荷の偏りがない以上、H+を放出する
機能はほとんどありません。したがって、Si-H の H は酸としてほとんど働かない。 一方、H2O, NH3, HF は極性共有結合を持つ。したがって、どれだけ H+を放出しやすいかを
議論する必要がある。周期表で周期が同じ(横に並んだ)原子を比べる場合は電気陰性度
を比較すれば良い。電気陰性度を比べると F>O>N である事は明白である。より電子を引か
れた H が H+になりやすい。また、生じる共役塩基の安定性も比べてみよう。H2N-, HO-, Fでは F-が最も安定である。(ハロゲンが電子を受け取ってアニオンになると最外殻の電子
が埋まる事を思い出そう。) したがって、酸の強い順に並べると HF > H2O > NH3 > SiH4 となる。 (2)CH3C(O)OH, CH3C(O)SH
回答の指針:共役塩基の安定性を比べてみよう。酢酸とチオ酢酸を比べると共役塩基のア
ニオンに帯電している原子が異なっている。O-か S−かでどう違うのかを考察する。酸素と
硫黄を比べるとその原子半径は S の方が大きい。(原子番号 O=8, S =16)原子半径が大
きい方が最外殻の電子状態による不安定性が低くなる。
(授業では太陽系の話をしました。)
より外側が広い範囲でマイナスに帯電している方が、共役塩基がより安定である。共役塩
基がより安定であるという事は、下図の平行がより右に傾く。つまり、H+がより多く放出
されるという事である。H+がより多く存在する方が強酸である。 O
O
H3C
OH
H3C
+
H+
S–
+
H+
O
O
H3C
O–
SH
H3C
結論として、共役酸が安定な CH3C(O)SH > CH3C(O)OH となる。
(3)HI, HBr, HCl, HF
回答: HI > HBr > HCl > HF 理由は問題2へ 問題2:問題1(3)のハロゲン化水素のうち、なぜ、そのような酸性度に違いが生じる
か答えよ。
回答の指針:ハロゲン化水素の酸性度についての理解が必要である。同じ周期で酸性度を
考える場合電気陰性度が重要である事は先に述べた。一方、酸性度を決定するもう一つの
要因に共役塩基の安定性があることも述べた。では、同族元素の場合どちらの影響が大き
いのか、この一点をきちんと理解する。結論から言うと原子の大きさによる共役塩基の安
定性の方が電気陰性度よりも影響が大きい。すなわち、理由は先に述べたように、原子半
径が大きいと電荷が偏っている軌道は原子核から遠くにそして広く存在する。したがって、
その負電荷がより大きな空間に広がれるということになる。小さい空間で電荷が偏るより
も、大きな空間で電荷が偏った方が存在しやすいことは、簡単に理解できるであろう。 以上の理由により、酸性度の強さは HI > HBr > HCl > HF となる。理由も含めて
しっかり覚えておこう!
H–F
H+
+
F–
H–I
H+
+
I–
問題3:ブレンステッド酸、ブレンステッド塩基およびルイス酸、ルイス塩基の定義につ
いてそれぞれ答えよ。(違いを明確に説明すること。)
ブレンステッド酸:
ブレンステッド酸の定義は「プロトン(H+)を与える化学種」である。 解説:H+はプロトン、H–はヒドリド、H は水素原子であり、ブレンステッド酸/塩基はプロ
トンの授受を定義としている。間違った解答例「H を与える化学種」。。。理解できます
か?これはダメです。 ブレンステッド塩基:
ブレンステッド塩基の定義は「プロトン(H+)を受け取る化学種」である。 ルイス酸:
ルイス酸の定義は「電子対を受け取る化学種(電子対を受け取って共有する化学種)」で
ある。例えば AlCl(塩化アルミニウム)
や BH3(ボラン)などは空の軌道を持っているため、
3
電子対を受け取って新たに結合を作ることができる。(教科書 50 ページ参照)このような
金属種はルイス酸の一種である。電子一つ(R・)はラジカル種、電子対(R:)の違いに
注意。電子対です!!なお、ブレンステッド酸はこの定義の中に含まれます。H+を放出=H
と共有していた電子対を受け取る。 ルイス塩基:
ルイス塩基の定義は「電子対を与える化学種(電子対を与えて共有する化学種)」である。
なお、ブレンステッド塩基はこの定義の中に含まれます。H+を受け取る=H+に電子対を与え
て共有結合を作る。