開校記念日・校長講話 - 愛媛県立小松高等学校

開校記念日・校長講話・
本日は、開校記念日として、お話しをする機会をいただきました。実は、本
校の開校記念日は、本日ではなく、明日 9 月 12 日です。明日は、あいくにの土
曜日ですので、本日お話をさせていただきます。
私は、開校記念日の意義は、二つあると思います。一つは、学校の誕生日を
皆さんとともに祝うこと。もう一つは、小松高校が今後とも大きく発展するた
めの努力を生徒と教職員がともに誓う日とすることです。そのため、本日は、
本校の歴史を学び、先人たちの開校に向けた熱い思いを勉強することを通して、
皆さんが本校の校風や伝統を引き継ぐことを確認する日にしたいと思います。
本校は、今年で創立 108 年を迎えます。現在、西条市内の五高校のなかで、
創立 120 年の西条高校、創立 115 年の丹原高校に次いで3番目に古い学校です。
本校の前身は、明治 40 年に開校した小松町立実用女学校と昭和 16 年に開校し
た私立子安中学校の 2 つの大きな源流があります。この 2 つの学校が、昭和 23
年に県立子安高等学校に統合され、翌年、県立小松高等学校に改称され、現在
に至っています。開校記念日は、小松町立実用女学校が開校された明治 40 年9
月 12 日を本校の開校記念日としています。
では、小松町立実用女学校について少しお話しさせていただきます。女子の
中等教育機関は、明治 19 年頃から県下各地で創設されました。県立・郡立・私
立の女学校は次々と誕生していきましたが、町立は少なかったようです。小学
校卒業後の高等女学校への進学者はわずかであった。進学できない女子に教育
をという思いで、女子を集めて無報酬で教えている現状を見聞きした当時の町
長や初代校長の多大な御尽力により、町立の学校設立となった。より多くの女
子が学べるようにと修業年限を 2 年間とし、
「実業」(農業・工業・商業など)
ではなく、実用女学校とした。実用とは、実生活に役に立つ家政重視の女子の
中等教育機関として位置付けた。特徴的な授業としては、縫製、日本料理、包
帯などが設けられた。当時の校舎の場所は、現在の小松公民館付近である。第 1
回卒業式は、明治 42 年 3 月に行われ、12 名の卒業生であったが、昭和 11 年に
は、100 名以上の卒業生となった。実用女学校の初代校長は、一柳春二である。
彼は、小松藩藩主 5 代目にあたり、小松尋常小学校校長、西条中学校校長を歴
任したのち、明治 40 年から通算で 33 年間実用女学校の校長として小松の女子
教育一筋に尽くした。初代校長に選任された理由の一つに、小松村に寄付され
た彼の退職金は、実用女学校設立に役立てられことがあげられる。
小松の地に実用女学校が設立された理由の一つに、忘れてはならない人物が
いる。江戸時代の小松藩士の妻、丹美園(たんみえ)である。彼女は、自宅に寺
子屋を開いたが、女性の先生が、女子を教えた寺子屋は、愛媛県では初めての
ものであった。丹の屋敷跡の隣に、明治 40 年実用女学校が設けられ、現在の県
立小松高等学校に受け継がれている。近代女子教育発祥の地に設置されている
小松高校のライフデザイン科は、歴史と伝統があり、丹美園の寺子屋の精神を
受け継いだものであり、今後とも守っていかなければならない。
本校の前身のもう一つは、昭和 16 年に開校された私立子安中学校である。当
時の周桑地区には、残念ながら中学校はなかった。周桑郡内の中学進学希望者
は、西条中学(現西条高校)か今治中学(現今治西高校)を受験していたが、その
希望を達成できる者は、少なかった。この窮状を打開するために、中学校開設
に立ち上がったのが、四国霊場第 61 番札所、香園寺の第 36 代住職山岡瑞圓大
僧正である。住職は、寺の財産と有志の寄付金を中学設立財源にあて、現在の
小松高校の地に、私立子安中学校を設立した。本校、創設者として、本校会議
室に彼の写真を歴代校長とともに飾っている。
小松の教育の歴史は、江戸時代の小松藩の儒学者・近藤篤山先生から始まっ
たといっても過言ではない。藩校である「養正館」で、子弟の教育に携わった。
生涯、向学心を失わず、自ら誠実な日常生活をもって人を教育する姿から「伊
予聖人」と称された。篤山先生の教育は、武士だけではなく、農民や商人、さ
らに女子にまで及んだ。例えば、篤山先生の婦女子の教訓「四如の喩(たとえ)」
を実用女学校の教訓とした。特に、
「三戒の教え」を高校生活の上での実践すべ
きものとして具現化したものが、本校の現在の校訓・校是である。本校の校是
「積微立行」は、小松高校生徒の精神的な支柱であり、篤山先生の教えに基づ
く言葉であります。生徒諸君、小松高校で一人一人が輝くためには、学校生活
のすべての場面で、目標を高く、自己の役割を自覚し、日々実践することです。
毎日の少しずつの住み重ねを大切にすれば、高校生活での宝物は、きっと得ら
れるはずです。三年間の宝物とは、
「成長した自分」と「友や恩師とのかけがえ
のない人間関係」であると思います。
みなさん、開校記念日にあたり、本校の歴史を理解できましたか。先人の開
校に向けた熱い思いを知ることができましたか。本校の校風や伝統を引き継ぐ
ため、校訓・校是を実践し、後輩に引き継いでいきましょう。ともに頑張りま
しょう。
(平成 27 年 9 月 11 日)