全体構想 平成26年度 研究主題 よりよく生きようとする生徒の姿に培う豊かな学びの創造 ~思考力・実践力・表現力の育成を目指した指導の工夫~ 1 これまでの研究の概要 <自主公開の始まり> 本校の自主公開授業研究は,本年度で10回目を迎える。本校が指定を伴わない自由な発想で の自主公開を行うことになった契機は,平成12年4月に県下初の教科教室型システムの学校と して開校したことである。開校するに当たっては,本校職員はもとより,町教育委員会や保護者, そして地域の方々など,多くの方々の思い・願い,そして努力があった。その理念は,「社会に貢 献できる生徒を育てよう」「自分で考え,仲間のことを思いやり,自分たちで行動できる生徒にし ていこう」というものである。その思いを具現化すべく,このシステムの効果的運営と多様な指 導方法の研究を継続的に進め,県の指定を受けた研究を経て平成16年度から自主公開すること になり現在に至っている。 <第Ⅰステージ> 研究主題 『教科教室型空間を生かした魅力ある学習指導の展開』 平成16年度からスタートした研究の第Ⅰステージは,前述し たように教科教室型システムの効果的な活用と多様な指導法の工 夫をめざしたものである。この恵まれた環境を最大限に生かして いくため,教師と生徒がともに試行錯誤する日々が続いた。平成 16年度から平成18年度までの3年間で,「学ぶ意欲を高めるこ と」,「考える力を高めること」,「学び合いを深めること」に視点 をあてながら研究を行った。その結果,生徒たちは教科教室型シ ステムという開かれた空間の中で友達と話し合い,疑問点を追究 し,多様なスタイルでのびのびと,そして,集中して学習する習慣が身に付いた。本校の学習基 盤が培われた3年間であった。 <第Ⅱステージ> 研究主題 『学び合う姿をもとめて』 第Ⅰステージの研究を通し,教科教室型システムという空間で 自由に話し合いながら学習を進める生徒の姿をよく見かけるよう になった。互いの考えを交換し合いながら,よりよいものを創り 上げたり,新たな気付きが生まれたりするようになり, 「学び合い」 の重要性が見えてきた。 そこで,平成19年度から平成21年度までの3年間は,生徒 の学び合いの可能性を追究する研究を進めた。この研究を通し, 相手の話をきちんと聞き,友達同士のやりとりを受容する姿,相 互に教え合う姿が見られるようになった。誰とでも関わることができる本校のよさが培われた3 年間になった。 さらに,この3年間を通して,生徒たちの育ちを支える研究の土台のためにも,教師自身が自 分自身に「厳しさ」も忘れずに学び合える教師集団を目指そうという気運が高まった。 <第Ⅲステージ> 研究主題 『豊かな学びに向かうエネルギーを高めるために』 第Ⅱステージの研究を通し,生徒相互にかかわり合い学び合っ ていくことは,生徒の学習意欲を高め,生徒の学びが深まってい くことにつながることが分かった。この学習意欲こそが,今,求 められている将来にわたって社会の中で生きてはたらく力につな がっていくのではないかと考えた。 そこで,平成22年度から平成24年度までの3年間は,「問 題・課題に関心・意欲をもって取り組もうとする生徒」「自己肯定感を高め,成長し続けるために 努力しようとする生徒」「コミュニケーション力を高め,他の考えから学べる生徒」を目指し,豊 かな学びに向かうエネルギーを高める研究を進めた。1,2年次は,「課題設定」と「場の工夫」 を重点的に研究し,さらに,3年次は第Ⅱステージで効果がみられた「生徒同士の学び合い」を 広げ,「教師と生徒のかかわり合い」「家庭や小学校とのかかわり合い」にも視点をあてながら研 究を進めた。 その結果,学習にあまり自信がない生徒も,自分なりの考えを伝え合いながら,生き生きと授 業に参加する姿が見られるようになり,学びへのエネルギーが高まった。この学びに向かうエネ ルギーを高めることは,生徒が自主的に学び続ける学びのサイクルの持続につながると確信した 3年間になった。 2 第Ⅳステージへ 研究主題 『よりよく生きようとする生徒の姿に培う豊かな学びの創造』 第Ⅲステージまでの9年間の研究の成果として,本校の生徒に育まれてきた「よりよく生きよ うとする姿」に教師が寄り添い,温かく細やかな支援をしていくことが,生徒と教師が共に新た な考え・ものを創り上げようとする「創造型」の授業につながり,「豊かな学び」につながるので はないかと考え,昨年度からこの研究テーマで取り組んでいる。また,副主題として,「思考力・ 実践力・表現力の育成を目指した指導の工夫」を掲げた。これは,学習指導要領において,学習 意欲に加えて基礎的・基本的な知識・技能の習得と知識・技能を活用して課題を解決するために 必要な思考力・判断力・表現力等の育成が強調されているが,これまでの研究から,本校生徒に は,生きてはたらく真の力が不足していることが分かった。 そこで,国語,社会,数学,理科,英語,総合的な学習は思考力を中心に,保健体育,音楽, 美術,技術・家庭,食育は,実践力を中心に研究を進めたいと考えた。これらの力は,他者との かかわり合いの中で,各教科や領域の本質にかかわる価値を学習内容に応じて具現化した視点か ら吟味し,考えや表現をどのように修正していけばよいかを明確にしながら試行錯誤していくこ とでより深まっていくと考える。そこで,思考力・実践力を支える力として表現力を基盤にこれ ら3つの力を向上させ,豊かな学びへとつなげていきたいと考えて研究を始めた。
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