種類株 - 東レ経営研究所

<経済用語解説>
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種類株
ベンチャー企業の上場事例に注目集まる
種類株とは、普通株とは権利の内容が違う株のことです。日本では、種類株の発行は厳
しく制限されていましたが、2006 年に施行された会社法で、企業が一定の条件下で権利内
容の異なる株を発行できるようになりました。
2006 年以降も、上場企業の種類株の発行例は国際石油開発帝石(経済産業大臣が黄金株
を保有)
、伊藤園(優先株)などがあるくらいで、あまり広がりを見せていませんでしたが、
2014 年 3 月、筑波大学発のベンチャー企業で介護ロボットスーツを開発・販売するサイバ
ーダイン社が、東京証券取引所のマザーズ市場に株式を上場しました。「議決権種類株」を
用いたわが国初の上場例です。
サイバーダイン社は普通株のほかに、普通株の 10 倍の議決権を有する B 種類株を発行し
ました。同社の山海代表取締役社長が B 種類株を保有することにより、出資比率約 43%に
対して議決権の約 88%を握るという独特のガバナンス構造になっています。買収防衛策と
して発行したと伝えられていますが、米国ではグーグル、フェイスブック等が種類株発行
によって経営陣の支配力維持を図っています。
このスキームでは、買収の危険性が低下する一方、株主の監視が効きにくくなるという
指摘もあります。この二つをどうバランスするのか、サイバーダイン社の事例が注目され
ています。
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