July 15, 2015(PDF:1338KB) コア技術 1 - 小型

 Yamaha Motor
Monthly Newsletter
July 15, 2015 (Issue No. 31) 新型「YZF-R1」に搭載のクロスプレーン型クランクシャフトを備えた 998cm3・水冷・直列 4 気筒エンジンのカットモデル
コア技術1 -‐‑‒ ⼩小型エンジン技術 基軸事業を⽀支え 多軸化にも貢献 2 ストローク・空冷冷・単気筒・125cc・ピストンバルブ吸気……。ヤマハ発動機の歴史は、このエンジンを
搭載するモーターサイクル「YA-‐‑‒1」から始まりました。その後、さまざまな排気量量、型式の⼆二輪輪製品を開発
するとともに、これらエンジン技術を活⽤用して多彩な分野に事業領領域を拡⼤大。
「発動機」という会社名にふさ
わしい発展を遂げました。 今回は、「FRP 加⼯工技術」「制御技術」と並び、ヤマハのモノ創りを根幹から⽀支える「コア技術」のひとつ、
「⼩小型エンジン技術」についてご紹介します。 Yamaha Motor Monthly Newsletter
1 レースで磨き上げた 2 ストローク技術 ヤマハ発動機のモーターサイクルエンジンは、1955年年発売の
「YA-‐‑‒1」の125cc・単気筒からスタートし、3年年間で175cc・単気筒
(YC-‐‑‒1)、250cc・2気筒(YD-‐‑‒1)の3バリエーションに拡⼤大。それ
以降降1960年年代を通じて、最⼤大排気量量350cc、シリンダーレイアウト
単気筒、直列列2気筒のシンプルな2ストローク機構を徹底的に磨き上
げていきました。 それを推し進める原動⼒力力となったのがレースです。ヤマハモータ
ーサイクルの名を知らしめるためには、レースに勝つこと。そのた
めには、燃料料を効率率率よくパワーに変え、連続で⾼高出⼒力力運転しても壊
世界グランプリ 250cc クラス参戦用ファクトリーマシン
「RD56」。1964 年、1965 年と世界 GP250 のメーカー/ラ
イダー両タイトルを連覇し 4 ストローク全盛のレース界
に、“2 ストロークのヤマハ”を強く印象づけた れない耐久性、操縦性に貢献する軽さ・コンパクトさが求められます。そこで、先進的な技術、精度度の⾼高い製造技
術を追求しなければならない……。こうしてロータリーディスクバルブ吸気、分離離給油、ピストンリードバルブ吸
気、7ポート機構などがロードレーサーやモトクロッサーを通じて次々と実⽤用化され、市販⾞車車スポーツモデルからフ
ァミリーモデルまで、幅広く導⼊入されていったのです。 またこの頃、世界GP参戦とともに製品輸出も本格化。“2ストロークのヤマハ”の名は瞬く間に、世界中に広がって
いきました。 求められる個性を追求し、多彩に進化 しかし1960年年代後半以降降、モータリゼーション先進国アメリカや
ヨーロッパ、急速な経済成⻑⾧長を果たした⽇日本では、快適な⾼高速巡航
が楽しめるハイパワーな⼤大排気量量・4ストロークモデルの⼈人気が⾼高
まり、その動きは時代が進むにつれて顕著になりました。 そこでヤマハは、1970年年、初の4ストロークモデル「XS-‐‑‒1」を投
⼊入。その後も、2ストロークモデルと同様、独⾃自のアイデンティテ
ィに基づく多彩な製品を次々と⽣生み出しました。 トヨタ 2000GT の開発経験も活かしながら「軽量・スリム・
コンパクトな大排気量スポーツモデル」として 1970 年に
ヤマハ初の 4 ストロークモデルとして誕生した「XS-1」 例例えば「XS -‐‑‒1」は、スポーツモデルらしい軽快な操縦性を重視し、軽量量・⼩小型設計の650cc・直列列2気筒エン
ジンを選択。より⾼高出⼒力力なスポーツモデル「GX750」は⾞車車体のスリムさを考慮した直列列3気筒。本格派クルーザ
ー「XV750」はアメリカで定番のV型2気筒。最強・最速を狙った「XS1100」は当時最⼤大の1,100cc・直列列4気
筒。⼤大排気量量オフロードモデル「XT500」にはトルクフルな500cc・単気筒を採⽤用するなど、各製品のコンセプ
トにふさわしい個性的なエンジンで「⾛走る・操る楽しさ」を実現してきました。 そして1980年年代以降降、ヤマハ4ストロークエンジンは現在に⾄至るまでたゆまぬ進化を続け、50ccから1,900cc、
単気筒から4気筒、ファミリー向けからスポーツ向けまで、あらゆるカテゴリーのモーターサイクルをカバー。そ
の代表的な製品が、⾛走⾏行行性能と環境性能の両⽴立立をはかった⾼高性能125ccエンジン「BLUE CORE」搭載の「Mio 125」
や「Soul GT」であり、リニアで扱いやすいトルク特性を備えたMotoGPマシン由来のクロスプレーンコンセプト・
エンジンを搭載する「YZF-‐‑‒R1」や「MT-‐‑‒09」なのです。 ⼆二輪輪技術から独⾃自に発展した船外機、RV 1957年年、
「YD-‐‑‒1」の⽣生産・販売が軌道に乗ると、川上源⼀一社⻑⾧長(当時)はそのエンジンを使って船外機の開発
を指⽰示しました。四⽅方を海に囲まれ、河川・湖沼も豊富な⽇日本であれば、欧⽶米のようにマリンレジャーを楽しむ
Yamaha Motor Monthly Newsletter
2 時代がきっとやってくる。船外機はそのための第⼀一歩でした。 最初の試作機は失敗に終わったものの、軽量量な「YA-‐‑‒1」エンジンをベー
スにした2番⽬目の試作機は、軽量量で摩耗にも海⽔水の腐⾷食にも強い新素材ハイ
シリコン・アルミニウム製シリンダーを採⽤用するなど⼯工夫を重ね、1960
年年、
「P-‐‑‒7」の名で初めて製品化に成功。続いて開発した60cc・3⾺馬⼒力力の「P-‐‑‒3」
は、新型モペット⽤用エンジンとYAシリーズの4台⽬目となった⼆二輪輪⾞車車「YA-‐‑‒5」
の新機構ロータリーディスクバルブ吸気を採⽤用し、軽量量・⼩小型で使い勝⼿手
がよく始動性に優れ、沿岸漁業などで⼤大ヒットしました。 その後1970年年代に⼊入ると、ヤマハは中南⽶米やアジア、アフリカ向けにメ
ンテナンス性・耐久性に優れた業務⽤用の「Enduro」シリーズを開発。同時
に、北北⽶米メーカーと提携し、⼤大排気量量・⾼高出⼒力力のプレジャー製品を発売。
それぞれの⽤用途に特化した、船外機オリジナルのエンジン技術を蓄積して
いきました。 業務用エンデューロモデル「E40G」(1982 年)。
厳しい使用条件に適合する性能の高さはもち
ろん、ヤマハならではのサービスやサポート体
制が当社船外機人気を支えた そして1980年年代には、世界的な環境問題に対応し、4ストロークモデルを投⼊入。独⾃自の防錆・防⾷食技術やフュ
ーエルインジェクション機構、デジタル監視モニター「コマンドリンク」などを加えながら着々と製品ラインナ
ップを強化。累累計⽣生産1,000万台(2014年年)、世界シェアNo.1を誇るヤマハ船外機の中核を担っています。 雪や氷の上を⾛走るスノーモビル「SL350」
(1968年年)、砂漠や森林林を⾛走破するATV「YT125」
(1979年年)もモー
ターサイクルエンジンを利利⽤用して⽣生まれた製品です。その後、船外機と同様、それぞれが独⾃自の⽤用途や使⽤用環境
に合わせて進化。グローバルな市場を開拓拓し、事業多軸化に貢献しています。 新規事業を拓拓いた四輪輪、汎⽤用エンジン とはいえヤマハのエンジンは、モーターサイクル由来のものだけで
はありません。その代表格が四輪輪エンジン。1950年年代の終わり頃、軽
四輪輪⾞車車の研究を開始したヤマハは、やがてスポーツカーに⽅方向転換。
トヨタ⾃自動⾞車車と提携して共同開発した「トヨタ2000GT」が1965
年年に発表され、これがヤマハ4ストロークエンジン技術の原点とな
りました。 またその頃、トヨタ2000GTやトヨタ7での四輪輪レース活動に協
⼒力力。1980年年代にはヤマハブランドのフォーミュラレースエンジンを
開発し、全⽇日本選⼿手権F2参戦、F3000ではチャンピオンを獲得。さ
1997 年にヤマハが F1 でのレース活動を締めくくった時
の軽量・コンパクトで高回転・高出力の 3,000cc・V 型 10
気筒エンジン「0X11A」 らに1990年年代にかけて、F1世界選⼿手権にも参戦しました。 同時に、蓄積した技術⼒力力を活かし、トヨタ⾃自動⾞車車やフォード、ボルボ向け市販⾞車車⽤用エンジンの⽣生産を事業化。
現在もトヨタ⾃自動⾞車車とは密接な関係を保ち、「レクサス」ブランドなどのエンジン開発・⽣生産を⾏行行っています。 そのほか1969年年には、農業⽤用⽔水を供給するポンプや液剤散布機、漁網の巻き上げなど、従来⼈人の⼿手で⾏行行ってき
たさまざまな作業を動⼒力力化する、⼿手軽で汎⽤用性の⾼高い単体エンジン「MT100」を発売。その後、製品バリエーシ
ョンの追加やモデルチェンジを重ねるとともに、発電機、レーシングカート、除雪機、産業⽤用無⼈人ヘリ、ウォー
ターポンプなどのパワーユニットとしても採⽤用され、いっそうの事業多軸化に貢献しています。 昔も今も、多種多様な製品を⽀支えるエンジン技術は、世界中のお客さまに満⾜足と安⼼心、信頼を提供するヤマハ発
動機の原点であり、代名詞なのです。 Yamaha Motor Monthly Newsletter
3 Message from the Editor
道路路や道なき⼤大地、海、雪原、砂漠に空……多様な個性を⽀支える製品の
⼼心臓部・エンジンの進化とともにヤマハ発動機は歩んできました。4ス
トロークエンジンの原点、トヨタ2000GTは1966年年6⽉月に鈴鈴⿅鹿鹿1000km
耐久レースで1位、2位を獲得しています。 鈴鈴⿅鹿鹿といえば、世界耐久選⼿手権シリーズのひとつ、鈴鈴⿅鹿鹿8時間耐久ロード
レースに、2002年年以来のファクトリー体制となる「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」で参戦します。決勝⽇日は7⽉月26⽇日、⽇日本のエースライ
ダー・中須賀克⾏行行選⼿手と、⽇日頃MotoGPマシンを⾛走らせているポル・エス
パルガロ選⼿手&ブラッドリー・スミス選⼿手が新型「YZF-‐‑‒R1」をベースと
した鈴鈴⿅鹿鹿8耐⽤用マシンで参戦します。みんなで熱い声援を送りましょう! 太⽥田涼⼦子 ヤマハ鈴鈴⿅鹿鹿
8 時間耐久ロードレーススペシ
ャルサイト(近⽇日公開) Global PR Team, Corporate Communication Division, Yamaha Motor Co., Ltd.
2500 Shingai, Iwata, Shizuoka, 〒438-8501 Japan
TEL. 0538-32-1145 FAX. 0538-37-4250
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